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初読みの作家さん。ちるちるさんの作家インタビューでお見掛けして購入してみました。内容をざっくりと。すみません、ネタバレしてます。
主人公はネカフェでその日暮らしをしているあげお。表紙の彼です。
ある日ネカフェの隣の部屋でいきなりセックスを始めたカップル。その声に催してしまい自慰行為をしてしまうあげおですが、それをそのカップルの男の子・はねすけに見られてしまい。
はねすけは菜穂子ちゃんに飼われているヒモ。菜穂子ちゃんの気まぐれで、そのままあげおも菜穂子ちゃんに飼われることになるのですが…。
というお話。
自称プロのヒモであるはねすけ。
地味な見た目に、おとなしい性格のあげお。
菜穂子ちゃんが仕事に行っている昼間は二人だけで過ごす彼らですが、相反する彼らの生活はぎこちないもので。けれど、徐々にその生活になれてきたあげおですが、ある日突然菜穂子ちゃんに捨てられて。
それまではチャラいはねすけと地味っ子で真面目なあげおの、ドタバタコメディーの要素もありつつのストーリーでしたが、そこから一気に怒涛の展開をみせます。
菜穂子ちゃんに飼われているときでさえ風俗に行こうとするはねすけの、孤独で哀しい子ども時代。
そして、地味なビジュアルでありながら腰と鼠径部に蝶の入れ墨が入っているあげおの壮絶な過去。
そうしたものが少しずつ見え始め、彼らが今なぜ、こうなっているのかが分かってきます。
個人的にNL表現が地雷なので菜穂子ちゃんとのNL描写があったらいやだなあと思っていたのですが、NL描写どころか菜穂子ちゃんのビジュアルさえ描かれていません。けれど、そこに菜穂子ちゃんがいて、何を考えそして何を話しているのか、という事はきちんとわかる。そういう描き方がとてもお上手でびっくりしました。
菜穂子ちゃんに捨てられた後、生活のために彼らが始めたクラブの仕事。そういった経緯を介してはねすけの本名が高橋ヨハネであり、あげおの本名が揚井武尊だという事が分かってきます。菜穂子ちゃんのヒモだった時には必要なかった彼らの「中身」がこうして少しずつ描き出されていくのも良い。
そのお店の女の子の存在も良かった。
彼らは彼女にひっかきまわされ、すれ違ってしまうのだけれど、でもそうした出来事があったからこそ、自分が誰を欲し、そして求めているのか分かるようになったと思うので。
あげおの孤独。
そしてそれゆえに彼が行っていた行為の危うさ。
はねすけを手放さないために、あげおがしていた行動。
彼の危うさや、アンバランスさと、チャラ男に見えたはねすけの意外なまでの男らしさがよく合っていて非常によかった。
彼らも素敵でしたが、クラブの常連客の星さんも良かった…。
彼が婚約者と破局して、新しい男の恋人ができるといいなと妄想してしまいました☆
そして菜穂子ちゃん。
実はこの話の中で彼女が一番非道なんじゃないかと思うのだけれど、そのずるさがあったからこそ彼ら二人が出会えたわけで。GJなのかな。
不特定多数の男性を関係を持つ受けさんや、子どもに対するネグレクト(虐待)が地雷な方には注意が必要な描写も多々出てきます。ご注意を。
彼らのバックボーンはシリアスなものでしたが、最後の小話がめちゃんこ可愛かった。
ひよこ鑑定士…。
自称プロのヒモを名乗るはねすけがひよこ鑑定士…。
ちょっと可愛くって、爆笑してしまいました。
実は地雷が多いかもと購入するのをためらったのですが、素敵な神作品でした。
独創的すぎるはじまりで、どんなストーリーになるのか予想もできなかったけど、読み終えた時、『楽園』ってタイトルがピッタリのお話だなーって思いました。
居場所の見つけ方もわからなかった男たちが、やっと手に入れた許された場所、天国みたいに綺麗じゃなくっても、そこはまさに『楽園』です。
まず、ネットカフェでエッチを始めた男女カップルと、その隣のブースで声をオカズに一人エッチを始めたネカフェ難民が知り合う。
次のシーンはネカフェでエッチしていた彼女の部屋。
キャリアな彼女はヒモ1号のハネスケに加えて、ネカフェ難民のアゲオも飼ってくれました。
そうして、ヒモ1号と2号は、彼女がいない間、同じ空間で過ごします。
アゲオは極度の依存体質で、彼女を健気にひたすら待ってるおりこうさん。
対してハネスケは、庇護能力をくすぐるために家事はしない、現金収入はヒモ失格ってポリシーのある、筋金入りのプロヒモです。
彼女は正反対な二人をつまみ食いできるのが楽しかったんでしょうね~。
でも彼女は家に帰ってこなくなってしまう。
ハネスケは、彼女にヒモがいらなくなったことも、自分じゃ捨てられないから出て行ってくれるのを待っていることもお見通しで、アゲオを外に連れ出す。
ハネスケはアゲオを捨ててリスタートをきるはずだったのに…
アゲオは健気なおりこうさんかと思ったら、実は酒もタバコもOKな場末感ただよう男でした。彼女に気に入られるために弱い自分を演出していたって…
でもそこまでするくらい何かに縋ってないと生きていられない男。
ハネスケは割り切りタイプに見えたのに、アゲオのえげつない過去を知ると置きざりにできず、アゲオに縋られるのを受入れてしまう、意外と人情派。
「誰だって誰かと代わりの利く代用品」それはヒモプロのポリシーだったのに、彼女に本物ができて捨てられたことも、アゲオに彼女の代用品にされることも、ハネスケは傷ついている…
本当は誰よりも代用品じゃない、本物になりたいと思っている男。
正反対でソリが合わなくても、ずっと一緒にいると情がわいてくるんですよね。
一緒に住んで、同じキャバクラで働き出して、二人は良き相棒みたいに見えてきます。
嫉妬して、みっともないところをさらけ出せて、一緒にいるのが自然に思える人、それはもう『楽園』と呼んで良い気がします。
でもハネスケもアゲオも ”代用品” だって思ってるから、そこは仕切り直しが必要なんです!
