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表題作僕等の夜は嘘吐き

トモエ カズキ
ミフネ

同時収録作品人間的恋愛論 / 青春的友愛論

同時収録作品愚か者と聖夜 /愚か者達と後日談

同時収録作品彼女のバタフライエフェクト/彼のターニングポイント

同時収録作品滅亡少年恋愛図鑑

同時収録作品夜宮くんの犬 / 夜宮くんの恋

同時収録作品誰にも言えない話の話

その他の収録作品

  • 僕等は昼も嘘吐き
  • 嘘吐きも時には正直

あらすじ

「お前が男の俺に突っ込まれてアンアン言ってるなんて、誰も知らないもんな」嘘吐きで変態なトモエ、真面目で優しい愛妻家のミフネ。正反対なのに「仲の良すぎる親友」なのが不思議だと社内で噂される2人には、誰にも言えない秘密があった…。数知れない嘘の中、たったひとつ存在する「本当」とは――。嘘と秘密の中で懸命に恋を守って生きる2人を描いた表題作ほか、リーマンから学生、実の兄弟、人外×人間まで、恋を巡る7つの嘘と秘密の物語を収録した、心がふるえる、官能的なデビュー短編集。

作品情報

作品名
僕等の夜は嘘吐き
著者
ヨシダリョウ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
arca comics
発売日
ISBN
9784908757174
3

(21)

(5)

萌々

(6)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
7
得点
58
評価数
21
平均
3 / 5
神率
23.8%

レビュー投稿数7

恋愛にまつわる苦くてせつない部分を切り取った話が多い

ああ、これ私、好きです。特に表題作と人間的恋愛論が良かったです。
恋愛にまつわる苦くてせつない部分を切り取った話が多い。
だからハッピーエンドで終わるBL漫画の短編集を期待されるとかなり失望するでしょう。
片想いのまま終わる話もあるし、解決していないまま終わるものもあります。
もやもやとした余韻を楽しめる方にお勧めします。

女の子視点の作品が二つありますが、嫌な女ではないのでこれは大丈夫ではないかと思います。

【僕等の夜は嘘吐き】【僕等は昼も嘘吐き】【嘘吐きも時には正直】これは神3つくらい捧げたいくらい好き。
幼馴染カップルの話。
攻めは周囲から下ネタ大好き、官能小説大好きの変態でだらしない人間だと思われ、受けは清廉潔白な愛妻家と思われているが、本当はそんな性格ではない。
だがあえて周囲には誤解させたままで過ごし、素の自分は相手にしか見せてやるもんかと思っている。
攻めが読んでる本は官能小説どころか動物の求愛行動に関する専門書で、恋愛と生殖と、友人と恋人とその境目が解らなくなった挙句、本に答えを求める日々。そして俺らが雄雌同体のナメクジだったらなんにも気にしなくていいのに・・とか考えている。(この作家さんのこういうディテールが好きです)
受けは政略結婚で有無を言わさず結婚させられて以来、奥さんに嘘を重ねて攻めと会う日々。
攻めが受けを抱きながら、奥さんと自分とどっちが気持ちいいか?好きかを聞いて悔しそうにボロボロ泣いているところ・・・ここが普段、皆からバカにされても笑顔でかわしている攻めの唯一の感情の発露であり物凄く心鷲掴みにされる。
ちなみに奥さんと別れるとかそういう明るいものを感じさせる終わりではない。

世間をどれだけ欺き続けようとも、好きだという気持ちだけが紛れもない真実。
それを守るためなら、どんな嘘でも重ねる。
自分に対する誤った見方なんか本当は絶対嫌なんだけど、相手のことを考えるとまぁいいか・・と。
歪んでいるけど、どうしようもなく愛し合っている感じがたまらなく好きです。

