逃げるか堕ちるかふたつにひとつーーー。

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表題作スピンアウト 上

巽将貴
会社員,社長子息のお目付役
三木蓉介
ネイリスト

その他の収録作品

  • スピンアウト#2.5(幕間)(描き下ろし)

あらすじ

会社員の巽は社長子息の涼馬のお目付役としてストレスの多い日々を送っている。穏やかな表の顔の一方で、巽は美しく妖艶な男・三木とのSMプレイを楽しんでいたが、謎の多い三木との逢瀬を重ねるうち、三木への執着を深めていく。そして、巽に執着する涼馬は、ホテルへ向かう巽をストーカーし、三木との関係を知ってしまい!?

作品情報

作品名
スピンアウト 上
著者
国枝彩香 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
シリーズ
スピンアウト
発売日
ISBN
9784801953901
4

(84)

(37)

萌々

(23)

(18)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
12
得点
333
評価数
84
平均
4 / 5
神率
44%

レビュー投稿数12

スピンアウトへの予兆

去年からポツポツとレビューを書くようになったのですが、マイページのレビュー棚と自己流に活用している本棚(それもなかなかにイタイネーミングと、自覚はあるのです)を眺めていて、己の嗜好が見えてきたというか、やっぱり私はこういうのが好きなんだと、再認識しました。
こういうの、とは「ダーク」で「異色」といわれる作品です。
ちるちるblアワードにノミネートされた作品で、甘きゅんより異色作の方がめっちゃ読んでましたもの。
ダークといっても、仄暗い感じで、登場人物の心の揺らぎが透けてみえるような感じが、大好きなのです。
前置きがいつもの如く長くなりましたが、国枝先生の「スピンアウト」、これは正に私の好みの作品でした。
主要登場人物は、巽と三木と涼馬。冒頭から巽と三木のSMプレイがあり、徐々に二人がどのように出会い、そんな関係になったのか。三人の立ち場はどんな感じなのかが分かってきます。
涼馬は社長の息子だけど、どうも会社員には向いてなく、巽は父親からのしがらみで涼馬の面倒をみている。涼馬のことを可愛く大切に思っているけれど、屈折した感情もあって、そんな時に出会ったのが雰囲気が少し似ていた三木だった。
この三木が、いいです。儚げな美青年でいて、したたかさと脆さがあって。
この上巻では、単なるSMプレイのが相手としか見ていなかった三木への思いがほんのり変化し、涼馬が意外な一面をみせたところで終わります。
スピンアウトへの予兆、彼らはどのように変化していくのか?
仄暗く、ちょっと痛い描写も平気な方にオススメです。

7

性癖にハマれば最高

ジェットコースターのような展開と、まるで綱渡りをしているかのような不安定な関係。

上では巽と三木の関係が変質していく様子が描かれているだけですが、非常に先の展開が気になる上手い構成になっています。

痛いセックスの描写も多く、それも愛情なんてないような、読む人を選ぶ作品であることは間違いないでしょう。

しかしながらダークで痛々しく、ぐちゃぐちゃでドロドロな物語が大好きな私にとって最高の作品です。

プレイ自体もあまり酷すぎると感じるようなレベルではないと私は感じました。

もし、私と好みが被っている人ならば非常に楽しめる作品になっていると思います。

ただネタバレになってしまうようですが、これだけは言わせてください。甘々でハッピーな展開を求める人には絶対に向いていない。王道とは離れた、路地裏のような物語です。

4

スピンアウト寸前の三角関係

国枝彩香さんの新刊は、人の狂気と昼ドラ的三角関係をスリリングに描いたサスペンス。
タイトルの「スピンアウト」に相応しく、登場人物の全員がいつ道を外れ破滅してもおかしくない危うさを持っており、何とも不穏で先が気になる展開です。

あらすじ:
亡き父の勤務先の社長宅に引き取られ、現在はその会社で秘書として働く巽(攻め)。
社長子息の涼馬に想いを寄せる彼は、その欲求をセフレの三木(受け)相手に発散している。
三木を抱くことでサディスティックな趣味に目覚めていくのと同時に、謎の多い三木自身にも惹かれていく巽の行く末は……

