てんてん
本品は『桜吹雪は月に舞う』の
ホーリンラブブックス限定特典ペーパーです。
桃若視点で錦次が
雪村座を訪れた時のお話になります。
役者である桃若の住まいは
雪若座の芝居小屋の一室です。
ある日、桃若が
近所の湯屋で朝湯を使って戻ると
幸村座を采配する座頭が
小袖の袖を蹴り上げるようにして
駆け寄ってきました。
それだけで桃若には
何が起きたのかピンときました。
錦さんがおいでなんですかい?
座頭はこくこくと頷き、
菊乃丞が贔屓客のところに泊りのため
代わって相手をして欲しいと言われます。
合点でさあ!
応えると同時に
桃若は尻っ端折をして駆け出します。
駆け込んだ稽古場では
粋な小袖を着こなした錦次が
ひょいと手を挙げて迎えてくれます。
錦次は町人風の鬢を結い
無造作に胡坐をかいていますが
纏う高貴な雰囲気は隠しせず
まさに「掃き溜めに鶴」になっています。
待たせた詫びをしつつ錦次の下座に
腰を下ろそうとした桃若ですが
全身を強張らせます。
てめぇらっ!
錦さんに敷き物も出さねいたあ、
何のつもりだ!?
桃若ににらみ連れけられた
新米役者は震えあがりますが
錦次は鷹揚に笑いかけます。
稽古中に邪魔している身なんだ。
あれこれ気を使われちゃ
それこそ尻が痒くなっちまわあ
しかし、
そんな錦次の言葉にもかかわらず
新米役者を始め座頭までも
土間に平伏してしまい…
B5サイズ両面ペーパーは
錦次を恩人と慕う桃若のお話です。
こういった風景は
錦次が一座を訪れる度に起こり
錦次は毎度困惑していますが
理不尽な理由で
陰間茶屋の常連客の御家人に
切りつけられた桃若には
皆の気持ちが痛いほどわかります。
目の前に消えそうな命があれば
助けたいと願うのは人の情、
武家の子か、役者かなどは
関係あるまい
桃若を助けた錦次の言葉に
救われたと思ったのは
桃若だけではなかったはずです。
以来、桃若は
錦次のためならいつだって
この命を奉ってみせる、
それが桃若の男の花道なのだ
というお話でした♪
町人のふりをしていても
錦次の纏う凛とした雰囲気は
一朝一夕で身につくものではなく
名のある武家のものです。
「華は褥に咲き狂う」同様、
まんま某時代劇な本編ですが
本作も某町奉行が下町で
庶民と気軽に接する様子を
彷彿とさせるお話でした。
第三者視点だと
攻様視点、受様視点とはまた違った
世界が見られて楽しいですよね。
桃若は
町奉行となった錦次の手足になって
働くことになるらしいので
ぜひそんなお話も読みたいです (^◇^)/
※店舗特典(レビュー済)
コミコミスタジオ特典は
錦次(好文)の守役のお話です。