【人間的恋愛論】【青春的恋愛論】これもせつなすぎて神
同級生同士の話。「恋愛は子孫を残すためのプロセスだ」としばしば口にするナナキ。ナナキはモテ男だが一切女に興味を示さず、ずっと隣にいる親友の事が好きなんだけど、親友は全くその思いに気付いていないどころか、「恋愛は子孫を~」って本当にそう思っているのか?と突きつける。
それに対してナナキの回答がせつないです。でも鈍い親友は「いつか報われればいいな」とか思っちゃう始末だし、「で、お前の好きな人って本当は誰?」と聞いちゃう。受けは可能な範囲で答えるなんだけど、最後は耐えきれなくなってしゃがみ込んで泣いちゃう・・・でも、そうなった理由は誤魔化すんです。
これも二人がくっつく話でありません。そのせつなさが胸に突き刺さります。
いつかくっつけばいいなぁ。その兆しは欠けらも見えないが・・・。

【愚か者と聖夜】萌
ガチ兄弟のお話。地雷ですけど、お兄ちゃんは全然気付いていないポヤポヤした人なので読めました。

【彼女のバタフライエフェクト】【彼のターニングポイント】萌
同僚と高校生というカップルをずっと観察している同僚女性視点のお話。同性同士での付き合い=道を踏み外したと捉えている彼女はその先どうなってしまうのか知りたいと思ってたけど、本当はその先が「不幸」であればいいと思っていた自分は嫌なやつだった、と気づくんです。女性が出てくるけど女性自身が変わろうとするお話で、前向きになれる話だったので大丈夫だと思います。

【滅亡少年恋愛図鑑】萌
3年後、隕石で地球が滅亡したら・・という過程で過ごしている四カップルの話。死ネタが一つあります。3年という年月は人にとてはあっという間でもあり、3年もある・・・という。

【夜宮くんの犬】しゅみじゃない
これはちょっと判らなかった・・・犬は犬とあとがきにあったけど、人間の形しているし、犬人間?は俺たち化け物と言ってるし・・・。それでその犬人間?は夜宮とやってるし・・・(歯型も残している)

【誰にも言えない話の話】萌
ガチ兄弟と親の再婚で一緒になった幼馴染ムツミ(女子高校生)のお話。女の子視点。
ある日兄弟でキスをしているところを目撃してしまい・・。弟はムツミが兄の事を好きだったと思っていて、あいつは俺のもんなのであげられない・・と言われるけど、実はムツミはずーっと弟のほうが好きで・・・。

ガチ兄弟、地雷なんだけど、この本で二つも出てきた・・・。でも生々しくないので読めました。

2

人間といふものは、兎角傷つきやすく

こころを抉ってくるなあ。
経験よりも難しい専門用語や知識を知ることの方が有益だと思えた頃、自分には何だってできるとか、ここではないどこかにわたしのいるべき場所がある、なんて思ってた頃が蘇ってくるような、胸に痛い短編集です。

「僕等の夜は嘘吐き」「僕等は昼も嘘吐き」「嘘吐きも時には正直」
トモエとミフネは小学校からの腐れ縁。
だらしなくて下ネタ好きで結婚できないトモエと、真面目で清く正しい愛妻家のミフネ、というのが周囲の評価。本当の2人の姿は2人しか知らない。
人は嘘を容易に信じて、本当のことは信じないという深い話。

「人間的恋愛論」「青春的純愛論」
小難しい理屈ばかりをこねくり回しているのに、女子にはモテモテの男子高生ナナキと、中学からの友人のコダカ。
ナナキには好きな人がいて、それが誰かを知りたい女子の相談に乗るコダカ。
推して知るべし。鈍感な友人を持つとつらいよ。たくさんの理屈をこねてみても、そんな友人を諦めきれないのもつらいよ。という話。

「愚か者と聖夜」「愚か者達と後日談」
お人好しすぎてばかを見てばかりの兄と、そんな兄を好きな弟。
愚か者はどっち?どっちも?という話。

「彼女のバタフライエフェクト」「彼のターニングポイント」
社長である父の後を継ぐために、地方の小会社で下積みをしているミヤザワと、彼に告白した男子高生のホヅミ。そんな2人を観察する同僚のカヤマ。
レールを外れたミヤザワの変化にカヤマは何を思う?という話。

