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表題作僕等の夜は嘘吐き

トモエ カズキ
ミフネ

同時収録作品人間的恋愛論 / 青春的友愛論

同時収録作品愚か者と聖夜 /愚か者達と後日談

同時収録作品彼女のバタフライエフェクト/彼のターニングポイント

同時収録作品滅亡少年恋愛図鑑

同時収録作品夜宮くんの犬 / 夜宮くんの恋

同時収録作品誰にも言えない話の話

その他の収録作品

  • 僕等は昼も嘘吐き
  • 嘘吐きも時には正直

あらすじ

「お前が男の俺に突っ込まれてアンアン言ってるなんて、誰も知らないもんな」嘘吐きで変態なトモエ、真面目で優しい愛妻家のミフネ。正反対なのに「仲の良すぎる親友」なのが不思議だと社内で噂される2人には、誰にも言えない秘密があった…。数知れない嘘の中、たったひとつ存在する「本当」とは――。嘘と秘密の中で懸命に恋を守って生きる2人を描いた表題作ほか、リーマンから学生、実の兄弟、人外×人間まで、恋を巡る7つの嘘と秘密の物語を収録した、心がふるえる、官能的なデビュー短編集。

作品情報

作品名
僕等の夜は嘘吐き
著者
ヨシダリョウ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
arca comics
発売日
ISBN
9784908757174
3.1

(22)

(5)

萌々

(7)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
8
得点
62
評価数
22
平均
3.1 / 5
神率
22.7%

レビュー投稿数8

いい意味でずっともやもやさせられる短編集

EbokJapanで途中まで無料で読ませてもらいました。
短編集なので、続きが気になったわけではないのですが、どこかもやもやさせられる、心にひっかかる、刹那さがある風合いに心惹かれて単行本を購入しました。
初読みで好きになった作家さんです。
デビュー短編集発売から9年、以降の発表がないようなのが残念です。
他の作品も読んでみたくなります。

13の短編が収録されていますが、7つのお話にまとめられます。
それぞれのタイトルのつけ方も言葉選びとリズムとバランスが秀逸です。

僕らの夜は嘘吐き
僕らは昼も嘘吐き
嘘吐きも時には正直

幼馴染で親友で、親友でなくなった嘘月の2人のお話
体面のためにつく嘘、好きな相手のためにつく嘘、自分を守るためにつく嘘
いろんな嘘が出てきます。
かなしくて、せつなくて、ちょっと甘酸っぱくて、やさしい愛情をとぎれとぎれに感じる3編でした。

人間的恋愛論
青春的友愛論

恋愛は子孫を残すためのプロセス、と言い切るナオキ、と親友のコダカ。
女の子からの人気が高く、たびたび告白されるけれど、好きな人がいるからと断り続けるナオキに、ナオキ目的の女の子に話しかけられたり巻き込まれがち、その好きな人とは誰なのかと疑問を持つコダカ。
男の子同士の友情っていいな、と思わされたり、思春期って甘酸っぱいなと思わされたり、生物学と恋愛の兼ね合いについて考えさせられたりします。
ナオキの片想いが実ることがなさそうだけど、片想いが苦しくても、2人の友情は確かにあり、それはずっと続いていくのだろうなと感じさせられました。恋愛が実らなくて、片方がまったく気づかないBLも良いものです。

愚か者と聖夜
愚か者たちと後日談

心優しく、おつむはちょっとゆるそうな、きれいな兄、と、そんな兄をじれったく思いつつひねくれた愛情を持つ弟。
両親の仕事の都合か、毎年、クリスマスは兄弟2人きりが多かったようで、兄にねだられた弟が、最初はめちゃくちゃ、徐々に腕を上げてクリスマスケーキを作って食べさせてあげています。
クリスマスを一緒に過ごすのは家族、恋人、どちらにしても大事な人、というのが、伝わってきます。
愚か者、という言葉の使い方が効いています。

彼女のバタフライエフェクト
彼のターニングポイント

名門大学を卒業後、親の敷いたレールの上を淡々と走っていたミヤザワが、突然の告白によって、一回りも下の男子高校生と交際することになります。その経緯ではなく、同僚の女性との仕事や人生に関する会話が主のお話です。女性目線の横恋慕でもない独白が続き、本人は嫌なやつだと言っていますが、わかる気がするところもあり、心にちりちり引っかかりました。
関係性は薄いので、影響力が強いわけではないけれど、同僚女性の言動によって、ミヤザワの気持ちや考えが整理されているようにも見えるのがおもしろいです。
ミヤザワにとって、同僚女性にとって、の、バタフライエフェクトが、ふわりと見える作品です。

