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愛した男は祖国を滅ぼした宿敵で!?
今はなき煌陽国最後の血筋である煌は、普段から女性の姿で隠れ里でひっそりと暮らしていた。それでも、子供の頃から剣術の修行は怠ることなく、いつか郭国が奪った玉璽を取り戻し自国が再興することを願っていた。
そんな煌の心には忘れられない人物がいる。それは幼き日、蛇に噛まれたところを助けてくれた瑛。いつかまた瑛が村を訪れるのを心待ちにしながら8年の歳月が経っていた。ようやく再会でき、瑛から求婚されるが煌はそれを断る。何故なら瑛は煌の正体を知らなかったからだった。そんなとき、煌に郭国第二太子の妃候補の話が舞い込んでくる。
敵対し合う国の後継ぎ同士が、真実の恋を貫くお話です。
受けの煌が、隠れ里に暮らしていたり、隠密作戦を企てたりしていたこともあり、どことなく山◯風太郎の甲賀◯法帖を彷彿とさせる展開でした。
瑛が一途に煌だけを求めている姿は素敵で男気溢れていました。守られるだけのお姫様じゃない煌も健気で好感が持てましたが、もう少し敵対する国の太子を愛してしまった葛藤とかがあれば良かったかなぁ、と思いました。どちらかといえば、国同士の蟠りより自分が女性ではないことの方を気にしていた印象なので。
あと、私としては豪族との決着が意外とアッサリだったのに拍子抜けでした。瑛の実母をはじめ、瑛の親戚ザマァなシーンを見てすっきりしたかったです。
大国に滅ぼされた国の皇族の血を引く受けと、それとは知らずに幼い頃に出会った大国の皇位継承権第二位の攻め、というカップリングです。
隠れた土地に村を作り、祖国の再建を悲願として暮らしている一族の皇子である受け。万一の敵襲に備え、幼い頃から女装をさせられています。
それが不服で仕方なかった8歳の頃、村の近辺で蛇に噛まれて絶体絶命のところを、避暑で近くを訪れていた12歳の攻めに見つけてもらい、村まで送ってもらったのが出会い。攻めは受けにとっては敵の皇子ですが、受けと同様に攻めも出自を隠していたため、敵同士とは知らず2人は仲良くなります。
8年後に再び村を訪れた攻めは、美しく強く成長した受けに結婚を申し込みます。でも男であり、皇子として祖国の再興を果たす宿命のある受けはもちろんそれを受けることができません。
その後攻めは国に帰り、やがて受けの元に敵国の皇子の妃選びの催しに参加するようにとの勅令が届きます。
敵同士とは知らず惹かれ合った幼い2人、求婚する攻めと性別を偽っている受け、というスリルと萌えがたっぷりのエンターテインメントな作品でした。攻めのお妃選びや、祖国の再建に必要な印を盗み出すミッションなども楽しく、ドキドキハラハラの展開がとても読みごたえがありました。
でも、なんと言うのでしょう、これはBLであるよりTLであるほうが自然な作品だったように思えました。受けが男だったことによるプラス要素が少ないのです。受け自身、何度も作中で「自分が女だったらどうだっただろうか」とか思っていて、読んでいるこっちも「女子だったらよかったのにね…」とか思ってしまう感じ。
エッチの時も、ずっと男の身体であることを卑下してばかりだし、最終的にも、受けが男に戻って攻めを支えていく展開にはならず、女性の妃として支えていく流れに。
いや、とっても面白いし素晴らしい作品だと思うんです。本も分厚いし、子供時代からみっちり書き込まれた意欲作です。でも、BL読んでて読者が「あー女子だったら良かったのにね」みたいに思っちゃう時点でアカン気が。
とはいえこれは個人的な意見なので、同作を読んで「受けが男でよかった」と思える方もたくさんいると思います。
評価をどう付けるか非常に悩んだのですが、BLとしての評価と考え、神から一段階下げました。
受け攻めはとてもいいキャラでした。特に攻めが男前で好きでした。
キーワードは、中華風、歴史活劇、そして女装。
隠れ里で祖国再興を願いながら、性別を隠して女装して育つ皇子・煌。
ある日、幼い彼を助けた年長の少年・瑛。
実は、彼の国を滅ぼした敵国の皇子。
という、因縁の背景を持った結ばれ得ない二人だが
惹かれてしまうのを止められない、という設定は定番だがロマンチック。
これだけだと煌が女でも成り立つ話なのだが、武道に優れ
利発で行動力もあり、女々しさがないのが爽やかな読み心地になっている。
一方の瑛も、強く賢く、大胆でありながら優しく、深く国を思う花丸攻め。
女だと思われたまま、煌は宮廷に花嫁候補として召される。
宮廷につきものの陰謀に巻き込まれながら、どうなる?