アゲオが、やり方は安直だけど、それでもハネスケを手に入れるために頑張ろうとする。
そして、ハネスケの傷ついた心を癒すとっておきの言葉たち。
アゲオは何も持ってないから自分が欲しい言葉をあげると言ってますが、ハネスケの見えない真ん中を理解してなかったら出てこない言葉。
他人に依存することでしか生きられなくて、頼った奴がヤバすぎて堕ちるとこまで堕ちたアゲオが、大切なハネスケのために居場所を作ってあげた。
お互いに居ることを許された場所、それが二人が辿りつけた『楽園』です。
作品の中で、彼女には名前があり、ストーリーが展開する重要な役どころなのに、姿も言葉も一度もリアルに描かれていません。
その演出もうまいなーと思いました。
それと描き下ろしで、二人のこれからを考えた時、アゲオがハネスケに勧めた職業、その発想力もすごい。
女に飼われてるヒモ同士の恋愛?ってはじめは設定にビックリしたけど、ハネスケの意外にもろい部分とアゲオの意外な強さに惹かれて、なんかガッツリ世界観に引きこまれていました。
※二人の呼び名「はねすけ」と「あげお」は作中ではひらがな表記ですが、レビューはカタカナ表記にしました。
1人の女性のヒモ同士だったハネスケとアゲオ。新鮮な導入でここからどう話が展開していくのかな?と、序盤で既に引き込まれていました。家事もしない、もらったお金は使う、パチンコに通う、とヒモの鑑であるハネスケと、養ってもらうからにはそれなりに家事もし、必要最小限のお金だけ使う、と真面目なアゲオ。正反対で最初は相容れなかった2人ですが、決まった居場所がなく常に不安定で、いつ1人になるか分からない孤独を抱えているところは共通しているんですよね。
菜穂子に捨てられ、なんだかんだ同じ就職先に勤め、同棲し始めた2人。一緒にいるだけ、徐々に相手の良さ、自分にとって心地の良い部分が見えてきて。ただのクズなヒモにしか見えなかったハネスケは、いざという時に行動力がありしっかりしていて、心根は優しい。アゲオの方も、菜穂子の家にいる間は頼りなかったですが、どん底を知っているからか、一旦外に放り出されるとなんとか自分なりにやっていこうとはするんですよね。最初が犬猿の仲だったから、お互い素も晒け出せて窮屈じゃない関係を築けているし、心も身体も実は相性が良かった。
終盤に一度すれ違ってしまいますが、アゲオが本音を告げたお陰でハネスケも行動を起こします。ヒモらしい手土産を用意したハネスケも、最後まで彼を養ってあげようとしていたアゲオの想いも、とっても愛おしくて。遠い異国から巡り巡ってここに辿り着いたハネスケを嬉しそうに迎えるアゲオと、くすぐったそうに笑うハネスケのシーンも大好きです。過去の掘り下げは少ないですが、この2人はそこまで過去をトラウマに感じているわけではなさそうなので、あまり気になりませんでした。2人とも今を生き抜く強さ、良い意味での図太さがあるんです。末長く2人だけの楽園を築いて欲しいですね。
同じ女に飼われているヒモ同志の恋愛。
どう展開していくのかと思いきや
思っていた以上にちゃんとストーリーが練られていて面白かった。
もっとヘベレケにエロ展開なのかと思ってた((´∀`))ケラケラ
ネットカフェ。
隣でイチャコラするカップルにうっかり身体がうずく。
ひと様の常時でさかってんじゃねーよ。
そんな出会い。
なぜか女に気に入られてヒモ②になることに。
タイプの違う男が二人。
しかしある日を境に、女は家に戻ってこなくなる。
いつ帰る?今日はどう?メールしても既読無視。
働いたら負け。そんなこと言ってた二人がどうなるかというお話しなのです。
別に仲が良かったわけではない。
二人放り出されてからの展開が面白かった。
おとなしい顔してじつわ。な受もまたオイシイ。
作画的には、百合っぽい組み合わせではあるのですが
まぁあり。
働いたら負け。そういっていたはずの攻が
ちょっとだけ変わったラストはちょとニヨニヨが止まらなかった。
思ったより評価高かったなという雑感
前作が好みだったので、作家買いしました。ヒモ同士の話なんて、ただ、えろいだけだったら嫌だなという不安もありましたが、たくさんキュンとするシーンがありました。
特に、最後のはねすけにあげおが両手を広げるシーンが好きです。こんなほっこり展開になるなんて、大好物です!!!
ヒモ同士が、出会い、マイナスとマイナスをかけるとプラスになるとは、まさにこの事だなと思いました。
はねすけは、人は替えがきくと言っていましたが、あげおがきっかけで、お互いが唯一無二の存在に。という展開もいいと思いました。