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「顔のない男3巻」にある≪渡英した前田男爵≫(これも架空の人物)で調べたら、剛しいら先生のこの作品に、同じ設定が使われていたと知り、読みました。
造船業
広島辺りの架空の藩(実存したんじゃないかと最初勘違いして調べてしまった)
家老の息子
幕末
維新の動乱
17才
・・という架空の設定。この架空の状況と似た境遇の先祖が幕末にいるので、興味を持ちました。
この小説の設定はありそうでない、実は全部架空で架空の藩を舞台にした歴史ファンタジー。
時代考証が念入りなのか、著者の作りこみが上手いのか、本当にありそうな架空話なので、不埒な子孫の私は、先祖を偲んで先祖に人物を置き換えたりしながら妄想空想を発揮して読みました。こんな悲恋があの時代にもし有ったら、傍観者としては眼福。今世の平和がありがたい。
剛しいら先生の初期の作品、古書の通販で購入して今頃読んだレビューなので、自分の読後メモとして投稿。
アマゾンで1円と送料。電子書籍には挿絵が無いので、古書購入を選択。 今 市子先生の挿絵が美しい。アマゾンさん、ありがとう。
この当時の海軍は花形。「坂の上の雲」の映像にあるように、海軍の制服は素敵。
・・・調べたこと 以下、ウイキから
明治時代の海軍: 大日本帝国海軍
明治維新により国民国家となった日本は、1870年頃から海軍力の整備を開始。
明治初期には陸軍に対して海軍が主であったが、西南戦争により政府内で薩摩藩閥が退行すると、陸軍重点主義が取られるようになる。
帝国陸軍とは関係が悪く、しばしば官僚的な縄張り争いによって対立を見た。
海軍軍服:
明治3年12月22日服制が定められ、海軍は従来のオランダ式が改められてイギリス式を採用「海軍服装令」
立襟燕尾服は海軍士官の最上級の儀礼服装
★海軍のランチ:脚気
「大日本帝国海軍軍医の高木兼寛は、イギリスの根拠に基づく医療に依拠してタンパク質摂取量不足が原因だと仮定洋食、麦食を試み、1884年(明治17年)の導入により1883年の23.1%の発症率を2年で1%未満に激減させた。・・」
「 陸軍の森派は白米のご飯、海軍の髙橋派は麦飯。 陸軍森派はバッタバッタと病に倒れ、・・」
脚気対策の森林太郎(森鴎外)の逸話は有名です。白米派の鴎外は、船乗りの職業病脚気を知らなかったみたい。
海上自衛隊レシピ、参照してとても楽しかった。
「海軍さんの料理帖 明治~昭和まで歴史で辿る日本海軍レシピ46品」
明治時代創業の広島県呉市の海軍さん御用達、「五月荘(さつきそう)」も有名。
明治時代の話で、時代物で再会物です。
歴史や時代の狭間で、引き裂かれてしまった恋人達の話です。
剛しいらさんのシリアス物の話が好きな方にオススメです。
脱藩者・三橋一磨(28)硬派攻め×美貌の海軍少尉・鷺沼錦(24)素直天然受け
長妻藩の藩校「青海塾」に13歳で入学してきた錦は、その美貌から注目の的だった。
よからぬ目的をもった男達に錦が襲われそうになった所を、陰から守っていた三橋に救われる。
憧れの兄のような思慕を抱いていた気持ちが、徐々に恋になって。
二人は愛を交わし合うようになるのだが、ある日、三橋が錦の兄の友衛を斬って脱藩して行方不明に。
仇打ちが禁止された時代になっても、三橋の姿を探していたのだが……。
恋の芽生える感じがなんとも自然でよかったです。
全くそういう知識がない鈍くて幼い錦が成長して、その思いと行為の行き着く先を知ってから錦からの告白から関係がはじまったのが個人的に好みでした。
あらすじだけだと『兄の仇打ち』と言う事で、そこには受けの憎悪や復讐があると思っていたのですが、違いました。
錦の兄は本妻の息子で、妾の息子だからと錦を下僕のようにこきつかう男で、そこに親愛はないです。
錦の気持ちは、なぜ自分を置いて三橋は行ってしまったのかと、切ない思いがあるだけでした。
読者側には、三橋が友衛を切った時の背景や気持ちがわかるだけに、思い合っているにも関わらずすれ違ってしまうのが、切なかったです。
腕は立っても人を殺したのは初めてで、それでも錦の身の無事だけを考える三橋の思いの深さには、心動かされずにはいられませんでした。
