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快楽を貪り生きてきたアバズレ。
『オメガバース』って最近よく聞きますが何となく理解できなくて。そして「男性でも妊娠できる」というシチュに萌える性質ではないので全く興味がなかったのですが、ちるちるさんのBLニュースで取り上げられていて、ちょっと興味をそそられ手に取ってみました。
全くの偏見ですが「エロくて」「イロモノ」なイメージしかなかったのですが(ゴメンナサイ)、いい意味で裏切られました。すごく良かったです。
2つのお話が収録されています。
内容をざっくりと。スミマセン、ネタバレしてます。
前半『春待ちの、』
両親は二人ともα(アルファ)でありながら、一人だけがΩ(オメガ)として生まれてきた双子の兄弟の「ひろの」と「せおの」兄弟。この二人にはα属性の幼馴染・ゆうまがいて、三人仲がいいのですが。
一人だけΩのせおのを気遣い見守るひろのとゆうまですが、ある日投薬が間に合わず発情期の発作を起こしてしまったひろのに対し、αのゆうまがヒートを起こしてしまい…。
というお話でした。
「オメガバース」のバックボーンが存分に生かされ、その中でひろのとせおの、そしてゆうまの三人の感情の機微が細やかに描かれていて、三人それぞれの恋心に思わずウルッとしてしまいました。
後半 表題作『蛇のセイカツ』
Ωの「るか」は性に奔放で、その属性を存分に生かしかなりただれた生活をしています。そんな中出会った「せい」という男。
るかとセックスするでもなく、淡白で、無口で無表情で、何を考えているのか全く分からない。初めて出会う、自分を性の対象としてみない男にかえって興味を持ち頻繁に会うようになるのですが、実はせいは…。
というお話でした。
るかはビッチさんなのですが、でも彼がそうなったのにはきちんと理由がある。それも「オメガバース」という特殊な設定が生きていて、すごく良かった。
自分を全く大切にしなかったるかが、初めて恋をして、自分の身体を鑑みるようになっていく様にはほっとしてしまいました。せいの、るかに会いに来る理由も良かった。
最後に「答え合わせ」というタイトルで、4コマ漫画を含んだ小話が何話か収録されているのですがこれが面白い!『春待ちの、』と『蛇のセイカツ』、それぞれのその後や裏話的な話で思わず笑ってしまった。
「オメガバース」とは何ぞや?という解説も収録されていて、私のような「オメガバース」のビギナーさんでも分かりやすく書かれていて、すごく良く理解できました。
「男でも妊娠できる」という世界ではありますが、常に妊娠できるわけではないので抵抗なく読めたのと、α・β・Ωという階級が存在するので「カースト制」のような理不尽な差別が大っぴらにあるのかとも思っていたのですがそんなこともなく、すんなり読めました。
表紙も帯もエロエロで、どんだけエロエロしいのか…?と思いながら読みましたが、それらを裏切る純愛のお話でとても良かったです。
オメガバース。
表題作『蛇のセイカツ』は、謎のベータ・「せい」と享楽的に生きているオメガ・「るか」の話。こちらのほうがあとに収録されていて、なんでかなと思いましたが、スピンオフの時系列に並べられているようです。
『蛇のセイカツ』
発情期のオメガを集め、そのオメガとの行為を目的に集まってくるベータを顧客にしているアルファ禁制のヤリ施設。そこに通うオメガ・るかは、自分だけを凝視していた客・せいを一夜の相手に選ぶ。せいは、るかを半ば苛むように抱くが、後日せいの忘れ物を届けるため2人は再会し、奇妙な付き合いが始まる。しかし2人にはある因縁があった…という話。
こちらの評価は萌でした。性別関係なく恋愛、結婚、出産ができるオメガバースの設定により、女性が絡んで来る可能性があるのもわかるのですが、ちょっとあまり萌えない…。それ以外はとてもいい雰囲気だったのですが、ああ、あのキャラが男性だったらよかったのに…! と惜しく思いました。
そして、表題作より前に載ってた同時収録作『春待ちの、』。
双子の弟、せおのの訃報に接し、ずっと連絡を絶っていた実家に戻ったひろの。そこで子供を連れた幼なじみのゆうまと再会する。
ゆうまとひろのはアルファ、せおのはオメガだった。ゆうまに淡い恋心を抱いていたひろの。しかしある日不幸な事故が起こり…。
カップリングが非常にややこしいのですが、核心的なネタバレになりますので説明はしないでおきます。
もう、これが、涙なしには読めませんでした。誰もが可哀想すぎて、鳥肌が立ちました。
子供の存在と、巻末のオマケ4コマが少しは救いになっているかもしれません。せめて今後は穏やかであるといいと思います。
こちらが神なので、間をとって萌×2にしようかと思いましたが、何だかもったいないので神評価にします。
なんで『蛇のセイカツ』をメインしたんだろう?
ぜったい『春待ちの、』の方がいい。
絵も上手いのに、他のレビューのとおり、タイトルと表紙で損してます。
『春待ちの、』は泣けました。とってもいい話。
巻末の4コマ漫画『答え合わせ』で省いたエピソードがあったとネタバラシされてたけど、それを全部入れて膨らまして、『春待ちの、』をメインにしてほしかった。
神評価にしましたが、『春待ちの、』は神で『蛇のセイカツ』は中立くらいかな。
蛇のセイカツは、ピンと来ないので評価無し。
蛇のセイカツにチョビットだけ登場する「ひろの」の、死んだ弟の思い出を描いた「春待ちの」が良かった。
伝えきれない想いがあるなら、日記でも手紙でも良いので、
書いておくと良いですね。いつか伝わるかもしれない。
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「春待ちの」
二卵性双生児、兄のひろのはα 弟のせおのはΩ。 幼馴染のゆうまはα。
三人で山で捕まえた昆虫を虫篭に入れたら、片方が死んでいた。
「カブトムシとクワガタは一緒にしたらダメ」と母親が言う。
学校で、せおのがヒートになり、ゆうまがラット
せおのはその後中退、ゆうまと結婚、出産。20才で発病、22才で亡くなる。
「クワガタとカブトムシは一緒にいられない」と、せおのと別れたひろのは、その後、一度も帰郷しなかった。
せおのの訃報を受け、久しぶりに帰郷。弟の死を受け入れられない。
せおのの遺品整理に呼ばれ、未投函のひろの宛の手紙の束を渡される。
最後の手紙の結びに震える字で「幸せになってほしい」と書いていた。(芸が細かい)
ひろのは、せおのが伝えたかった「ごめん」の意味を知り、泣く。
双子の間に溝を作ったのは「バース」の性別と、同じ人を好きになったこと。
後悔が残るひろの。
・・・思い出の走馬灯のような、幻影を描いたような作品でした。
巻末のギャク四コマ漫画は、ひろののその後を書いてほしかった。
オメガバース大好きで、いろいろ読んでるけど・・・
王道のオメガバースとはぜんぜん違った。
エロも少ないし、運命の番とか、ラブラブとかそうのでは無い。好みは別れると思う。
オメガバース要素を含んだ、根本的な人の心の再認識とか言うか・・・気づきものだね。
ストーリーが、1つ目は死ネタだったし、2つ目は一途な旦那さんが妻の浮気相手のΩに会いきて・・・と言う内容。
けど、とても刺さったよ。
Ωの体質からストーリー展開するんだけど、それぞれの心の救いのお話だね。
2編のストーリーで、短いけどしっかり内容は伝わりました。
これはこれで好きかも。読み終えたあと、新鮮でした。