電子限定おまけ付き
失敗したーっ。
何でもっと早く読まなかったんだろう。
あまり得意じゃない『子育てもの』だと思っていたんですよ。
でもそうじゃないことに気づいて、読んで良かった。
このお話、最高です!
私の大好きな変態攻めさんがここに!
お話自体は決してトンチキではありません。
ちゃんときれいに動いて行くというか、明後日の方向に突っ走ったりしません。
でもね、トンチキの匂いがするのよ、佐々城社長から。
それも例えようもなく香ばしいトンチキ臭なの。
これがねぇ、なかなか払拭できない『いや~ぁな気分』を忘れさせてくれる香りなんです。
変態攻めと言っても佐々城社長はゲス野郎ではございません。
永輝くんが好きなあまり、妄想がぶっ飛んでしまうタイプの変態です。
お話が1/3程度進んだあたりで、隼人(社長の息子)にせがまれて永輝くんは佐々城社長宅にお泊りすることになるのですが、彼の着替えのパジャマを用意しなければならないと思いついた処から始まる社長の妄想が
す・ば・ら・し・い・!
少し大きな自分のパジャマを貸したらどんな風に見えるか?
もしズボンの裾を踏んで転んだらどう慰めるか?
もし転んで素肌(あんなところや、あんなところが)見えちゃったら、見ても良いのか?どのくらいなら許される?
……ここの展開だけでもう『神』!
登場人物は全員が個性的ですが悪人はおらず、両片思いのジレジレは甘酸っぱく、そして何より『とてもハイスペックなのに恋の前で右往左往する妄想変態紳士』の可愛らしさに満ち溢れている傑作だと思います。
名倉さんのよく書かれる、ちょっと変態入った残念イケメン攻めを堪能できる一冊。
攻め受け両視点ある両片思いモノで、二人の可愛いやり取りにニヤニヤできるラブコメです。
あらすじ:
シスコンの大学生・永輝(受け・20歳)は、政略結婚させられそうになっている姉を救うため、見合い会場へ。
見合い相手はバツイチ子持ちのイケメン社長・佐々城(攻め・35歳)。
家政婦が入院して途方に暮れている佐々城を放っておけず、バイトでベビーシッター兼ハウスキーパーとして働くことに…
佐々城は、姉に本命の相手がいることを知るやアッサリ引き下がる紳士的な人物。
実はバイセクシャルの永輝は佐々城のカッコよさに一目惚れし、思わずバイトとして働くことを提案…という流れ。
佐々城は佐々城で永輝の美しさに一目で心奪われ、自覚なしに永輝に一目惚れ。
永輝の家事スキルやしっかりした言動にいちいち感嘆する姿が微笑ましく、見た目のスマートさを裏切るおとぼけキャラに萌があります。
バイの自覚ありとは言え男と付き合ったことはない永輝と、ノンケで自分の永輝への気持ちにさえ気づいていない佐々城。
相手に引かれないようお互い探り探りのアプローチになっており、絶妙なすれ違いっぷりが可笑しいです。
両想いになってからの後半はひたすらラブラブで、リミッターの外れた佐々城の永輝大好きっぷりを堪能できる内容。
隙あらば永輝の美しさを賛美する佐々城に、永輝がハッキリ引いているのが面白すぎましたw
Hもいきなり挿入するのではなく、徐々に段階を踏んだ上で最後まで致すという流れで、初々しい二人に萌でした。
子育てモノとしてちゃんと育児のシーンもありますが、あくまでメインは二人のラブ展開で、あまり所帯じみていないところが◎
佐々城の5歳の息子も歳のわりにかなりしっかりした良い子で、将来イケメンになりそう?可愛いだけでなく、ちゃんとキャラが立っているところが良かったです。
名倉さん作品らしい、読後はハッピーな気持ちになれる一冊でした!
めっちゃ面白んですよ。変態は好きでないですが、真面目な変人って最高。
表紙の色合いから ほわほわあまあま物かと勝手に思ってましたが違いました、
けらけら笑える「ドタバタではないコメディ」でした。
攻め受け以外の登場人物は
攻めのおこちゃま:5歳の超お利口さん。大人びた口をきく。
攻めの元妻:攻めと結婚した男前な女子。なかなかな大物と思われます。
攻めの秘書(50代♂):攻め親子を熟知したナイス秘書!
受けの父、姉:工房代表、がんこ職人おやじと 母親代わりの優しい姉ちゃん。
出てくるキャラすべて、ナイスプレーヤーです。
兼守先生の挿絵が素敵です。
作品の雰囲気にぴったり~表紙の3人の表情もいいですが
最後の1枚、おこちゃまが息巻いている図も最高でした!
変人攻めが受けに執着、受けは攻めに一目ぼれ だったので
安心して読めると思ってたら、途中で受けが悲しい思いをして
ちょっとだけ胸詰まる思いでした。
が、それらを吹き飛ばす 変人ぶり。最高です。
変人好きにはお勧めです!