10年近くもなにかと錦の幸せを願い陰で尽くす三橋と、同じ時間ずっと三橋を思い続けていた錦。
言葉に出さずとも、深く思い合う二人の姿が美しかったです。
時代物と言っても読んでいて難しい感じはないので、しっとりした話に浸れると思います。
エロ:★3 青姦、普通
総合:★4 攻めの受けに寄せる思いの深さが凄く好きな話です。
8年前、長妻藩(架空の藩)の藩校には、いまだ衆道(男色)の風習が残っていた。
新入生の錦は、城代家老の妾腹の息子であり、一際人目を引く美童であった。
一磨は、そんな錦を狼藉者から守るため、周囲には、二人が衆道の契りを交わした仲だと見せかけてガードしてやることに。
信頼と好意はいつしか淡い恋心へと形を変え、心身の成長とともに激しい恋に変わっていくのにはそう時間は掛からなかった。
しかし、お家騒動に巻き込まれた一磨は、錦の兄を斬り出奔。明治維新という激動の時代が無常にも2人を引き裂く――。
海軍少尉となった鷺沼錦は、ある日偶然に兄の仇である三橋一磨を見かける。
「江戸」は「東京」となり、既に「仇討ち」は禁止されてはいるものの、錦は彼を探し続けていたのだ。
「仇を討ちたいのは兄上のためじゃない。私を捨てた兄様が恨めしいからです」
一途に想いをぶつける錦だったが、一磨はある目的のために錦を自分から遠ざけようとする……。
互いに想い合いながらも、運命のいたずらから追う者と追われる者とに袂を分かつことになってしまった二人が切ない。
作者自らが「長年温めていた話」というだけあって、(BLとはいえ)骨太の幕末ものとしても読み応えがあって面白い。また、今市子さんのイラストは濡れ場さえもノーブルで、やや硬質な作品の雰囲気に良く合っている。
時代物が好きという方には、手応えがあるのではないか。
とある小さな藩の家老の息子に生まれた鷺沼錦。
彼は仇討ちと称して、とある男を追っていた。
彼の名前は三橋一磨。
一磨は、錦の藩校の先輩で、その美貌故に先輩や他藩の若者にも狙われていた錦のことを守ってくれていた存在だった。
最初は、真剣での勝負が禁じられてる藩校にあって、自分の腕試しがしたくて錦の護衛をかってでた一磨だったが、錦が実際に襲われ、かげながら見守っていた一磨が姿を見せてから、状況が変わる。
自分より圧倒的に強い男たちに襲われかけても一歩も引かなかった潔さと一途に自分を慕ってくるその姿に一磨は惹かれ、錦もまた自分を守ってくれる一磨の背中の男らしさに惹かれる。
そして一年が経つころには、一磨は念兄として錦を抱く。
それ以来、二人は熱に浮かされるように、夏は川原で冬は一磨の家の書庫で、というように何度も何度も愛し合う。
ところがある日、一磨が錦の家に泊まりにくることになった日。
突然、途中で帰ってしまった一磨は、そのまま脱藩してしまう。
おまけにその日、錦の家に泊まった帰り道に、錦の兄が殺されてしまう。
その晩、脱藩したのは一磨だけではなく、他にも数人いたのだが、錦は別れた時の様子のおかしさから、一磨が犯人であることを確信していた。
兄の仇であるはずの相手のことを忘れられない錦。
明治の世になり、仇討が禁止されても一磨を探すことを止められなくて……
という話でした。
実は、錦の兄と錦はあまり仲が良くなくて、錦は一磨に親しみを感じていた。
けれど、やはり兄を殺されたことはやはり衝撃で、どうしてそうなってしまったのか、何より自分を捨てて行ってしまったのは何故なのか、それが聞きたくて一磨を探している。
という内容でした。
実のところ、一磨も錦のことを今でも大切に思っていて、影ながら錦のことを見守っているのだけれど、ある人物に差し金によって、錦と一磨が再会してしまうところから物語は始まります。
後はいろいろ紆余曲折あって、最後はハッピーエンドになるんですが、個人的にはそうするのがよくある風潮にあるとはいえ、最後の最後で、一磨と錦が再会した時の状況に少しだけモヤモヤしたかなーと思います。
一磨と錦にとってはそれでいいのかもしれないけれど、一磨の実の親とそうじゃない親にとってどういう気分なんだろうかなー……と。
まぁ、本人たちが納得ずくなのであれば、私がとやかく言うことでもないんだろうな、とは思います。
ちょっと今の風習には合わないラストだったけれど、時代を考えれば十分ありだったと思います。