電子限定おまけ付き
失敗したーっ。
何でもっと早く読まなかったんだろう。
あまり得意じゃない『子育てもの』だと思っていたんですよ。
でもそうじゃないことに気づいて、読んで良かった。
このお話、最高です!
私の大好きな変態攻めさんがここに!
お話自体は決してトンチキではありません。
ちゃんときれいに動いて行くというか、明後日の方向に突っ走ったりしません。
でもね、トンチキの匂いがするのよ、佐々城社長から。
それも例えようもなく香ばしいトンチキ臭なの。
これがねぇ、なかなか払拭できない『いや~ぁな気分』を忘れさせてくれる香りなんです。
変態攻めと言っても佐々城社長はゲス野郎ではございません。
永輝くんが好きなあまり、妄想がぶっ飛んでしまうタイプの変態です。
お話が1/3程度進んだあたりで、隼人(社長の息子)にせがまれて永輝くんは佐々城社長宅にお泊りすることになるのですが、彼の着替えのパジャマを用意しなければならないと思いついた処から始まる社長の妄想が
す・ば・ら・し・い・!
少し大きな自分のパジャマを貸したらどんな風に見えるか?
もしズボンの裾を踏んで転んだらどう慰めるか?
もし転んで素肌(あんなところや、あんなところが)見えちゃったら、見ても良いのか?どのくらいなら許される?
……ここの展開だけでもう『神』!
登場人物は全員が個性的ですが悪人はおらず、両片思いのジレジレは甘酸っぱく、そして何より『とてもハイスペックなのに恋の前で右往左往する妄想変態紳士』の可愛らしさに満ち溢れている傑作だと思います。
「ハイスペックなのにズレてる残念攻め」という愉快な味付けが名倉先生らしい作品で、攻めの言動のあれこれに笑わせてもらいました。
気難しくてなかなか人になつかない息子(5歳児)と、あっさり仲良くなった受けの姿を見て「彼は我が家に君臨した神のようだ 後光が見える」と感動に打ち震えてみたかと思うと、
「いや、もっと現実的なものに例えると、太陽?いや、太陽が家の中にあったら焼け死んでしまう」と悩んだ末に、「彼はまるでLEDのようだ!」と閃いてみたり……。
ズレているのに本人はやたら真剣!というところが面白おかしい。
お話自体は、子連れモノ、家政夫モノらしいほのぼのとしたもので、大きな起伏があったりすごい見せ場があったりするわけではないのだけど、でも、だからこそ、キャラが面白くないと途中で飽きちゃうわけです。
攻めが大企業の社長で仕事ができて堅物っぽいのに、恋愛に関しては疎くて天然で斜め上の発想をしてしまう、だけど本人は大真面目!というところが面白い。
そして5歳児の隼人君は聡すぎて、もっと子供らしくていいんだよ……とちょい不憫に思っていたので、受けに懐いて楽しそうにしている姿に嬉しくなるし、愛らしい。
受けも、本当に子供が好きで隼人君のことが可愛くて仕方ないというのが伝わってくるので、血は繋がってなくても家族っていいよねーと思える良き子育てモノだったと思います。
そして社長秘書の浅野氏が、じいやっぽくてナイス!
息抜きにぴったりな一冊でした。
不器用社長と年の差婚?