大学2年生の三澤永輝(受け)は早世した母親がわりをしてくれた姉が想い人がいるのに父親に言われて10も年上のバツ一持ちの会社社長と見合いをする聞いて激怒。お見合いをぶち壊そうと見合い会場に向かいます。あっさりお見合いをなかったことにできた永輝ですが、お見合い相手の佐々城(攻め)の一人息子の隼人の面倒をみていた家政婦がぎっくり腰で病院に運ばれてしまい、困っているのを見て手伝いを申し出ます。
永輝は宝飾品加工会社の社長子息ですが、手先が不器用で後は継げそうにありません。子供が好きで幼稚園教諭になりたかったのに、昔かたぎな父親にそんなことが認められるとは思えず、父に言われるがまま大学に行っています。当てにされていないとわかっていても少しでも父の役に立てるかもと商学部に通っています。
ゲイよりのバイで佐々城は好みど真ん中なのですが、男性と付き合ったことはありません。
佐々城は老舗のジュエリー会社の社長で若くして社長業を継いだ苦労人です。
亡き父も仕事人間だったため息子にどう接すればよいのかがわからず、息子とのスキンシップに迷っています。
そして、情緒がなく思ったことを臆面もなく話してしまうところがあります。
自分の感情を理解することも不得手なようで、永輝も一目惚れだったのに全く気が付かず、秘書の浅野に言われて初めて自分は永輝が好きだったのだと気が付くぐらいです。
隼人はとても聡明で、年中さんなのに小学2年生の漢字をもう覚えているくらいです。あまりに年齢離れしているので、周りから浮いていて、かつ人見知りということもあってなかなか家政婦とも馬が合いません。今の家政婦はとてもうまく行っていたのですが、後任を見つけるのが大変そうなのを見た永輝が手をあげることになりました。
永輝の父親は同性愛は全く理解していないようですが、永輝がゲイなのは気が付いていて黙って見守っていたようです。仕事一筋ですが家族のこともちゃんと考えています。が、何せちゃんと話し合いをしないので永輝との溝は少しも埋まりません。
とはいえ、何も知らない佐々城に向かって暴露したのはいただけません。セクシャリティが関係するようなプライベートなことを他人がいるところで暴露してしまうあたり、宝飾関係には器用でも人間の情緒についてはあまり気の回らない人のようでした。だからこそ、永輝とぶつかってしまったのでしょう。
父親とはなかなか和解できそうにありませんが、それ以外の佐々城の妹や元妻、浅野、永輝の姉はみな理解ある人ばかりなので幸せに暮らせそうです。
それにしても、賢くてまじめなのに誤解されるような言動だったり無自覚に惚気て呆れるような言動してしまう佐々城をうまく補佐している秘書の浅野は凄いです。突拍子もないことを言われて困ってしまう永輝の良いアドバイザーになってくれると思います。
話は両方の視点で交互に書かれているので、両者の心理状態がつぶさにわかって読みやすいです。
特に、佐々城の考え方や言動や感性が変わっていて面白く大いに笑いました。隼人とすぐに仲良くなってくれて自分たちの間に入ってくれているだけで家の中が明るくなるからといって永輝のことを神や太陽、果てにはLEDに例えたり、お泊りすることになって自分のパジャマを貸したら永輝には大きいから乳首やお尻がみえたら見てもいいかなとか真剣に悩んでいたり、元妻にどうしたら長くうまく付き合えるかと尋ねてみたり、等々。そういった話を聞かされる浅野や元妻、永輝の姿を思い浮かべるだけでも楽しい気分になりました。
イラストは本文のイメージ通りでした。特に隼人がかわいいんです。ぷくぷくした手や頬がとてもよく表現されていて触りたくなる可愛らしさです。
二人がくっつくまでは望みがないと落ち込む永輝が少し切ないですが、佐々城の言動が楽しくてどちらかというと楽しい話だったと思います。
「ハイスペックなのにズレてる残念攻め」という愉快な味付けが名倉先生らしい作品で、攻めの言動のあれこれに笑わせてもらいました。
気難しくてなかなか人になつかない息子(5歳児)と、あっさり仲良くなった受けの姿を見て「彼は我が家に君臨した神のようだ 後光が見える」と感動に打ち震えてみたかと思うと、
「いや、もっと現実的なものに例えると、太陽?いや、太陽が家の中にあったら焼け死んでしまう」と悩んだ末に、「彼はまるでLEDのようだ!」と閃いてみたり……。
ズレているのに本人はやたら真剣!というところが面白おかしい。
お話自体は、子連れモノ、家政夫モノらしいほのぼのとしたもので、大きな起伏があったりすごい見せ場があったりするわけではないのだけど、でも、だからこそ、キャラが面白くないと途中で飽きちゃうわけです。
攻めが大企業の社長で仕事ができて堅物っぽいのに、恋愛に関しては疎くて天然で斜め上の発想をしてしまう、だけど本人は大真面目!というところが面白い。
そして5歳児の隼人君は聡すぎて、もっと子供らしくていいんだよ……とちょい不憫に思っていたので、受けに懐いて楽しそうにしている姿に嬉しくなるし、愛らしい。
受けも、本当に子供が好きで隼人君のことが可愛くて仕方ないというのが伝わってくるので、血は繋がってなくても家族っていいよねーと思える良き子育てモノだったと思います。
そして社長秘書の浅野氏が、じいやっぽくてナイス!
息抜きにぴったりな一冊でした。