Renta!&電子限定描き下ろし漫画付き
記憶喪失のとしと彼の恋人だったと言い世話を焼くまち。健気で献身的なまちだけどどこか拭えない奇妙な感覚。その違和感の正体は…。
重くミステリアスなお話で、何とも言えない読後感に包まれた。一途なまちの怖い程の執着、でも本当に恐ろしいのはどちらなのか?
ハピエンが好きな人にはオススメ出来ないかもだけど、2人で一緒に真っ黒な沼に落ちていくのは、ある意味バドエンではなくハピエンなのかもしれない。怖くて痛い。でも好きな作品。
おそらく好き嫌いの分かれるお話だと思います。
私はakabeko先生の作品がとても好きなのですが、少し手をだすのに躊躇してました。結果、想像したよりも読後感が、全然良かったです。
そうです、こーいう方向性のお話も好き!です。
一転二転と物語が進んでいき、何が本当なのかわからなくなってくる感覚は読んでいてゾクゾクしてきます。あと切ない、切ないです。でもそこがまた良いです。
タイトルがそのままコミックスの内容を表していて、納得させられます。
密室ぐるぐる劇とでも言いましょうか。
2人しか出てこないし、ゴールがわからない。
これループするのかな。
なら、まちはいつまでこれを続けるのか…と考えるとちょっと怖い。
記憶をなくしたとしは戸惑って辛いけど、まちの方がしんどい気がする。
でも、まちはとしを閉じ込めて2人だけの物語を紡いでいきたいので、それはそれでいいのか。
それもちょっと怖いけど。
としがどんな人物だったかがほぼわからないので、それが不気味ですよね。
まちにとってはそんなの必要ないんでしょうが。
としは潜在的にまちから逃げたかったし、まちを殺したかった。
まちの執着が愛とは思えなかったんでしょうかね。
でも、まちの愛が本物だとわかり、闇の底で取った手がまちだったので安心して、2人一緒に闇の世界に沈んでいった…という結末ならいいのですが(見たままだけど)
でも、あとがきには「まちによる とし救出劇でもある一方 その真逆でもあると思うのです」
とあるので、やはりまちはとしに依存しているということなんですね。
と同時に「まちに対して最初に"君を好きになりたい"と言ったのはとしなので」ですから、としもそれを望んでしまった結果…ということなんでしょうか。
見たままの解釈しかできず、かたじけない(いつものことですが)
ほとんど一つの部屋で話が展開していきます。
その不気味さは、低予算で作られたサスペンスホラー映画を見ているようで、次は何が起こるんだろうとそわそわしながら読みました。
最後に二人は幸せになったのか?
暗闇の中、手を取ったシーンからは何とも言えない余韻がただよいます。
私は、愛したことは忘れていなかったと解釈したい。
籠の中でいつまでもお幸せに。
これで絵柄が好きだったら、演出が好きだったら、自分は神をつけていそうなネタです。akabeko先生の作品は何冊か読みましたが、どれもそんな感じの感想で申し訳ない。
ひとつひとつの要素は好きなのだけれど、漫画になったときにハマらない。自分は「相性が悪い」とよく表現してしまいますが。好きになれたら良かったのに…
としさんとまち、双方の持つ狂気は大変興味深いです。案外上下入れ替えたら記憶に残るんじゃ…とかご都合主義に侵されたファンタジーBL脳の片隅で思ってしまったり。
中立〜萌