電子限定かきおろし付/イラスト入り
竜と人の狭間に生まれ、 迷い、悩み、恋をし、必死に生きていく。
『空に響くは竜の歌声』シリーズの、「紅蓮をまとう竜王」→「竜王を継ぐ御子」→「暁の空翔ける竜王」→「黎明の空舞う紅の竜王」に続く5作目。前作「黎明の空舞う紅の竜王」の初代竜王・ホンロンワンの跡を継ぎ、エルマーン王国建設に腐心する二代目竜王ルイワンのお話。
シリーズものという事もあってこの作品単品では理解しづらいと思います。前作が未読の方はぜひとも順番通りに読むことをお勧めします。
ネタバレ含んでいます。ご注意を。
二代目リューセーが、エルマーン王国に召喚される前の描写からスタートします。
初代リューセーの甥にあたる「龍聖」。
初代リューセーがエルマーン王国へ行った経緯を知っている人物も多く、ゆえに痣を持って生まれてきた彼は竜神さまへの貢物として大切に育てられてきました。
が、それゆえに龍聖は愛情を知らず孤独な子ども時代を過ごすことに。
そんな龍聖が、エルマーン王国へ行く日がやってきて…。
龍聖が「リューセー」になることを生れながらに背負い、そしてその宿命を言い聞かせられて大きくなってきたこと。
そしてルイワンもまた、父である先代王のホンロンワンからルイワンのリューセーがエルマーン王国へやってくることをきちんと教えてもらっていたこと。
そういった基礎知識を双方がもっていたこともあり、出会ったときからトラブルもなくいい関係を築きはじめる。孤独な子ども時代を過ごしてきたリューセーにとって、優しく自分を受け入れてくれるルイワンはしょっぱなから信頼し尊敬できる人物であったことも大きかったのかも。
そういった因子があったために二人の絆という点では甘々で優しい空気に満ちていて、『空に響くは竜の歌声』シリーズでもトップクラスの甘々で優しいお話になっています。二人がお互いを思いやり、信頼し合い、そしてまだ建設途中であったエルマーン王国のために尽くす。
子も生まれ、何の問題もない様に見えていた彼らですが、後半、一気に怒涛の展開が彼らを飲み込む。
エルマーン王国を守るために身体を張る老シーフォンたちが、カッコよく、そして切なく、思わず落涙した。終盤に、彼ら視点の番外編が収録されていますが、これがまた良い…!彼らのカッコよさに、痺れました。
前半はデロンデロンに甘い雰囲気だったので、後半の彼らの働きによって、ストーリーにメリハリがついた気がします。
2代目の彼らは、どちらかというと「子を成す」という事よりも「国の基盤」をしっかり作る、という点に重きがあったように思います。二代目リューセーが、ルイワンを支え国づくりに奮闘する。そういった色合いが強いため、ほかの代のリューセーよりもしっかり者でカッコよかったのですが、終盤のオヤジたちに全部持ってかれました…。
本のカバーの裏表紙。
コレね。
このシーン。
くっそカッコええです。
萌えが滾ります。
今作も、非常に面白かったです。
次回作はどの代の王&リューセーのお話になるのか。
楽しみに待っていようと思います。
二代目竜王とリューセーによる、エルマーン王国建国編の完結巻になります。
シリーズ大ファンの私ですが、正直、ややマンネリ感はあるかなぁと感じました。特にリューセー降臨→二人が出会って夫婦の契り→共に心を通わせ合い妊娠・出産という前半部分ですね。と言っても偉大なるマンネリ感と申しましょうか・・・。毎度のこのパターンに相も変わらず大変萌えるのですが(^^ゞ
しかし、「この後はなんか事件が起こっておしまいでしょ~」と(失礼ながら)なめてかかってたら、後半から一気に怒濤の展開で泣くハメになりました。なんと言うか、BL作品と言う以前に、物語として心を打たれます。人間ドラマが素晴らしいのです。オヤジ達が格好良すぎるよー!!て感じで。こちら、オヤジ好きにも読んでいただきたいです。
内容です。あらすじでは「竜族の歴史上最大の災厄が降りかかり・・・!?」と、ちょっと不安を煽る不穏な文章が踊っていますが、先ほども書いたとおり、前半は毎度の甘々パターンです。
今回の竜王・ルイワンは、どこかお坊ちゃん然とした心優しい青年。カリスマ性があり、力強く竜族を率いた父親とはタイプが違い、弱音も吐くし臣下の前で涙も流します。でもそこが親近感があり、力になりたいと思わせる感じでしょうか。
そしてリューセーは、控え目ながら芯の強い健気タイプ。元々「龍神への捧げ物」として育てられた事と、生まれた時代背景もあり、大人しやかで従順です。
この初々しいカップルがですね、心を通わせていくパートにとっても萌えるのです。竜神として、最初はルイワンに畏敬の念を抱いていたリューセーが、共に過ごすうちに「敬うべき竜神」から「生身の男」に意識が変わっていく。そして「夫」として、「家族」として愛してゆく・・・。
まぁ、そうじゃなくても、初々しい初エッチが可愛すぎて悶えるのですが。この二人のやりとりなんかが、もう互いにメロメロて感じでやたら甘くて可愛いのにも萌えました。
そして「最大の災厄」ですが、竜の力を狙う国から侵略されてと言ったものです。神との取り決めで人間と戦う事が出来ない竜族。大軍に押し寄せられ、八方塞がりかーと言う時にガンシャンら老シーフォンが立ち上がるのです。気骨あるオヤジ達ですね。彼らの戦いが格好良すぎる上に、その最期が凄絶で心を打たれます。なんと言うか、その生き様に惚れる。
