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僕、小さくなりに行ってくる
作家買い。
重い実さんて、独特な世界観の作品を描かれる作家さん、のイメージですが、重い実さんの新刊もそのイメージを損なうことないストーリーでした。ネタバレ含んでいます、ご注意を。
主人公は高校生の武田くん。
ほぼ彼視点でストーリーは展開していきます。
高校の入学式の時に、巨人族の小竹くんと出会い、そして同級生に。
元々巨人族は生活圏が異なり、通常の大きさの人間と生活が被ることはないのですが、小竹くんは手違いで普通の高校に入学してしまったのです。
小竹くんは巨人族用の高校に転校しますが、彼を忘れられない武田くんはストーカーまがいに小竹くんのことを調べ上げ…。
というお話。
タイトルは『おおきい小竹とちいさい武田』ですが、武田くんは通常のサイズで、小竹くんが「巨人族」(体が大きい)というちょっと斬新な設定。
序盤は巨人族と通常のサイズの人間の恋、というテーマで、コミカルに進んでいきます。
が、小竹くん、武田くんともに、彼らのことを好きな「友達」の存在が徐々に大きくなり、それに伴い暗雲が立ち始めー。
身体の大きさが違う=性的な接触ができない、という事で、お互いにべタ惚れなのに、それぞれの友人と性的な行為に及んでしまう。特に、武田くんの方。恋人がいるのに浮気してしまう、という展開なので、そういった描写が苦手な方にはかなりきつい展開かと思います。
武田くんが他の男とセックスをしてしまう姿を見てしまった小竹くんが選んだ道。
小竹くんに去られた後、武田くんが堕ちていってしまう心の闇。
序盤のコミカルな雰囲気とは一変、後半はかなりシリアスで切ないです。
「好き」という気持ちと、「セックス」は切り離せるものなのか否か。
好きだからこそ、恋人と繋がりたい。
心から愛している恋人がいるのに、快楽に抗えない。
高校生という、性的なことに興味津々で、青く若い彼らに突き付けられる重いテーマに、非常に痺れました。
シリアスとコミカルが混在している作品で、浮気やウリ、そして死といった人によっては地雷になりうる展開もたくさん盛り込まれているので、もしかしたら読み手を選ぶ作品かもしれません。甘々でエロエロな作品を読みたい気分の時にはもしかしたら不向きかも。
が、個人的には重い実さんの世界観てとてもツボで、この作品もめちゃめちゃツボに入りました。
巨人族の小竹くんと人間の武田くん。
彼らの恋の行き着く先はー。
これ、上下巻の作品で下巻は来月(2018年3月)発売になります。重い実さんの書かれたあとがきによると、下巻は「同じ大きさになった小竹と武田、大橋のその後」が描かれているそう。上巻で二人の関係はいったん落ち着いたうえでの下巻という事で、どういう展開になるのか非常に楽しみです。
この設定は他にはないのでは?
タイトルのとおり、おおきい巨人族の小竹と、普通サイズ?の武田。二人は両思いで、毎日放課後にデートをしたり、一緒にすごす時間を大切にしている。
けれど、体の違いから、Hはできない。
同級生の大橋は、武田に強烈に惚れていながらも、小竹を好きな武田の前では、はすっぱな口を聞き、体だけは慰めてやるという態度でHを続ける。それを受け入れる武田。
一方、巨人族で小竹の友人、森。こちらも小竹に少なからず好意を持っているようだが、無口で自分の考えをしっかり持っているタイプ。小竹の体のガス抜きをしてあげる。
こんな屈折した関係の4人。
ところが、体を小さくする赤い実があると、森から聞いた小竹は、その実を食べると死んでしまうと知っても、実を探して食べようとする。まさに重い実?
重い実さんは、絵の背景が少し薄くて、絵も線が細く頼りない印象なのですが、ストーリーが極太ですね。
非現実的なベタ甘恋愛からはかけ離れた、人間の運命と、それを作ろうともがく人達の恋愛が描かれていて読み応えが抜群です。
下巻に続きます。
重い実先生の世界感、唯一無二で大好きです。
シュールで、せつなくて、愛にあふれている感じ。
設定が有り得なさすぎると没入できなくて萎えてしまうことってあると思うんですが、
私はいつの間にかこの作品の世界感にハマっていました。
設定はぶっ飛んでいても登場人物の感情はリアルだからだろうか、、
途中、苦しくてシリアスな場面あります。
そういう話は好んで読まないのですが、この作品は救いがあるので大丈夫でした。
シリーズ全部読みましたが、当て馬が主人公のスピンオフまですべて読んでほしいと思います。
これが上ということは下でこれ以上どう展開するんだろう。
あぁ!森と大橋がいなければ。余計なことして小竹と武田に手を出さなければ。そして大橋があんなふうに小竹に見せつけるような真似をしなければ!
小竹と武田は巨人と普通の体でも幸せだったのに。
でも愛情と快楽、本命と体だけは別だと森や大橋に誘導されて。
小竹が赤い実をどんな思いで食べたか。死ぬとしても武田と普通に付き合い抱き合いたかったんだね。
夏休みいっぱい一緒に過ごせて良かったね。
そして小竹が消えて。
でも実は死なずに仮死状態になるだけだったんですね。必死で勉強して森の言うとおり研究所に勤めて小竹の世話をして必死に働いて。
武田は小竹を傷つけた罪を、わずかな可能性を五年間背負い続けて。小竹が死んでいなくて本当に良かった。
大橋も武田を五年間見守り続けたんですね。
最後は小竹が目を覚まして再会できて思い出の山へ行ってめでたしです。
でも最後のめでたしを迎えてもまだ私は衝撃が消えません。
凄かった。引き込まれました。結果的に小竹が小さくなって武田と同じサイズになれたけど、それまでの二人の危うさや傷ついたことや悲しみを引きずりました。スラスラ読めますが衝撃的です。
巨人族の小竹は手違いで普通の高校に入学してしまい程なくして転校するけれど、そこで出会った普通サイズの武田と恋に落ちる。両思いなのに大きさが違いすぎて触れ合えない2人。小竹だけが好きなのに他の人とセッしちゃうビッチな武田はやりきれないし、小竹くんが現場を目撃してしまった時には読んでるこっちの胸が張り裂けそうに。
消えた小竹くんは小さくなる事が出来る赤い実を食べて戻って来るのだけど、それは実は死と引き換えのもので…。
同じサイズになりたかった小竹くんと、幸せの絶頂から後悔のどん底に落ちる武田くんの苦しみがもう苦しくて切なすぎて(号泣)
ラストはハピエンなのだけど、こんなに心乱されたのは久々で重い実先生天才すぎる!
武田に絶望的に恋してる大橋くんがまた切なくて、下巻の三宅くんとのお話も最高だった!!大橋ノートのいじらしさったらない。二組共最強に愛おしくて、好きすぎてたまらない世界観。