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表題作Blue Lust(3)

片平奏真
高校2年生, 転校生
五百川隼人
高校2年生

その他の収録作品

  • それから、これから。(描き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

今までの時間があるから 君を好きになった――

過去を打ち明け奏真に拒絶された隼人だが、自分の罪と向き合い、まっすぐな想いを奏真に伝え続ける。
しかし奏真は、隼人が過去傷つけた親友が昇だったと知り、隼人から離れることを決めて――。
青く、痛々しいほど真っ直ぐな恋、感動の完結!
ふたりと、昇のその後のエピソードも描き下ろしで収録。

作品情報

作品名
Blue Lust(3)
著者
ひなこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリアコミックス
シリーズ
Blue Lust
発売日
ISBN
9784866570556
4.3

(150)

(96)

萌々

(31)

(10)

中立

(4)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
16
得点
638
評価数
150
平均
4.3 / 5
神率
64%

レビュー投稿数16

末永くお幸せに。

あらら?レビューがまだない ∑(゚Д゚)
ブルーラストの最終巻です。
隼人が過去に傷付けた相手が昇だと知った奏真。隼人に好きだと言われるも、それを拒絶し別の男性を好きになろうとする。

最初から結構シリアスだったわけですが、最後まで甘さは控えめだったように思います。今回は奏真の行動がもどかしかったです。好きなのに、隼人の気持ちに応えられない苦しみを思うと切ない。
ラストはもちろん、ちゃんと結ばれました!
私はメインの2人よりも昇が気になって気になって・・・。あんなに傷つけられて、もしかしたら死んでしまっていたかもしれないのに、隼人の恋にアドバイスを送る彼はとても優しいですね。

ここで書くことでもないかもしれませんが、この作品の内容が実際に起こってしまった痛ましい事件と重なって、色々と考えさせられた作品でした。昇は幸運にも命が助かったから、本当に良かった。昇が晴生とイチャイチャラブラブするあまあまスピンオフ期待しています!!

6

二人が選んだ道と、その先の光。

ゲイバレして親からも疎まれ逃げてきた奏真と、告白してきた親友のゲイをバラし目の前で飛び降りられた罪を抱えてる隼人、同じような境遇の被害者と加害者が出会った物語。

奏真は転校先で優しくしてくれた隼人に恋をして、止まらない想いに傷つけたこともあるのに、隼人は許し変わらずにいてくれた。
隼人の優しさは贖罪からくるものでも、変わっていこうとする奏真の強さに惹かれていく。

奏真は隼人の後悔を聞いていたのに、隼人の被害者が友達の昇だとわかると、罪はリアルに、隼人の気持ちは身代わりの贖罪だって信じられなくなって、奏真は隼人から離れようとする…

でも隼人は負けなかった。
昇を傷つけた隼人はどうしようもなく子供だったんだと思う。だからって許される訳じゃないけど、後悔が隼人を優しくさせ、奏真の変わろうとする強さが隼人のことも強くしたんだと思う。
そして「まっすぐな気持ちを伝えるしかない」と行動する姿に心が動かされないわけがない!
奏真が怖れながら、もう一度、隼人のことを信じようとしたこと、なんて大きな一歩なんだろう。

その後、奏真はゲイへの偏見やセックスのカラダの負担を話して、それでもいいかと隼人に問いかけると、隼人はひるんですぐに大丈夫と答えることができない…
これは隼人が奏真と正面から向き合って真剣に考えてるからで、こうゆう積み重ねが二人の間に信頼と安心を築いていくんだと思えます。

描き下ろしで二人がどんな関係を築いてきたかの答えが載ってます。
隼人が選んだ道、罪は消えなくても、後悔で変わった今があること、それは許してあげたい。
大人なのに朗らかに笑う隼人、これが本来の隼人の姿なんだな。

イジメ、自殺未遂、重いテーマへ批判攻撃もあったと思います。でも私は重いテーマだからこそ、ひなこ先生が思うままの物語の終着点を読ませてほしいと思っていました。
あとがきによると、予定よりも長く描けたそうで、ひなこ先生の描きたいことが描けたのかなって思います。
読む側もいろんな感じ方があると思いますが、私は辛さや悲しさがあったからこその、その先に見つけた光に暖かさを感じました。

