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この評価に普通の「萌え」という言葉通りのモノを思ったらそれは全く違い、どちらかというと共感度かもしれません。
BLと呼ぶにはあまりに猟奇的で節操もなく、いわゆる”ヘンタイ”と呼ぶ特別嗜好の者達の物語ではあるからです。
作者さんがうつ病を発症する前に書かれたものか、その前後を含むものなのかは不明ですが西条作品らしい壊れた人々が満載です。
主人公は通称「スペルE.S」=エスと呼ばれるアンダーグラウンドの壊れた体や傷口を専門に撮るカメラマンです。
彼は傷口というものに壊れた体に異常に執着があり、それに欲情します。
彼を主人公に据えているようでいて、実は彼は狂言回しであり、彼へ依頼をするクライアントであったり、彼を取り巻く人々が主人公なのではないかと思われます。
過去の虐待の経験から首を絞められながらイく事が好きな恋人の為に殺してしまい、その首を写真に残したいと願うテル
両性具有で男とも女とも寝るエスをも傷つけたナル。
妻の嫉妬で自身を焼かれ不能になってしまった雑誌発行人のヒラーはスカルファックを夢見ながらエスにフィストを行う。
自らの腕をリストカットしてその傷口にペニスを埋めてオナニーするカタミ。
足の指を失くしてしまった淫乱少年フレイ。
エスに執着する、肉便器の女性を飼っている医師のニブ。
エスの前に現れる誰もが体に心に傷を持ち、それを性的快感へ高めていく。
それはエスも同じなのである。
物語の中でエスは男女構わず体を重ね、そして受けも攻めもこなすリバでもあるので、興味を持たれてもそこの一点が、、という方には地雷かもしれません。
傷の先に見える死というもの。
その死にあこがれながら、一歩手前でとどまるための行為がセックスなのだとしたら性への執着は生への執着でもあると思う。
多分唯一の救いがあるとしたら、どんな誰もの誘惑に負けずヘテロを通す流行らないアダルトショップのマディだけがまともな存在なのかもしれません。
この『スペルE.S』シリーズ、多分前作があると思うのですが、『音楽殺人』?絶番ですが途方もない高値がついていて手が出せません。
商業掲載作品はかなり制約があり押さえた造りになっていた分、この作品は爆発していると作者さんが後書きで書かれていますが、確かに、、、刺激的すぎる描写があまりに多いかもしれません。
ただ、ここに欲望の本質はあります。
まず、主人公のエスは特定の相手と関係を持たないので愛が足りないと思う。
関係が続いてると言えばヒラーだけど、快楽を求めてるだけのよう。
みんなが快楽主義のビッチだからか萌えがないのかも。
エスも良いけど、足の指先がないフレイか、自傷行為で興奮するカタリがお気に入りキャラ。
世界観とキャラは好きだけど、狂気染みた表現力が足りない気がする。
退廃とエロスの街で子供の売買も行われていて、児童ポルノとかで捕まってしまう人たちがいるんだけどそこは現実的なんだと思った。