美しい生贄の王子に与えられた至愛

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表題作鬼の棲む国

サスナ
20代,北の国第六王子
カナギ
20歳,東の国第四王子

その他の収録作品

  • あとがき(桜部先生)
  • あとがき(円陣先生)

あらすじ

鬼が棲むと譬えられる強大な北の国の使者・第六王子であり陸将軍でもあるサスナに選ばれ、生贄として捧げられた東国第四王子カナギ。
死をも覚悟して北の国に足を踏み入れたカナギを待っていたのは、サスナによる贅を尽くした贈り物の数々と一心に注がれる深く真摯な愛、そしてカナギが自ら磨いた才智への尊崇と信望だった。
祖国を離れ、遠い異国へと攫われて出会う、愛と新しい運命の物語。

10回B-PRINCE文庫新人大賞小説大賞受賞した「鬼の棲む国」に加筆修正したデビュー作。

作品情報

作品名
鬼の棲む国
著者
桜部さく 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA(アスキー・メディアワークス)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
ISBN
9784048934824
3.1

(35)

(5)

萌々

(8)

(16)

中立

(0)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
6
得点
105
評価数
35
平均
3.1 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数6

自分、不器用ですから‼

人質の王子と、「鬼」と恐れられる異国の王子。賢く家族思いの、足の不自由な王子が連れ去られた異国では-。
と、どこかおとぎ話を思わせる、優しいお話でした。
心情の変化が唐突に感じたり、微妙に腑に落ちない部分だったりもありますが、全体的に好みの作品で楽しく読めました。


内容ですが、国同士の取り決めで、以前は鬼が住むと恐れられていた北の国に、生贄として捧げられる事になった東の国の王子・カナギ。。兄への恋慕を隠し、悲愴な覚悟で北の国に赴くものの、そこでは予想外に穏やかな日々が待っていて-・・・というものです。

カナギが東洋、北の国の王子・サスナが西洋と言ったイメージです。
祖国を遠く離れて・・・と言った、どこか物悲しさを感じさせる設定でありながら、置かれた場所で懸命に、またしなやかに生きていく主人公と言うのが個人的にツボでして(^^ゞ
カナギの献身的な生き方と申しましょうか・・・。足が不自由で国の役に立たない自分が、兄弟の代わりに生贄になろうとか、怯えながらも要求には従わねばと、サスナに身体を差し出したりとか。不憫なのですが、そのかわいそうな所に萌えます。

と言っても、悲愴な覚悟をしてきたわりに、北の国ではあたたかく受け入れられ、それほど辛い目には合わないのでご安心を。
北の国の王子であるサスナがですね、大きな体躯に冷たい印象のつり目と威圧感を与えるいかつい外見で、細々と世話を焼くのが萌えるのです。花を飾りきれない程贈ったり、カナギの靴が汚れないよう抱っこで運んだり。また、カナギの部屋を訪れては、詰問のような会話をしていったり。なんと言うか、すごく不器用で武骨なんですね。カナギに惹かれていて、大切にしようとしてるのは(読者側には)分かるのですが、カナギには全然伝わってないよ~みたいな。

そして、カナギは臆病。ちょっとした会話での勘違いから、サスナが自分を抱くのは性欲処理の為で、彼には好きな女性がいるものと勘違いしています。
このすれ違い部分が結構かわいそうで、サスナは自分の想いが通じて、カナギも好きでいてくれているから身体を許してくれていると思っています。ところが、エッチの最中の、カナギの口から思わず出た「私の役目」発言で自分の勘違いに気付いてしまう。
私は普段、受けに感情移入する事が多いのですが、なぜか今回は攻めのサスナに大いに感情移入。そりゃないよ~てなもんで。不器用攻めが好きな事に気付きました。

引っかかる部分なのですが、サスナがいつカナギを好きになったのか分かりづらいです。ラストで語られちゃいますが。要は一目惚れと言う事でしょうか。あと、カナギが自分の兄に許されない恋慕を持っていると言う設定。これのせいで、カナギの気持ちの変化が唐突と言うか、簡単過ぎるという印象を受けちゃって、彼への印象がイマイチ悪くなってしまうのです。もっとシンプルに、二人の王子が互いに惹かれ合うで良かったんじゃないでしょうかね・・・。

