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陵辱されたいと常に思っています―。
2017年刊。
あらすじに惹かれて”読みたい本”にチェックしてあった一冊。
昼は気高き王だが夜(閨)では陵辱されるような激しい情事を欲している、しかもその相手は隣国の王子だった…と、何ともそそられるものがあるじゃぁないですか!!
実はエロのほうもさぞかし充実しているだろうと期待していたのだが、意外にもエロ度は標準だったかな。(*個人的な感覚ですが)
エロばかりに力を入れている内容ではなく、お互いの国が抱える背景や、国政に絡んでくる登場人物の描写がしっかりしていて物語そのものに読み応えがあった。
中でもグリスデン王国のガガン王は孫(ユーリ)に目がない豪快なじいちゃんかと思いきや、大国の王として相当したたかな人物だった。
ユーリが王の身分を隠して街の酒場で出逢い、つかの間の快楽に浸る悦びを教えてくれた吟遊詩人は、継母の陰謀により王位を継ぐ事が出来なかった隣国の王子・シュバルツだった。
先にユーリの正体を知っていたシュバルツは彼を篭絡すれば意のままにできると目論んでいたが、若き国王・ユーリは穏やかながらも聡明で、意志がしっかりしていてとても容易くは操れない。
作中でもシュバルツの国・サルバ王国との鉱山共同開発の負債について見事に決着をつけ、これだけ王としての務めを立派にこなしているならば、彼の密やかな性的願望にも目を瞑れる範疇に収まってしまう。
早世したユーリの両親にもそんな性癖があったらしいが、結果夫婦円満で無事に国を治めていたらしいし、さほどアブノーマルでもないとは思うのだが。
惜しかったのは『悲劇の王子』と称されていたシュバルツ側の、切れ者ぶりや内心抱えていただろう腹黒い策略がもう少し織り込まれていたならば…と感じた点だろうか。
主従関係、攻めのS度については少ししか堪能できないだろうけれど、タイトルに”陵辱”と付いていてもエロ度のハードルは下げられているかと感じるので、案外読み易いと思う。