永輝が佐々城に好意を持ち家政婦として隼人とも仲良く過ごし、そして佐々城も親子のふれあいを持ち居心地よく永輝に夢中になるまでは楽しく読みました。
両片思いのすれ違いになってからは永輝が辛くて、鈍感な佐々城がやっと恋心を自覚しても永輝に誤解され永輝が傷ついて泣くところや、もう家政婦を辞めて隼人にも会わないと思うくだりも辛かった。
やっとやっと互いの気持ちが伝わり誤解も解けてからは佐々城が徐々に面白く暴走していきましたね。
この辺の佐々城と永輝の気持ちの温度差が心配でしたが、ちゃんと下宿という名目の同棲も父に認めてもらい無事にお付き合いや同棲も続いてほっとしました。
佐々城は初恋のような物で浮かれて永輝を手離す気はなくほぼプロポーズしてますが、永輝はまだ二十歳の大学生で同性と付き合うのも初めてなので温度差は仕方ないのかな。
目標達成の為の毎晩の訓練や、佐々城の「私なんかの拙い愛撫で感じてくれて嬉しいよ」とか、情緒がない所とか笑えました。
そしてとうとういざ本番。あっという間にいってしまいましたがお風呂で第二段もあり満足です。
最後は隼人まで永輝をお嫁さんにすると言い出して親子で永輝の取り合い。微笑ましいですね。
いつのまにやら玉の輿!振り返ったら王道でしたね。
あとがきにあるように隼人の将来が楽しみです。でもあっさり永輝を諦めるのも寂しいなあ。
ただ、なぜかこの作品は名倉さんらしくないような気がしました。いや、言うほど読み込んでるわけではないのですが。
お話の運びもすっきりしないところがあり、何より隼人と浅野さん以外、主人公のカップル特に永輝をそこまで好きになれなかったというか感情移入できなかったかな。いやでも二十歳の大学生だしすれ違いもあったし仕方ないのになぜかモヤモヤが残ります。
でもやっぱり溺愛暴走攻めは健在でスラスラ楽しく読めました。
婚活社長というタイトルで、
私の中で何故か傲慢なイメージが出来てしまっていたんです。
なんとなくとしか言いようがないんですが、
姉の攻略的なお見合いをぶち壊そうと乗り込んだ弟・永輝、なんて
さぞかしお相手の社長は…みたいな。すみませんでした!
その、全く傲慢ではない社長・佐々城は仕事も出来るし見た目も聡明なのに
愛情に関してはちょっとポンコツ(失礼)なのが面白かったです。
自分の5歳の息子・隼人にも
ちゃんと愛しているけど、どう接していいかわからないとか。
この隼人が5歳にしては賢すぎて
別な意味で心配になってしまいましたが
だからこそ子供らしさをちらっと見せてくれると凄く可愛い!!!
歴代のお手伝いさん達は気の毒でしたが
永輝が隼人の心を開かせてあげて素直に嬉しくなりました。
永輝視点だけで進むのではなく、佐々城視点でも読めるので
佐々城社長の天然っぷりや単純さが微笑ましく、
いくら浅野さんが誰より信頼のおける秘書でも
そういう事聞いちゃうんだ!?と可笑しかったですww
あまり障害が無いのがちょっとだけ物足りなかったかな…。
永輝の父だけ反対していましたが崩せない壁でもなかったですし。
でも、名倉さんの軽快な文章がとても読みやすくて楽しませていただきました。
めっちゃ面白んですよ。変態は好きでないですが、真面目な変人って最高。
表紙の色合いから ほわほわあまあま物かと勝手に思ってましたが違いました、
けらけら笑える「ドタバタではないコメディ」でした。
攻め受け以外の登場人物は
攻めのおこちゃま:5歳の超お利口さん。大人びた口をきく。
攻めの元妻:攻めと結婚した男前な女子。なかなかな大物と思われます。
攻めの秘書(50代♂):攻め親子を熟知したナイス秘書!
受けの父、姉:工房代表、がんこ職人おやじと 母親代わりの優しい姉ちゃん。
出てくるキャラすべて、ナイスプレーヤーです。
兼守先生の挿絵が素敵です。
作品の雰囲気にぴったり~表紙の3人の表情もいいですが
最後の1枚、おこちゃまが息巻いている図も最高でした!
変人攻めが受けに執着、受けは攻めに一目ぼれ だったので
安心して読めると思ってたら、途中で受けが悲しい思いをして
ちょっとだけ胸詰まる思いでした。
が、それらを吹き飛ばす 変人ぶり。最高です。
変人好きにはお勧めです!