とは言え、全体的には好みのお話で、楽しく読めました。最後になっちゃいましたが、北の国の人間は屈強で大柄と言う事で、受けが子供みたいに軽々と運ばれてたりするのにも萌えました。体格差の際立つ、最後のイラストがとっても素敵なので、ぜひご覧下さい。

13

王子同士の恋愛もの

当作品が商業デビュー作かな?
B-PRINCE文庫新人大賞の小説大賞作品を加筆修正されたとのことです。
同人誌経験もない先生とのこと、すんごいなあ。びっくりです。
強国第6王子と隣国第4王子という王子同士の、真摯な恋愛ものでした。

受けさんの国に、攻めさんが訪問してくるのですが
その理由が 50年に一度の人質とるためというもの。
王子王女皆ならんで、攻めさんチョイスを待っていたら、攻めさんがまんまと
受けさんを選んで国に連れて帰る・・・というところからお話は始まります。

受けさんは幼い妹が選ばれるのを阻止するべく、普段とは違う華やか目な衣装を
身にまとい、攻めさん国の言語を覚えて話すようにしていたという健気さん。
その他胸に秘めた理由もあり、出国するや否や、殺されても という決意でいる
健気まっしぐらさん です。健気好きな方には、良いかも。

好きすぎる円陣先生の挿絵話。
カラー口絵は肌色一色絡み図で、攻め受けの表情がダメ、結構キます。
表紙の受けが女子に見えて、うーん・・・と思っていましたが
中は表紙より、まだ中性気味に見えました。
来ている衣装(軍服っぽいの♡)が素敵なのと、
攻めのキリっとした(でも中身が(笑))風貌で中和されたかも。

攻め受け以外の登場人物はそんなに多くなく混乱もないです。
受けさん家族(国王、第一王子、妹の王女)などが最初にちらり。
攻めさん家族では特に第三王子が二人の仲介役みたいなお役目です。

****以下はより ねたばれ というか感想

すいません、健気に波長が合わない時期のようで、少し萌えきれませんでした。
表紙から、健気だろうなあ と思ってはいたんですけど。。。。
人質なので、もっと二国間の悲惨さ等があると同調したかもしれません。
攻めさん国で敵視される訳でもなく、代々の人質は幸福をもたらす神的な存在で、あまり悲惨さもなく、少し肩透かし感。
最後は自分の居場所をちゃんと見つけて、めでたしめでたし です。

健気さんより、純朴大男の方が受けるのかな?
攻めさんと受けさんの体格差は結構大きいと思います。
座る受けと、側で立つ攻めの着衣図が一枚あるのですが、
「ごめん、先生、これは入らんと思う!」と思わずつぶやくサイズ感(笑)
そしてこの大男、見た目は抜群、兄からは筋肉達磨と呼ばれる強い将軍さん。
モテモテらしいのだが、聡いのか聡くないのか、お前なーと
怒りたくなる恋愛下手(としか思えない)。
「いいか」といきなり足つかむなよ とつい思った次第です。
最後はちゃんと頑張って、きちんとプロポーズまがいのことをするので
よしよし、よく出来ました と褒めてあげましたが。

強気受けが好きなので、くっついてから攻めさんを尻に敷く話等を
読んでみたかったな。豹変してもびっくりするからダメか・・・

7

皆、優しい人達ばかり

インタビュー記事があった事に気付かずの表紙買いでしたので、タイトルのとおり『鬼』が出てくるファンタジーかと思ってました。
架空の国の物語なのでファンタジーではあるけど、鬼など出てこない人間同士のお話になります(^^;;
内容は先の方が書かれてますので、思いつくままのレビューで失礼します。

華奢で健気なカナギと、屈強で不器用なサスナのカップリングに萌えました!
花が欲しいと言われたらガンガン贈っちゃうサスナの愛情が、カナギに全く伝わってないというのもツボでした(〃ω〃)
そんな不器用サスナに、いつカナギが惹かれていったのが分からなかったです。
祖国の兄への気持ちは諦めたものではあるけど、そんなもんだったのか…?と思ったり。