4

青き時代だから持ち得る真っ直ぐで清くてへこたれない強さが眩しい

いよいよ最終巻。
ここまで読むと「Blue Lust」というタイトルが本当にしっくりときます。
真っ直ぐで、清くて、へこたれない強さを持っている。
大人みたいに「辛いからやめておこう」なんてことが出来ない10代は、どんなに苦々しい恋でも相手に向き合うことをやめない。
まさに、Blue Lustだなぁと思いました。
BLは少女マンガなんかとは違って単巻作品が圧倒的に多いジャンルなこともあって、とりわけこの作品のようなリアルで苦々しい青春モノとなると複数巻で読めること自体がまず貴重なので、そういう意味でも良かったなぁと思います。
作者のあとがきによると「当初の予定より長く描かせて頂くことができた」とのことで、良い環境下での連載だったことがうかがえて穏やかな気持ちで読み終えられました。
・・・とここまでの自分が書いた文面を眺めて、タイトルの「Blue Lust」ってこれもまた“BL”になるではないですか(^^)なんてことに気づきました。(気づくの遅すぎ?)

最終巻、2巻巻末の予告ページでさらに切ない展開へと突入していくのが仄めかされていたので心して読みました。
2巻で隼人の中学時代のことを聞いた奏真は隼人が自分へ向ける優しさを今までのように純粋に受け取ることが出来なくなってしまい、お互いに想い合いながらもどんどんギクシャクした関係になっていく奏真と隼人。
感情が整理できなくなった奏真は昇に会いに行きます。
奏真はこの時点ではまだ昇がそのかつて隼人が傷付けた相手だとは知らなかったのだけど、ここでついに昇の口から事の真相をすべて知ってしまい───

昇視点で語られる真相には隼人には知りようのないことも含まれていて、ここを読んだ時、昇は昇でまた10代特有の刹那的ゆえに持ち得る逞しさがあったのだなぁと物語全体への印象がガラリと変わりました。
1巻で読むのをやめてしまわなくてよかったと改めて思いました。
取り返しのつかないことになってしまったならそれはそれでいいと思った昇の考え方は自分の10代を思い返してみても少なからずあったなぁと思うし、それもまた大人のようには感情を押し殺したりはできない若さゆえの天秤の掛け方の不器用さ(=間違った天秤の掛け方)だとも思うし、その過去を乗り越えてきた昇の現在の強さもまたリアルだと思いました。
「隼人の記憶に一生残る傷をつけてやりたかった」と奏真に話す昇もまた、「俺のこと一生覚えてて」と隼人に直接言えたことでやっと前に進めるのでしょう。

そして、隼人と奏真。
予告された通りではありますが、本当に苦々しい展開でやきもきさせられる2人でした。
それでも隼人が必死に喰らい付いて頑張ったなぁと思います。
丁寧に描かれる2人のぐっちゃぐちゃの感情がすごくリアルで引き込まれました。

全3巻、というページ数分の読み応えはあります。
とくにこの3巻はページ数以上の密集度!
どうしたらこの2人が幸せになってくれるのかと、胃をキリキリさせながら読みました。
長い時間をかけてようやく表紙の2人のような関係に辿り着けた隼人と奏真を見れた時は嬉しかったなぁ…!
描き下ろしで読めた2人のその後、これもまたしっかり恋愛して掴んだからこその未来だな〜って思います。

暗から明への転換に作家様の丁寧さと真摯さを感じるストーリーでした。
がっつり満腹になれるような重めの青春BLをお探しの方には是非読んでみてほしい作品です。
これは全巻一気読みがおすすめかな。

【電子】ひかりTVブック版:修正白抜き、カバー下○、裏表紙×

3

ゲイとノンケのあり方


ゲイとノンケの恋愛の在り方を考えさせられる作品でした。

ゲイである奏馬は最初から恋愛対象が男で、それに関しては辛い過去も持っていて、家族からも良い顔をされずに誰からも受け入れてもらえませんでした。だからこそ自分のことを「おかしくない」といって受け入れてくれた隼人は特別だと感じ、好きになるのはごく自然のことだと思います。

