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すごく説明しづらいけれど、なんとなく好きな話。
アホの子受け好きなんですが、けっして受けはアホの子というわけじゃないし、ちょっと天然入ってるけど、おばかちんということもない。ただ、この話の受けも攻めも、なんかずれてるかもしれない。それがツボなのかも?
BLらしいBLではない反面、すごくBLらしい、なんちゃって感やトンデモ設定もあり。ありきたりのテンプレに飽きた時、目の前にあったら読んでみてもいいかもしれません。わたしは好きです。
上質な感じの恋愛小説なんですが、お話がよかった!というよりはキャラクターがよかった。
どっちのキャラも何だか言うに説明のできない部分を持っていて、それに支えられているお話のような気がします。
24歳放射線技師の怜は、30過ぎの寡黙な外科研修医、厳原が気になって仕方がない。けれど厳原は怜に興味もなさそうで、話したことも殆どありません。それがある晩、厳原が重傷の救急患者を治療拒否したことから、裁判所に目を付けられ、マスコミに追われる事態となります。
治療拒否の理由も話してくれず、一人完結したような世界にこもる厳原を、怜はたとえまわりが皆敵でも彼を支えたいと駆け回ります。
ストーリー事態はヒューマンドラマと言えなくもないんですが、そこまで凝ったお話ではないんです。
厳原はミステリアスで何を考えているか最初は殆どわかりません。怜は厳原について知っていることを全部書き出しても「レポート用紙一枚もない」と言っています。
だからってそれで恋になるの?とはならないんです。
恋したらもうどうしようもない、というような、向こうはこっちなんて知らないって顔をしているのに、殆どしゃべったこともないのに怜はそんな厳原に、惹かれ、悩んで喜んで泣いて…くるくるまわる怜の行動や表情が楽しく可愛く、「恋ってこういうもんなんだ」と感じさせてくれるお話でした。
怜が可愛くて表情豊かで頑固で意地っ張りで…という物語を動かしてくれるキャラな反面、厳原は全く動きがありません。考えてることがほとんどわからず、それが最初から最後までお話の鍵となっています。
その厳原の頭の中が後半でいっきにわかってくるのですが、それがもう面白くて仕方なかったです。
厳原の頭の中がわかったらもう1度、最初から読みたくなります。
あの時こう考えてたんだ!ていうかこんな人だったんだ!て思いながら読むと全然違う。
厳原が自分のことを怜に向かって「君の好きな色情魔」というのがなんか大人な皮肉で面白いです。
脇役の安藤医師もとてもいいキャラクターでした。「私を好きになればよかったのに」と「あなたを好きになればよかった」という怜とのやりとりが印象的ですが、脇キャラだからカッコイイんでしょうね。
どこがよかった、って何だか言いにくいんだけど、なんか良かった、ってなる作品でした。
蓮川先生のイラストに惹かれて購入。作者様の初読み作品だったのですが…素敵でした!表題作とショートの2作品収録されています。
「冷たいシーツの上で」
立科(受け)は、外科研修医の厳原(攻め)が、運び込まれた急患の顔を見た途端に治療を拒否する場に居合わせます。その厳原らしくない行動が気になる中、厳原の行動が問題になり…という話です。
立科が「5人兄弟の末っ子」で、周囲から弟扱いで愛されるという設定が面白かったです。そしてそれが不自然でない立科の素直さや頑張りに好意を持てました。
立科は厳原の色気に惹かれていますが、実は厳原が立科の魅力に惹かれていたという。立科が厳原と親しくなるに連れ、どんどんあらわになっていく性格が面白かったです。「男に触れる最後でも後悔しないか」にはぐっと来ました。キスシーンのイラストも合わせて、色っぽい場面だと思いました。
冒頭に厳原の治療拒否で始まり、そのことが問題になり、立科達は彼がそんな行動をした原因を究明し、問題は不起訴で解決、という厳原をめぐる謎の解明と事件解決までがちょっとしたミステリで良かったです。
厳原の上司である安藤医師、安藤の教え子DJ、厳原の元恋人の麻井、麻井の現恋人の村井という素敵なサブキャラがそろっていました。特に安藤医師は序盤から素敵さ炸裂だったので、イラストがなかったら身もだえするところでした。格好良いオジ様でした!
「クール・ショット」
厳原が主人公。作中の、シティホテルに隠れている頃の話です。安藤先生が立科の写真で厳原を釣ろうとするのも面白かったですが、厳原がそれに釣られるのも可愛かったです。
ストーリーが立科の目線で進んでいく中、実は厳原も立科を見つめていたとか、そういう話が安藤から出てくるのが楽しくて、一気に読んでしまいました。
なんとなくコミカルかつ色っぽい雰囲気がとても好きで「神」と迷いつつ「萌2」にした作品です。医療関係、頑固だけど格好良い年上攻め、可愛い弟キャラ受け、オジさまサブキャラ大好きの方にお勧めです!