兄はカナギを想い続けたまま妃を迎え、カナギも心の奥底に兄を想ったままサスナに惹かれているとしたら、兄とカナギの純愛を見せられてるような感じがして、サスナがなんだか不憫に思えてしまいました。
兄と実は両想いだった…という前半の話は無しだったら良かったなぁ…。

そんなモヤモヤはありましたが、カナギが足のせいで役にたたない・男としてダメだ…といったようなコンプレックスが、足も治り自分の地位を確立し男としての自信を持てるようなる流れは良かったです。
祖国で得られなかった事を北の国で手に入れられ、愛する人と共に生きていく見事なハピエン。
文体も難しくなく、とても読みやすかったです。
今作がデビュー作との事、次作も楽しみにしてます。

4

鬼は鬼でも優しい鬼

和風文化漂う東国の王子受が、西洋文化漂う北の大国の王子攻の元に、和平交渉のための人質として赴き、そこで様々な文化の違いや人の性質の違いなどに戸惑いながらも自らの地位を得て攻と結ばれ幸せに暮しました~というBプリらしいお話でした。

小説大賞でのデビュー作だそうで、異文化ファンタジーという特殊設定でありながらも、非常にBプリ好きしそうな感じのライトで甘いお話です。
文章もしっかりしていて読みやすく、凝った世界観ではありながらも小難しいことをごちゃごちゃ飾り立てずに表現されているため、ファンタジーはちょっと……という方にも読みやすいのではないかと思います。

特筆すべきは作者さん自身が海外で生活されているためか、文化による違いからくる差別や侮蔑、否定的な表現が一切書かれていないことだと思います。
これに関しては一貫してその傾向が強く、良い意味でも悪い意味でも物語に影響していると思います。
私自身としてはファンタジーだと思って流しましたが、心の中には少しモヤっとした感が残りました。実際問題、大国と小国の間柄で特殊な事情があって人身御供よろしく異文化圏に放り込まれて、大国側が小国側の文化をそんなに慮ることってないよなーと。しかも相手は王族。ご都合主義が頭を過ぎりました。
でもそこが本当に見事なほどにお互いを受け入れちゃってるので、読み口としては非常に良くて嫌な気持ちになりません。だからBプリと相性いいのかなとも思うのですが、最後の最後まで誰1人嫌な奴が登場しないので、読んでる側はふたりの恋の成就を安心して見守ることが出来ました。
ラストシーンのプロポーズはとてもドラマチックで◎

個人的にはそういった感じで物足りないなというのが正直な感想ですが、全体としては世界観の作り込みも良くできていて面白かったです。
受が女々しすぎて男である必要性が感じられなかったので萌えはなかったですが、設定や世界観、お話自体が面白かったのでこの評価です。
あと兄のハクウンの話はとってつけた感のある不自然さだったので、蛇足だと思います。序盤この部分が感動的だっただけに、攻への気持ちの変化が え? ちょいちょい待って、乗り換えるのはやくない!? と驚いたもので。
ハクウンとの関係を出すなら、気持ちの変化はもう少し丁寧にして欲しかったです。

他のファンタジー作品も読んでみたいと思えるような作風だったので、次回作が楽しみです。リンクスなどの新書二段組でがっつり読んでみたいなと思いました。

2

挿絵素敵

挿絵の素晴らしさを堪能しました。美しいし、カッコ良い!でも、受けの容姿はかなり女性的なので、苦手な方は注意ですかね。私は好きなので問題なしです。
内容は、挿絵効果で萌えです。あまり、山も谷もなくなんとなーくすれ違ったり思いあったり…。着々とお約束ラブへと進む安定した感じです。
受けは攻めを優しすぎる…と思っていますが、何かその優しさズレてるし、受けは初っ端から別の人物と愛を誓ってたのにいつのまにか攻めに惚れてるし…。受けも攻めもキャラ的に好みなので、もっと苦労したり邪魔が入って紆余曲折していたら相当好みな作品かなと思います。

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