滅亡少年恋愛図鑑

3年後に地球が滅亡することがほぼ決まっている世界の高校

身分違いの恋をする男性高校2人、ただし交際3日、考えや会話に少年さ、と、青年さ、が混じっているのが甘酸っぱいです。
先生が大好きで必死にアプローチする高校生と、立場を守り距離を取ろうとする先生、あと3年しかないからこそどうするべきか、潔い高校生と、あと3年ならと揺らぐ先生が愛らしいです。
病死した愛する人に会える日を心待ちにする高校生、地球滅亡は本当に起きるのか、起きないのか、苦しさと切なさを感じます。
日誌を書く当番と、どうせ地球が滅亡しちゃうんだから適当にやればとそそのかす同級生。両片思いらしい2人のかわいらしい会話と告白の様子に萌えます。

夜宮くんの犬
夜宮くんの恋

クラスで前の席に座っている夜宮は、「ペットの犬」につけられた歯型が首やら肩やらについていることが多く、それを発見するたび動揺し気になってしまうコーサカ。
夜宮の秘密が気になって、夜宮自身が気になっていたコーサカが、ある日、とうとう、夜宮の秘密に踏み込み、助けようとするのですが・・・
ネタバレになるから感想が書けませんが、この短編集で一番、心がちりちりする、衝撃がありました。

誰にも言えない話の話

親の再婚で兄弟妹となった3人。付き合っている2人と、片想いをしている1人と、と、複雑です。
彼らにとっては大問題、でも、周りにとっては関係のない話。
家族の愛と、恋愛の気持ちと、いろんな感情が濃く、せつなく、感じられる話でした。

0

飄々としているけれどちょっと痛い

◆僕等の夜は嘘吐き(表題作)
 終始あっけらかんとした雰囲気で描かれているけれど、中身は結構ハードな物語。お互いの好意は分かっていて受け入れてもいるのに、ミフネは結婚から逃れられず既婚者になり、トモエは愛人の位置に甘んじる。会う時には思い切り羽目を外して心から楽しんでいるようなのが救いですが、一生このままなのかと考えると切ないですね。一方で、周りに嘘を吐いてばかりの人生だからこそ、2人きりの正直に過ごせる時間が何よりも尊く感じられもするのでしょう。

◆誰にも言えない話の話
 女子視点をBLに上手く取り入れられる作家さんは貴重だと思っています。兄弟と、再婚で家族になったムツミ。その兄弟はデキていた。なんとなく気付いているようで、実際に見せつけられるとやっぱり受け入れがたくて。何も見なかった聞かなかった、冗談なんだろう、と目を瞑ることができれば一番楽。でも、弟の方はそうさせてくれなくて。3人それぞれの気持ちに共感でき、後味も悪くない作品で気に入っています。もっと長くても良かったかも。

0

爆弾

短編集です。ちるちるの作家ページにリンク貼ってあるpixivを拝見したら、短編があげてあって、そちらもこの本と同じ雰囲気の作品でした。一貫している。BL漫画を描く方、というより一般漫画っぽい雰囲気だな〜と思ったらやはりそんな感じでした。

7つの作品のどれもが爆弾を抱えてるけど、短編なのでそれが爆発するところは見ないで終わっていくところが、面白いです。
表題、不倫してる男と男の終着点を描くかと思いきやそこは描かないで、あくまでも爆弾を抱えている今の状態だけ描いている。
不倫ものだからってわけではなく「人間的恋愛論」とか「滅亡少年恋愛図鑑」とか、学生同士でも爆弾が爆発するのか不発なのか、時限式なのかピンも抜かれていないのか分からないまま。

あとがきにも特に今後のバレ的なものを書くわけでもなく、作家さんのこのスタンス好き。

0

人間といふものは、兎角傷つきやすく

こころを抉ってくるなあ。
経験よりも難しい専門用語や知識を知ることの方が有益だと思えた頃、自分には何だってできるとか、ここではないどこかにわたしのいるべき場所がある、なんて思ってた頃が蘇ってくるような、胸に痛い短編集です。

