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六年間、義理の弟から、愛のない肉体関係を強要されている兄が主人公です。
無感動というか天然というかエキセントリックな性格の主人公で、現状をなんとかしようという気力もなく、なんとなく流されている。
そんな主人公の前に、かつて主人公にキスしたことのある同級生が現れ、主人公にアプローチしはじめます。
強要されていたといえども一定のおだやかを維持していた二人の関係に、波風がたち始めます。
当て馬役となったこの同級生が、なかなかイイ男で、不遇な脇役が好きな私は、最初からこの同級生に肩入れしてしまいました(最初から、義兄弟でカップルになることが見えてたからねw)。
コンニャクみたいに手応えのない兄に、ずーっと恋していた義理の弟の気持ちも切なかったです。
カラダだけでも繋いでおきたいという気持ちと、そうすることでしか繋がっていられない自己嫌悪と。
主人公がはじめて自分の感情を自覚したとき、「遅いわ!」と思いつつ、ほっとしました。
いいお話でした。
いえ、カプは義兄弟なんですが、
義弟×義兄っていのもいいし、
兄の元同級生・当て馬くん、入江が
人気作家でかっこいいというシチュがたまらないw
全てにおいて反応が薄い兄・英嗣は、
幼い頃「兄ちゃんなんて呼ぶな、他人なんだから」と
弟・摂を傷付けてしまい、
摂は二度と兄ちゃんとは言わず、「英嗣さん」と呼ぶように。
その罪悪感から摂の多少乱暴なセックスを拒めず
「いつか飽きるんだろう」と思いながら関係を続けますが
外国へ行っていた元同級生・入江が一時帰国をして連絡をとった事で
今までの状況が崩れます。
入江は英嗣をずっと好きで、忘れられなかった、と。
一度だけキスした時、入江は摂にボコボコにされ、
自分を庇おうとせずただひたすら摂を止めるだけの英嗣を
憎んだりもしたのですが、結局好きなまま。
再会して、また想いを伝え「お前を連れて戻りたい」と
バンクーバーへ誘いますが、
英嗣は摂への想いに気づき、断ります。
英嗣の気持ちを尊重しつつも「まだ100%、諦めたわけじゃない」と
またキスしちゃうんですよ。
入江!!当て馬の鏡!!(←?)
英嗣は摂に対して、
本当の父親の暴力が原因で両親が離婚し、
母親が自分の父親と再婚しても
いつでも6歳年上の自分に比べられ、
「お兄ちゃんを見習いなさい」と言われ
窮屈な思いをさせてしまった事も不憫に思っていたのですが
入江はそれを摂に言ってしまうんです。
その摂の可哀そうな事ったら…。
でも当て馬は悪役にならなくちゃいけないからねw
さてさて、実は初めて会った時から英嗣を好きだった摂。
一度家族4人で訪れた旅館に一人で泊まりますが
部屋に置いた当時の写真を英嗣に見つけられ、
追いかけて来てくれて…本当に良かった!!
なかなかじれったさもありましたが
素敵なハッピーエンドでした♪
英嗣が「セッちゃん」と呼ぶ度「セッちゃんて呼ぶな!」と
怒っていたのですが、嬉しさの裏返しだったのも良かったです。
(でもあまりにも何回も出てきた感が…)
最近榊さんを読んでいるのですが、これは好きだわー。
私的に当たりハズレがある作家さんなので(すみません)
やっぱり読んでみなくちゃわからないものですね。
なんと言っても、今は亡きあとり硅子さんの挿絵だし!
…あとりさんはガッツリなBLを描いていらっしゃらなかったので
読みたかったなぁ、あの優しい絵で…。
義兄弟もの。弟攻めです。年上攻めが多かった作者様も年下攻めの流れに乗った感じでしょうか。なので、とても違和感がありました。小ネタは相変わらず楽しかったです。
公立図書館の司書をしている英嗣と、6歳年下で大学生の弟・摂の拗れた兄弟愛。
英嗣は自分の意思よりも他者からの働きかけによって動く受け身の人。父親の再婚相手が連れてきた摂には負目があって、彼のいいなりです。
子供の頃から粗暴だった摂は、いつもお兄ちゃんの英嗣と比較されていました。そんな彼には母親に嗜められてはさらに反抗するような手に負えなさがあって、英嗣が中学生の時、二人の間に深い溝が生まれてしまいます。
英嗣が実は同性に受けるタイプだということは、作中ずっとにおわされているんですよね。小説家になった親友(当て馬)、親友の編集者、女性の同僚が被害を受けていたストーカーなどから狙われまくってる。ですが、流されて逃げているだけのように見える英嗣の魅力が、わたしには難易度が高くてわかりにくかった…。英嗣が魅力的に感じられていたら、摂の執着にもっと切実さやキュンを感じられたかもしれないです。
対して摂は辟易するほど子供っぽい。英嗣はそれを自分のせいだとして唯唯諾々と受け入れています。察しがよすぎるからこそ逆に感受性が麻痺させないではいられない英嗣が、その状態から脱却していく目覚めが本作の読みどころ。
英嗣が自分の気持ちに気づくまでとても時間が掛かったけれど、一人っ子だった英嗣にとって突然引き合わされた全く血の繋がらない弟は、きっと手に余るものだったのでしょう。実際、人は外野からの圧力や喚起がない限り、密でタイトな関係性を努めて俯瞰しようとはしないものなのかもしれません。
あとり硅子さんは早世の方で、見知った時には既に故人でした。本当に胸が痛かったです。