「滅亡少年恋愛図鑑」
地球滅亡まであと3年。
残った時間をどう過ごすかを、付き合って3日の同級生、先生と生徒、好きだった友人が病気で亡くなった生徒、日誌を事細かに書く同級生の目線で叙情的に描かれていました。

「夜宮くんの犬」
前の席に座るヨミヤの首にある噛み跡を見つけた日から、ヨミヤが気になるコーサカ。「犬に噛まれた」という返事と、犬の存在と、一体ヨミヤは誰にされたのか。そして犬はコーサカに何をしたのか。
謎が残る…。

「誰にも言えない話の話」
おおおおお。すごい…。
女子BLですな!
女子にモテモテにアラタと、ぶっきらぼうなタケルの兄弟。
この2人と2年前に親の再婚で兄弟になったムツミは、家で2人がキスしているところを見てしまい…。
信じたくないこころの奥底には、秘めた想いがあるのです。ムツミの言動から嫌なやつに見えるけれど、最後に「ああ、この子もただの恋する女の子なんだね…」と、ムツミのために泣きたくなるような気持ちになる話。

どれも鋭いナイフのような作品でした。
いたい、いたい。

0

爆弾

短編集です。ちるちるの作家ページにリンク貼ってあるpixivを拝見したら、短編があげてあって、そちらもこの本と同じ雰囲気の作品でした。一貫している。BL漫画を描く方、というより一般漫画っぽい雰囲気だな〜と思ったらやはりそんな感じでした。

7つの作品のどれもが爆弾を抱えてるけど、短編なのでそれが爆発するところは見ないで終わっていくところが、面白いです。
表題、不倫してる男と男の終着点を描くかと思いきやそこは描かないで、あくまでも爆弾を抱えている今の状態だけ描いている。
不倫ものだからってわけではなく「人間的恋愛論」とか「滅亡少年恋愛図鑑」とか、学生同士でも爆弾が爆発するのか不発なのか、時限式なのかピンも抜かれていないのか分からないまま。

あとがきにも特に今後のバレ的なものを書くわけでもなく、作家さんのこのスタンス好き。

0

新鮮でした

同人誌が一冊の本にまとまったものだそうで、初コミックスだと作者さんが書かれていました。

なるほど、短編集なのですがそれぞれのテイストが個性的で、コミカルなものあり、女性目線あり、兄弟ものありで楽しめるものばかりでした。

表題作の「僕等の夜は嘘吐き」は、片方が結婚しても関係が続いていて、純愛好きの私としてはモヤモヤするものですが、結婚していてもトモエのことが好きと言う気持ちが伝わってきて、でもどうすることもできない状況が切ないです。いつか結婚生活が破綻して、二人が暮らせる日が来るといいなぁ。

1

飄々としているけれどちょっと痛い

◆僕等の夜は嘘吐き(表題作)
 終始あっけらかんとした雰囲気で描かれているけれど、中身は結構ハードな物語。お互いの好意は分かっていて受け入れてもいるのに、ミフネは結婚から逃れられず既婚者になり、トモエは愛人の位置に甘んじる。会う時には思い切り羽目を外して心から楽しんでいるようなのが救いですが、一生このままなのかと考えると切ないですね。一方で、周りに嘘を吐いてばかりの人生だからこそ、2人きりの正直に過ごせる時間が何よりも尊く感じられもするのでしょう。

◆誰にも言えない話の話
 女子視点をBLに上手く取り入れられる作家さんは貴重だと思っています。兄弟と、再婚で家族になったムツミ。その兄弟はデキていた。なんとなく気付いているようで、実際に見せつけられるとやっぱり受け入れがたくて。何も見なかった聞かなかった、冗談なんだろう、と目を瞑ることができれば一番楽。でも、弟の方はそうさせてくれなくて。3人それぞれの気持ちに共感でき、後味も悪くない作品で気に入っています。もっと長くても良かったかも。

0

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