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木原さんはラスト30ページくらいから攻・受の間合いが詰められるというか、急展開になることが多い気がします。
これからいよいよ…というところで終わるので、ある意味余韻があるとも言えますが、やはり大多数の人は物足りなくじれったいのではないでしょうか。
この短編集はそういった「痒いところに手が届かなかった感」を解消してくれます。
『エアメール』
2ページ程度のショート。
谷地がロンドンに行くことを決心するまでの心境が書かれています。
『エアメール2』
4ページ程度のショート。
谷地がロンドン旅行を終えて、日本に帰国した直後の話。
とうとう谷地家に文明の利器、パソコン導入と相成りました。
その経緯についてはぜひ本書で読んでみてください。
『雪とマフラー』
10ページほどの短編。
榛野がロンドンから日本に帰国する話。谷地もお弁当屋さんではなくなっています。
榛野が谷地にもらった水色のマフラーを大切にしている様子がいいですね。
谷地も感情の起伏がないように見えて、榛野が帰ってきた時に猫がいないと寂しいだろうからと餌をやりすぎた(結果、猫がぽっちゃりしてしまった)りと、小さいところで色々思い遣っているんだなというのが伝わってきました。
『夏の縁側』
ページ数としてはこれが一番長いです。37ページの短編集なので上記3編分を差し引くとおそらく20ページくらい。
榛野のロンドン帰国から半年後の設定で、2人は谷地の家で一緒に暮らすようになっており、なんと谷地が榛野を下の名前で呼んでいます。
谷地はどうやらスーパー攻め様とタメを張れそうな甘いセリフを吐く時もあれば、人の心の機微に鈍いというか、ガチで真面目な返答をしてしまって榛野をやきもきさせる傾向があります。ただ、基本的にはどーんと落ち着いています。
対して榛野はものすごく気にしいですね。ノーパンで浴衣を着る大胆さはあるのに、はしたないと思われたくないという微妙なお年頃。
榛野が谷地に風鈴を買ってもらうくだりがあるのですが、「嬉しすぎて、猫に触らせたくないくらい」だと告白するところが可愛かったです。
短編集ということで、もう何度も何度も読み返しています。他の方も書かれている通り、めちゃくちゃ甘いです。ずっと噛み締めていたくなります。私は本編を読み終わってすぐ購入、夜更かしして読んで眠れなくなりました。笑
木原先生の作品はもうぼろぼろ泣いたり心がじくじく痛くなったりそんな中の(もしくはあとの)やっと結ばれたり思いが通じ合ったりするような甘い所がたまらないですよね。その中でもこちらの夏の縁側はもう本当にたまらんのですよ!
物語中なんだかゆっくりしたかんじの空気が流れているな、と思っていましたが榛野が日本に帰ってきてからはよりいっそうそんな感じがしたというか。二人で過ごしているのが本当に幸せそうで、甘い。好きな所をあげるなら、貞淑な妻のように〜の一文とか、「私が別れたいと言っても〜」のセリフとか。谷地のことをどれだけ好きなのか、ひしひし伝わってくるんです。なんていじらしいんだろう……とバタバタしたくなりました。
谷地と榛野の猫と末永く幸せでいてほしい……と思いました。本当に甘くて幸せ。とにかく甘くて幸せなんです!
あまーい!あまっあま!
砂というかもう砂糖をメープルシロップでかためた塊が5kgくらい出そう。
「……谷地さんは冷たい」の榛野の甘えん坊将軍っぷり。
好きだ、俺の方が好きだ、の痴話喧嘩っぷり。
犬も食わないってやつですが、くっついた後の甘々話が自分は大好きです。
木原音瀬さんの既刊の全てにこのくらいの後日談が欲しい……w
そういえば榛野はリバって設定ありましたが、本編後日談ともに一切リバる気配はなかったですね。
谷地が想像以上にスパダリだったのでこのままリバはなさそうですが、ちょっと読んでみたかったです。
本編「深呼吸」の隙間を埋めるようなサイドストーリー四編。谷地と榛野の関係がとても甘やかで、何回読んでも胸がいっぱいになります。
「エアメール」
本編で谷地がロンドンの榛野を訪ねた理由が明かされます。
毎週谷地にエアメールを送ってくる榛野がいじらしくて。時間のかかる静かな手紙のやり取りだからこそ、谷地の中に少しずつ榛野への情が育っていったのでしょうね。甘えてきた猫の寝顔を「榛野に似てる」と思いながら、優しく撫でる場面にすごく萌えました。谷地がすでに榛野をかなり可愛いと思っていたことが分かります。
「エアメール2」
ロンドンで榛野と恋人同士になった直後、一人帰国した谷地。追いかけるように榛野が電話をかけてきます。ぎこちなく恋人の会話をする二人が甘くてたまりません。会えない切なさに榛野の声が震え、谷地の心もまた愛しさに震えて…。恋する榛野が別人みたいに弱くて、キュンときます。
「雪とマフラー」
大雪で電車が遅れる中、ロンドンから帰国する榛野を空港に迎えに行く谷地の心は、早く会いたい気持ちと一緒に暮らす期待でいっぱいで。三か月ぶりの再会。家に着いたとたん、谷地の熱く優しい抱擁が榛野を包み、榛野の不安は吹き飛んでしまいます。二人の「おかえり」「ただいま」に両想い感があふれていて、こちらの頬が熱くなってしまいました。
榛野が谷地の使い込んだコートとマフラーを見て、「自分も谷地のお気に入りになって、ずっと大事にされたい」、なんて考える様子が、もう可愛くてたまりません。
「夏の縁側」
二人が谷地の家で一緒に暮らし始めて半年。ある日二人は浴衣を着て夏祭りに出かけ、楽しい時間を過ごします。ところが、榛野が下着をはいていないことに谷地は気づき、慌てて家に連れ帰ります。しょんぼりする榛野に谷地が口づけ、そのまま二人は縁側で…。谷地のことが好きすぎて、怯えたり甘えたり怒ったり泣いたりする榛野は、まるで乙女で猫のよう。そんな榛野を谷地が愛しく思う気持ちが伝わってきます。
洗濯は谷地がしているのだそう。榛野は手先が不器用だから、料理もきっと谷地。きれい好きの榛野はお掃除担当かな。古い家の寝室や居間、庭の描写から、二人の穏やかな暮らしが目に浮かぶようです。
養子縁組して榛野を安心させてあげればいいのにと思いますが、谷地はそういうことに疎そうなので、思い切って榛野からおねだりしたほうがいいかも(笑)。
本編のときより、谷地は情熱的で雄々しく、榛野はけなげで泣き虫になったようです。性格が真逆な二人だからこそ、愛し合う中で刺激し合い、情もより深まるのかも、と思いました。
二人の話をもっと読みたいです。
※本編後に読みました。
やさしー!
あまーい!
ほんとに木原先生?!
ってかんじです。
いや、木原先生の筆力は、辛い痛いだけじゃなく、スイートにもギャグタッチにも存分に活かされているのは周知の事実ですね。
本編では少し変わり者で合理主義の冷たい印象もあった榛野ですが、可愛いじゃないか…
そしてマイペースで優しい谷地さんも、男だった!
始まり?が拗れたというか複雑な立場での大人どうしの関係だから、うまくいかないんじゃいかと思っていたけど、お互いに良い意味で変わって(変わらせて)いくプロセスが読めて幸せです。
ロンドンや、古い日本家屋もいい味だしてます。
短いストーリーなのに素敵な余韻があってさすが木原先生ですね。