snowblack
A5版裏表のペーパー。
本編に対しては、いささか微妙な感じで感想が纏まらず
その纏まらなさをどう表現していいかもわからずに
評価を保留しているのだが
こちらはすっと胸に落ちて、とても好きな話だった。
本編の後、彼らは「18-27」(19-28かもしれない)になっている。
会社でたまたま宅配便の受け取りをした真知は、
若い配達員から「ひょっとして、博物館のお兄さんですか?」と
声をかけられる。
蘇る記憶、あの日おどおどと小さくなっていた浅倉くんが
すでに結婚していて一児の父になっていたという驚き。
ちゃんと大人になってあの日よりずっと生き生きしている様に喜び、
そしてその間の自分が知らなかった佑の姿を聞いて
彼がその優しさを変えることなく成長してきた幸せを、改めて喜ぶ。
双方大人となり、振り返る視点になったことでの
ちょっと切なくほろ苦くそして暖かな味わい。
後半は、佑と一緒に居られる空間が欲しいから
やっぱり一人暮らしがしたいと願う真知。
その背景には、自らを律するたために
二人きりになるのを避けていた我慢の歴史がある。
タイトルの「いいこいいこ」は、真知が佑に対して思うことだが
読み終わってわたしは、真知も浅倉くんももちろん佑も、
皆に対して「いいこいいこ」と抱きしめたい気分になった。
そんなSSでした。