「僕等の夜は嘘吐き」「僕等は昼も嘘吐き」「嘘吐きも時には正直」
トモエとミフネは小学校からの腐れ縁。
だらしなくて下ネタ好きで結婚できないトモエと、真面目で清く正しい愛妻家のミフネ、というのが周囲の評価。本当の2人の姿は2人しか知らない。
人は嘘を容易に信じて、本当のことは信じないという深い話。

「人間的恋愛論」「青春的純愛論」
小難しい理屈ばかりをこねくり回しているのに、女子にはモテモテの男子高生ナナキと、中学からの友人のコダカ。
ナナキには好きな人がいて、それが誰かを知りたい女子の相談に乗るコダカ。
推して知るべし。鈍感な友人を持つとつらいよ。たくさんの理屈をこねてみても、そんな友人を諦めきれないのもつらいよ。という話。

「愚か者と聖夜」「愚か者達と後日談」
お人好しすぎてばかを見てばかりの兄と、そんな兄を好きな弟。
愚か者はどっち?どっちも?という話。

「彼女のバタフライエフェクト」「彼のターニングポイント」
社長である父の後を継ぐために、地方の小会社で下積みをしているミヤザワと、彼に告白した男子高生のホヅミ。そんな2人を観察する同僚のカヤマ。
レールを外れたミヤザワの変化にカヤマは何を思う?という話。

「滅亡少年恋愛図鑑」
地球滅亡まであと3年。
残った時間をどう過ごすかを、付き合って3日の同級生、先生と生徒、好きだった友人が病気で亡くなった生徒、日誌を事細かに書く同級生の目線で叙情的に描かれていました。

「夜宮くんの犬」
前の席に座るヨミヤの首にある噛み跡を見つけた日から、ヨミヤが気になるコーサカ。「犬に噛まれた」という返事と、犬の存在と、一体ヨミヤは誰にされたのか。そして犬はコーサカに何をしたのか。
謎が残る…。

「誰にも言えない話の話」
おおおおお。すごい…。
女子BLですな!
女子にモテモテにアラタと、ぶっきらぼうなタケルの兄弟。
この2人と2年前に親の再婚で兄弟になったムツミは、家で2人がキスしているところを見てしまい…。
信じたくないこころの奥底には、秘めた想いがあるのです。ムツミの言動から嫌なやつに見えるけれど、最後に「ああ、この子もただの恋する女の子なんだね…」と、ムツミのために泣きたくなるような気持ちになる話。

どれも鋭いナイフのような作品でした。
いたい、いたい。

0

表題作がありえないくらいに不快な不倫モノでした…

自分の好きそうな作風だったので惹かれて手に取ってみたものの、表題作で撃沈でした…。
もやもやを吐き出したくてレビューします。ごめんなさい。

「僕等の夜は嘘吐き」「僕等は昼も嘘吐き」「嘘吐きも時には正直」
同僚女性達からは絵に描いたように素敵な男性だと思われている妻帯者の〔ミフネ/受〕と、だらしなくて変態で結婚出来ない男と思われている〔トモエ/攻〕が実は・・・という不倫モノ。
ミフネとトモエは小学校からの腐れ縁で、「仲の良過ぎる親友」として社会人になってもずっと一緒にいる2人。
だけど社長の孫であるミフネは会社のために女性と結婚し、愛し合っている2人の関係は“不倫関係”になってしまった。
正々堂々と愛し合えない2人は夜も昼も嘘を吐いて生きている───というお話です。
現実だってみんながみんな好きな相手と結婚出来るわけではないでしょう。こんな風に誤魔化しながら結婚生活を続けている既婚者だって世の中には山ほどいるかもしれない。
でもいくら2人の愛を正当化しようとしたって不快なものは不快。
「嘘に塗れた世界でこの感情の存在だけはまぎれもない真実」って本当にそう??
涙を誘って正当化しようとしているところにさらに言い様のない不快さを感じる作品でした。

他の作品群は趣味じゃないほどではなかったですが、表題作の不快感をどうしても引きずってしまうせいか、「これは好き!」と思えるものには出会えませんでした。
強く美しく生きている人が私は好きなので、全体的に共感出来ないようなキャラ達ばかりだったなぁと思います。
あとは率直に、もう少し先まで描くからこそ人に読ませられるものなるのでは?と感じる終わり方のものが多かったかな。
良くも悪くも同人誌的な作品集でした。

3

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