書き下ろしでこのオヤジ達の短編が収録されてるのですが、それを読むとまた泣けて来たりして(´;ω;`) 最高のオヤジ達でした。
このシリーズは主人公達の生涯が書かれており、その死までしっかり描写されてます。幸せな最期ではあるのですが、やっぱりかなり切なくてしんみりとしてしまいます。
しかし、今回は穏やかな二人の語らいで幕を閉じます。こんな優しい終わり方に、なんとも満ち足りた気分で読み終える事が出来ました。物語は、永遠に続いていくんだなぁ(*´ー`*)
竜歌シリーズ第4弾。
建国の父と呼ばれた2代目竜王ルイワンと龍聖のお話です。
通算5冊目、シリーズ4作目ともなるとこの世界観にも慣れ親しんできて、若干のマンネリを感じてきました。
というのもですね、基本的にこの世界のシステムというか約束事があるために、どうしても出会いから結ばれて子供を産み育てるという過程が必要。そしてその過程がどの時代の竜王龍聖であっても基本的には絶対なので、多少の性格の違いはあれどどれも似通ったものになるのです。
例に漏れず今回の2代目CPも、龍聖にべったべたに甘い心優しき竜王ルイワンと、初代龍成の話を幼き頃から伝え聞かされ、竜神の神子として擦り込みで育てられてきた竜神一途な龍聖。龍聖降臨からお互い初で微笑ましい契り、蜜月を挟んで待望の世継ぎの出産と、んんんん~? 何かどっかで見た竜王と龍聖だなという気分です。
基本的に今の所どの代の竜王も龍聖一途でゲロ甘の甘やかし系で、龍聖も竜王に従順一途なので、デジャブ感すごい。
そんな中で神評価なのは、正直この主役CPに対してと言うよりも、初代ホンロンワンの時代……まだ彼らが竜であった時代の生き残り世代であるガンシャンのエピソードに対してです。
前半部分は毎度おなじみコースでマンネリだったのが、後半から怒濤の展開、同じ話を読んでいるとは思えないほどの急転直下のストーリー展開に仰け反りました、良い意味で。
ガンシャン達の初代世代が、竜族の未来のために血を繋いでいったホンロンワン、ルイワン、そしてその子のスウワン、そして後に続くであろう子孫のために、他国からの侵略に立ち向かう姿に涙が止まりませんでした。その結果がどうなるのか知っていてです。
国を、未来を守るために勇敢に戦った彼らの姿が脳裏に焼き付いて、正直このおじさま達に物語の全てを持って行かれています。
BLというよりも物語として楽しかった。
こうなってくると、たくさんの想いを背負ったスウワンの治世も気になりますよねー。
10代目シィンワンの息子レイワンの治世も気になりますよねー。
と、こうして出てきた登場人物全ての治世が読んでみたくなるほど面白い。
連綿と続いていく血の継承のお話なので、「俺の屍を○えてゆけ」とか好きな方は嵌るのではないかと思います。各世代の登場人物の生涯を書ききり、死から目を背けない、見たくないものに蓋をしないというスタイルがとても気に入っています。国というのは数多の犠牲の上に成り立っているという部分がご都合主義で終わらせず、物語に厚みを持たせています。
そして死んでいくもの達への敬意を忘れず、それぞれにドラマがあるのもまた、キャラクター達を魅力的に映しだし素敵だと思います。
これ四六判じゃなければもっと積極的に布教できるのになーというのが本当に惜しい!
なんだかんだしつつも、今までは幸せな終わりだったと思いますが、ここにきて辛な部分が。 国としてエルマーンが今に至るまでにはやはり大変な出来事もあったであろうとは思ってましたが、こう来たか! もう今回は本当に神からの新しい試練とでもいいましょうか、辛いお話だった。 戦いから引くことを選ぶ竜王も正しいし、国の為に戦うことを選んだ親父たちも正しい。 その結果がオヤジ達の死を意味するものだとしても止められないルイワンの思いも痛いなぁ。
大好きなシリーズ、今作は二代目のお話。
先の方が詳しくレビューされてるので、思いつくままのレビューで失礼します。
読み始めての正直な感想は「またこのパターンか」でした。
竜王とリューセーは惹かれ合う者同士ですし、すぐ様ラブラブになります。
そして子を産み育て…と、今作も例に漏れず同じルート。
それぞれの王とリューセーは個性があって一概に同じとは言えません。
今作の竜王・ルイワンは穏やかで真面目で、前王ホンロンワンには無かった人間に近い感覚の持ち主。
リューセーも、前リューセーより芯があるように見えます。
溺愛系は大好物ですし、この二人のお互いを想う様子は萌えます。
…がしかし、やはり既視感があり今までのように萌え転がるまでないかな…と思ってたところにやられました!!
他国から攻められる危機に瀕するのですが、相手は話し合いに応じる国ではない。
でもシーフォンは人間を殺せない。戦えない。
となると逃避しか道はないとなった時に登場したのが老シーフォン達。
老い先も短くどうせ死を待つだけなら、皆のために戦って死のうというオヤジ達の心意気、そしてその戦い方に泣きそうになりました。(丁度出先で読んでたので必死に我慢 ; ; )
読後は「あぁ…やっぱりこのシリーズ大好き」に変わったのですが、個人的には神評価をつけた前作には敵わなかったかな、と。
とはいえ竜王とリューセーの愛だけでなくオヤジ達がみせた愛に、心が揺さぶられる素敵な物語でした。