電子限定おまけ付き
大企業の御曹司が、親の再婚で兄弟になった血の繋がらない2人の存在に翻弄されるというストーリー。
有能すぎる義兄にコンプレックスを抱いている真幸を軸に物語が展開していきます。
兄のようになりたいと思いながらも、その万能さに萎縮してしまって諦めることを覚えた真幸。同じように兄の存在で孤独を感じていた義弟・蛍と支え合い、分かり合えるのはお互いだけ…、と思っていたのに、ある出来事をきっかけに蛍は家を出てしまい…。
出だしはなかなか面白そうなのです。
会社勤めをしたことがないので何とも言えませんが、違和感がちらほらあって、そちらに気を取られて物語に入り込むことができませんでした。
気になったことは
1) 制作側のお願いで撮影場所を提供してもらっている企業に対して偉そうな現場スタッフ→企業側から見たら邪魔でしかないのでは…
2) なぜか社員がアテンド状態→通常、広報の人間がやるべきところを営業部の受けが任されるのは義理とは言え兄弟だからいいとして、なぜお弁当の発注まで?
3) 女子社員のノリが学級会→陰口大好き、見当違いな文句を言う、足を引っ張る、謝ろうとする場面は完全に小学校の学級会でした
4) 再婚で親子になった血の繋がらない息子に心酔する父親→全く自分の血が入っていない子供になぜここまで?というくらいの心酔。自分の唯一の息子に対する愛情が感じられず…。
感情の表し方も「ここでこういう風にしたらきゅんとするはず」という感じでぶっこんで来るので、直前のコマとの流れも悪く浮いてしまっています。
設定に気になることがあるとそのせいで共感するところまで入り込めず、傍観してしまうんですよね。そのせいで「他にも粗があるんじゃないか」とつい嫌な見方をして自己嫌悪。
それにしても有能すぎる人間が本人に意図や悪意がなくても、こんなにまでも周囲を萎縮させて悪影響を及ぼすとは…。兄が完全に善意のみのひとなので可哀想に思えました。もっと早くに話し合えればよかったのにと思ってしまうけど、コンプレックスを抱いている方からは言い出せないですね。自分の負けを認めることになってしまうし。
一方、弟の立ち位置の方は「主人公にとって唯一ほっとできる存在」だったはずが、いきなり「昔から蛍にはいっぱい泣かされた」とか出てきて混乱。こういう芯になる設定は後出しで二転三転されると困ってしまう。弟サイドの心情はうまく描かれていたので、このブレが残念に感じました。
描き下ろしの2つめは良かったです。
絵はすごく綺麗だし、この感じで本編も読めたら…、と残念な気持ちです。