巽は、子どもの頃より使用人のような扱いを受け、現在も涼馬のお目付役など様々な雑用を押しつけられている苦労人。
物静かな彼が三木にのみ見せる暴力性、狂気にはゾクゾクします。
三木に刃物を向け失禁させたところを写真に撮る等、結構な鬼畜ですが、あとでその画像を削除し寝顔の写真のみ削除を躊躇うシーンが印象的。
ずっと感情を抑圧してきた彼は、三木と出会って自身のロクデナシな一面に気付くのと同時に、初めて人間らしい感情を体感しているのかもしれません。

三木は、自称ネイリストで、プライベートは謎に包まれた美貌の男。
普段の飄々とした言動と、巽に手酷く抱かれる姿とのギャップに色気があります。
巽に殴られたり、涼馬と相対したりしたときに浮かべる狂気の笑みがインパクト大。作中でサロメに喩えられているように、ファム・ファタールのような妖しさと凄みを感じさせる人物です。

社長子息の涼馬は、出社拒否で巽を困らせる気弱な坊っちゃん。
巽に近づく三木のことが気になり彼に接触しますが、禍々しいほどの美貌と迫力に気圧され退散。
彼が本書の語り部となるのか、可哀想な被害者となるのかこの上巻の時点ではまだ分かりませんが、巽に想いを寄せる姿は子犬のようで愛らしいです。

妖しい笑みを浮かべ夜の街に姿を消した三木の姿を最後に、下巻へ続きます。

描き下ろしは、2話と3話の間の話。
知り合って何度目かの夜、無意識に三木にキスしてしまった巽。
白けるからやめろと言われた上、涼馬の名前まで出され結局また暴力的に三木を抱いてしまいますが……
巽の三木への執着が見えるエピソードでした。

8

まだスピンアウトはしない

以前から「耳たぶの理由」や「箱庭」ですごく大好きな国枝先生の新刊ということで、発売日に上下巻買いました!
レビュー遅くなりましたが・・・というより上下巻読んで衝撃受けてショック受けました・・・
嫌いじゃないんですけど、万人受けはしないんでしょうね
国枝先生の作品が初めて・あまり知らない人は、他の作品にすごく明るい、幸せなコメディ作品もあるということを知ってほしいです笑

内容紹介は既に他の方がされているので割愛しますが、
巽が三木の寝顔を撮るところは、このジェットコースターのような展開の上巻の中で一番穏やかな瞬間でした。
これが後に下巻への伏線というかフラグになります・・・下巻を読んだ後はすごく切なくなります。

4

SとかMとか関係なく

先が気になって、ページをめくるのすらもどかしい!
もはや自分が萌えているのか、単純にこの無様に絡まった糸がどう解れていくのかを見届けたいだけなのか、分からなくなっていました。

大企業の社長の運転手をしていた父が亡くなり、社長宅に引き取られた巽。
社長には2人息子がいて、長男は社長に似て横柄。
使用人としてこき使われる巽に懐いてきた次男の涼馬は、愚鈍でピュア。
数年後、次期社長として育てられた長男が亡くなって、急遽社長候補となった涼馬。
ことあるごとに引きこもる涼馬のお目付役として、ストレスを溜めていた巽が出会ったのは、三木という怪しい男で…。

受けへの愛情を感じられないS攻めは苦手です。
それなのに、なぜかそこまで嫌悪感なく読み進められました。
巽の幹に対する酷い仕打ちよりも、先が気になって!

巽の中にある嗜虐性は、愚鈍な涼馬のそばにいたせいなのか。
年齢はわからないけれど、あまりに幼く甘ったれな涼馬を見ていると苛立つのはものすごーーーく分かります。
だけどそれと同時に巽は涼馬に対する庇護欲も感じていて、そういう涼馬に対するどろどろした感情の捌け口として三木を利用するわけですが、三木自体がミステリアス過ぎて、先が読めない!

巽の中に生まれてきた三木への執着と、涼馬の巽に対する独占欲のようなものも見えてきたところで上巻終了。
早く下巻を!!
という気持ちになるので、必ず上下巻揃えてからお読みください。

さて、早く下巻を!!

3

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