男だとバレるのは時間の問題、そうなったらどうなる?
とドキドキするのですが、そこは割とアッサリ。
お互い思い合う二人は、敵同士で同性という障害も乗り越え
大団円。
個人的にはもう二捻りくらいあるともっと好みだし、BLとして今ひとつ弱いけれど、
主人公二人は好感度が高いし、気持ち良く惹きつけられて
楽しくサクサクと読了でした。
あらすじを読んで期待した思いをそのまま受け止めて、実現してくれたような作品でした。
ただその分、お行儀が良すぎたかな……という気も。
受けも攻めも、いつもきちんとしていて、度肝を抜かれるような言動はしない。
“自分たちは立場上こうでなければならない”ということをきちんと理解していて、それに見合った言動をして、でも“それでも好きだ、愛してる”と訴え、しかし諦めなければならないと考えて、諦めるべく努力をして……。
本当に躾の行き届いた“いい子”として育ってきたんだろうなこの二人、と思わせる受けと攻めでした。
王族という立場が重いのはわかるのですが、でも恋愛に関してくらいは理性を失って激情に駆られる場面があってもよかったように思う。
ハッピーエンドになってよかったけれど、“幸せを勝ち取った”という感じはしなかったのが残念でした。(むしろ“彼らの健気さは無事報われました”エンドという感じ)
綺麗にまとまったお話を読みたい方にはオススメの作品。逆に、“恋は人を狂わせる”ものだと考えている人には不向きかなという印象を受けました。
あとがきにもあるように中華版ロミジュリです。さらにBLです。
身代わり花嫁ものは最近鬼門だと自覚してるのに、月東さんなので楽しみに読んでみました。
長いお話ですね。
途中までは楽しく読みました。
偶然森で瑛に助けられた煌。そして村に度々訪ねてくる瑛。男らしく大人で強い瑛に憧れる煌。
瑛の言葉に煌は女装や不自由さの不満を誇りに変えて生きて。
8年後に村を訪ねた瑛は煌の美しく成長した姿に驚き、賢く勇敢な煌を、こんな女性が妻ならいいのにと思い…。
ここがね。
煌自身を好きになるというより、好条件な煌を妻に欲しいって感じで、ひっかかり。
その後は定番の嫁選びに呼び出され…他の嫁候補達としのぎを削り、やっぱり最終選考まで残り…。
こういう勝手に嫁候補に断れないのをわかってて招集しといて、他の嫁候補に嫌がらせされたりしてるのも承知しながら助けもせず、切り抜けて這い上がって来いみたいな攻めは苦手なんですよね…。だけど多いですよね、このパターン。
煌は何度も嫁にはなりませんと言ってるのに、諦めない瑛。いや、諦めるのが良いわけじゃないんですが。
瑛のワガママを無理矢理通すみたいで。
しかも相変わらず煌が好きなのか、自分のために煌のような嫁が欲しいのかと突っ込みたい感じで。
もちろん読み応えはたっぷりなんですよ。
真の敵を追い詰め、70年間の恨みを前向きに変えて、協力して国を取り戻す。
そして煌に自由を返そうとする瑛。
ええ!いまごろ?と思っちゃって。だったらエッチしなきゃ良かったのにー。
大団円ですが、肝心の主人公カップルにはまれず。