もちろん隼人のお陰である部分もありますが、少しずつ強く変わっていく奏馬にもまた惹かれる隼人も、それが安心感からくるのか愛情からくるのか、わからなく戸惑いながら好きになっていく。
最初から奏馬にとって特別な存在だった隼人の行動の裏には暗い過去が関わっていることが分かり、所詮自分は隼人の償いの体のいい対象でしかないと認識してしまったときには辛い気持ちだったと思います。
実際最初は言葉や表現が悪いと言えど頭ごなしに否定できるかといわれればやはり黙ってしまうのは当然で、でもそれでも「今までの時間があったから、君を好きになった」という3巻のフレーズ通り、隼人が同情でも償いでもなく、奏馬だから好きになれた、とすごく上手に表現されていると思いました。

奏馬はそんな隼人にノンケなのにわざわざそんな修羅の道を選ぶ必要はない、普通の男女の恋愛なら考えなくていい問題が沢山あるしそれを乗り越えていかないといけない、それでもいいのかと気持ちを問うシーンで即答できなかったのがとてもリアルだと思いました。そんなことはわからない、でもそれでも奏馬といたいから、とそれだけはしっかり分かるんだというように伝える隼人のシーンは非常に感動しました。

ジャンル的にいうなら清純派な男子高校生の恋愛物語です、2人の話の中で一貫してるのが「将来や未来のことを考えていること」です。2人が体当たりに恋愛しているなあと、こういう風に描けるのが高校生ならではで本当に素敵でした。

2

迷って、悩んで、苦しんで

最終巻でございます。

2巻でついに隼人の想いを知った奏真。
ひとりで抱えておけなくて、昇に相談しちゃうんだなあ。
そこから昇と隼人の過去を知って、心を閉ざしてしまう奏真がつらい。

3巻は終盤まで一貫して、隼人の前向きで真っ直ぐな行動だけが救いです。
この子が迷ったり、立ち止まったり、引き返したりしないのが良かった。
拒絶されても、酷いことを言われても、「俺が伝え続ければいい」とはっきり言える隼人の頼もしいこと。

幼なすぎて昇を傷付けた隼人がこんな風に変われたのは、奏真と出会えたからなのに、それを奏真が信じてあげられないのが悲しい。
奏真の心情が理解しにくかったので、整理して考えてみました。

1) 人間不信だった自分を人の輪に入れてくれて、前を向かせてくれた相手を好きになった(1巻)←理解できる
2) 好きになった相手の優しさは「過去の罪滅ぼし」で、自分だから優しかったのではなくて、「償いたい相手と同じ境遇」に対して優しいだけだった←理解できる
3) 好きになった相手は、友人をひどく傷付けた相手だったから、好きでいるのはやめよう←自分が身を引けば2人が上手くいく的な?それとも友人の仇は自分の仇的な?

ここで迷子になりました。
どっちかと行ったら後者に近い気持ちなのかな?
もし自分が隼人と両思いになったら、昇が傷付くから遠慮したのか?とまで考えましたけど、なぜ?ほんとにどうしてここで引く?

さらに終盤では「隼人を好きでいるのをやめる」理由が、「もともとゲイじゃないから」にすり替わるのが、ベースになる理由すらよく分かっていないわたしには、青天の霹靂というか、「そんな普通の理由にしちゃうんだ…」というガッカリ感。
そもそも高2ですよ。
男女でもそこから添い遂げる確率の方が低いのに、そこを「もともとゲイじゃないから」で括ってしまうのは違うよなあ…。
そこへ洗脳するみたいに丸め込もうとする、ヤリモク的な大学生まで登場させるのも、ドラマティックだけど、ぐぬぬぬぬ…。

難癖つけておりますが、評価は「神」です。
横に逸れまくる奏真に対して、信じてもらえるまでただ伝える、ただ一緒にいたい、と頑張った隼人が素晴らしかったのと、7年後が見られたこと、それに昇の明るい未来の予感まで匂わせてくれたことで、難癖部分が全て昇華しました。
昇の隼人に対する憎しみの部分の心理描写も最高でした。
大好きな映画『覇王別姫ーさらば、わが愛』のコピー、「愛しても愛し足りない、憎んでも憎み切れない」を思い出しましたよ。

読み返して良かった。
設定も興味深いし、心理描写も素晴らしい。
そして作画が美しい。
言うことなしです。

2

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