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今でもあるかどうかは知りませんが、島全体が売春島になっているという島があるという話を何かで読んだ事があります。
島ぐるみでの売春、売春目的で訪れる外からくる人々、そういう島があるのだ、と。
綺月さんもひょっとするとその島をモデルにしたのかもしれませんが、人気デザイナーの諏訪〔攻〕は同窓会で梔子島を訪れる事になります。
美人を見慣れ贅沢な生活に慣れている諏訪にとっては、島の女コンパニオン等には食指が動かず、更に売春目的でこの島を選んだというのが分かりすっかり辟易してしまいます。
そんな諏訪に旅館の女将が、紹介するのが女ではなく少年の崇生〔受〕
崇生を見た瞬間に諏訪はすっかり心を奪われ、その淫らな美しさに夢中になってしまう。
島を離れても彼を忘れられない諏訪は、再び崇生の元を訪れ、そしてついに彼を島から己が住む東京へと連れ出します。
けれどずっと島で、しかも教育さえ受けずに育った崇生にとっては東京での生活は苦痛でしかなくて、求めるのはただひたすら諏訪とのセックスのみ。
少しでも離れれば崇生は悲しみ、一秒足りとも離れたくないとの如くに諏訪を求めるのみ。
結局諏訪は、人気デザイナーの地位も失いゲイのお稚児趣味と貶められ、崇生と共に島へと戻るのです。
何もかも亡くした諏訪が島で崇生と生きていく為には、崇生に客を取らせる他無く、諏訪自らが客引きをして崇生は当然の様に他の男に抱かれ。
崇生という少年に魅入られた諏訪は落ちるところまでどんぞこに落ちて行く。
しかし彼は服を作るという、デザイナーとしては当たり前の事を崇生の一言から気付き、再び服を、崇生の為の服を作り始めるのです。
きらびやかなデザイナーだった諏訪が、たった一人の魔性の少年に出会ったせいで転落していく様は、少し耽美でうっすら耽美JUNEのにおいがします。
最後は絶望的なものではないけれど、セックスと諏訪しか知らないある意味無邪気な崇生と、彼の元で島に住み服を作り続ける諏訪。
しっかりした文章力で閉鎖されたこの不思議な遊郭島の空気を描ききっています。
エロ描写もエロの中に独自の敗退的な雰囲気があってそこも良かった。
挿絵も見事に合ってます。
自分は実はそうJUNE的な作品が全部好みかっていうとそうじゃないんだけど(何せ地味受、ちょいブサ受スキーなので…)、これはがっつり魅き込まれました!
BLというよりJUNEに近い作品だと思う。きっとJUNE的作品が好きな方にはこの作品は気に入るんじゃないかな。
好き嫌いが、別れる作品だと思います。
なんたって暗い、重い。読んでいて、ストーリーもさることながら、行間から漂う退廃的で濃密な空気に、息苦しくなりました。
その感覚は、山藍先生や木原音瀬先生(FRAGILEなど)の作品など、確かな筆力の作家さんの作品でしか味わえないものだったので、私としては神評価をつけます。
初めて読んだ、綺月先生の作品だったのですが、一気にファンになりました。
さわりだけ、あらすじを。
成功し、有名デザイナーとしての社会的地位も、経済力も、美しい彼女も手にしている攻め様。仕事に対してプライドも情熱もあり、社会人としての良識も持っています。
同窓会で旧友に連れられ、そうとは知らず、おとずれたのが『梔子島』。そこは、産業も名所もなく、島ぐるみで売春を生業にしている島でした。
女性に不自由しているわけでもなく、普段美人に囲まれている攻め様は、島の女に迫られても全くその気になれず、うんざり。その場から逃れたいばかりに、成り行きで、島唯一の男娼(受け様)を見に行くことになります。見るだけ、のはずが、受け様を買わずにはいられなくなり、一度抱いてしまえば、その魔性の虜になる攻め様。築き上げてきたものを放り投げるほど、受け様中心でしか物事を考えられなくなり、堕ちて堕ちて・・・その先は? といった感じです。
とにかく、攻め様の転落ぶりが半端ないので、ご注意を。
ある程度の転落ぶりは予想していた私でも、たじろく展開もありました。
濡れ場はとにかく多く、エロエロです。そしてドロっドロです。
でも、独特の雰囲気を持った素晴らしい作品だと思います。
すぐにではなくとも、いつかまた読み返したくなるだろうなあ。。
恥美の傑作。名作。
神。
綺月陣先生の代表作です。
これ以上の恥美本は今は探しても見当たらないです。
淫靡で殺伐。
淫乱で無垢。
売春島で出会ってしまった美しい男娼は
売春でしか生きる道が無い15歳の少年だった。
社会的地位も良識もこの少年には関係が無かった。
ただただ自分の身体で相手を喜ばす事が少年の仕事であったから。
快楽にのめり込み 人生さえも捧げてしまった男。
どこまでも落ちるがいい。
売春島で生きる以外 少年の幸せは無いのだから。
実存する島を題材にして、こんな事もあったかもしれない、というサスペンス浪漫でした。著者は、BL作家というより、社会派なのかもしれない。
著者の作品のシナリオのアイデアは、なにかの報道を読んで、ヒントを得ているようです。
「背徳のマリア」も、実際に「男性の出産は可能」という研究論文が報道にありました。この作品のモデルの島も実存しています。
誰も触れたがらないタブーに目を向けて、BLのテーマにする著者の社会意識を評価したいです。
「エログロが得意なキモチワルイ作家」と某担当に言われて鬱になり、休筆していた著者を正しく評価してあげないと、気の毒です。
大きな社寺の門前町には、大きな花街がセットで存在するのですが、伊勢神社近くの売春島の歴史は、古いです。梔子島(くちなしのしま)は、架空の島の名前ですが、実在するそれらしい島があります。
「売春島」でググルと、
【売春島こと渡鹿野島は三重県志摩市の東部、カキの養殖で知られる的矢湾の中央部にある。周囲約7キロ、人口200人ほどの小さな島で、渡航手段はピストン運航するポンポン船(小型船)だけ。本土から隔離された島にはスナックやパブを隠れ蓑にした「置屋」と呼ばれる娼婦の斡旋所が点在し、管理売春で栄えてきた。】・・などなどがヒットします。ここは、警察と癒着した反社が仕切っている置屋の島で、恋人に騙されて売られた少女が、遠泳して島から逃げた実話もあるそう。
でも、島の人は、娼婦を大事にして、苛めたりしていなかったらしい。
江戸と大坂を結ぶ航路上に位置した島は、多くの船が停泊する「風待ち港」でした。
2016年5月の伊勢志摩サミット開催前に、「会場の賢島の目と鼻の先に、こんな売春島があっていい」と告発ルポが週刊誌に沢山出て一掃されたので、今は多分置屋は消えて無いのでは?
将来に光が無い売られた男娼の魅力に溺れて、共に堕ちていく或る男性の物語でした。バッドエンドです。
もう終始、淫靡です。
梔子島はいわゆる売春島。
今もまだあるのかな…
そうとは知らず島に訪れた、成功者の諏訪。
島でひとりの男娼、崇生の魔性にとらわれ
堕ちてゆく。
15歳、500万で祖母から買い取り、
恋人を男娼として仲介する、
プライドを捨てきれず崇生に手をあげる、、、
綺月先生の容赦ない展開。
トップに君臨していた諏訪が梔子にとらわれて、
堕ちて、ふたりの土壌に種を撒いて、小さく芽吹かせ、ふたりだけの愛のかたちを見つける。
最後に救いがあります。