電子限定おまけマンガ付
結末を詳しく知りたい方には参考にならないかと思いますので、あらかじめご了承ください。
地方の村で暮らす泰良は、中学卒業まで幼馴染みの昌といつも一緒に過ごしていた。村を出て東京の高校に進学し、最終学年となったある日、商店を営む泰良の父親が強盗に襲われる。それまで一度も帰省することがなかった泰良は、父親の安否確認のために村へ帰ることに…。
昌との思い出といえば、子供の頃の遊び場だった神社でしょっちゅう意地悪をされたことと、父親の代わりに東京の高校まで学校見学に付き添ってくれたこと。
久しぶりに村へ帰ってきた泰良が別の幼馴染みに連れられて昌の家を訪ねると、父子家庭だったはずの彼は荒れた家で一人暮らし。父親は一年ほど前に失踪していた。さらに彼は脚に軽い障害を負っていて、昌の家に何が起こったのか心配になる泰良だったが…。
ミステリー色の強いお話です。こういう、ミステリーなのかBLなのか、シリアスなのかコミカルなのか、はっきりと選り分けられないテイストに今っぽさを感じます。人によっては何もかもが中途半端に感じる危険もありますが、この曖昧さが逆に落ち着くというか、躊躇なくいろんな萌えを自分基準でブレンドしてしまえる作者の表現力に惹かれました。絵柄も雰囲気があって、昌のテレ顔をずっと眺めていられる感じ。昌くんかわいいです。
決して明るいストーリーではありませんが、ところどころにギャグっぽいシーンが挿入されていたり、キャラの組み合わせがピュアで微笑ましいので、ダークとまではいかないし…独特です。
この二人、昌が物語最後の方で選んだ決断に至るまで、まだ恋とは呼べない段階で急激に事が進んでいったパターンなんだと思います。エッチシーンもあるけどそれには意図があるんですよね。
二人が共に真実を明らかにしていく間、お互いがお互いを守ってあげたい気持ちが高まっていくところに萌えを感じられたら、ハマると思います。頼れるのはお互いしかいなくて、相手を信じたいけど疑う気持ちも拭えなくて。全てが明らかになっても、泰良が昌に抱いた気持ちの正体を見極めさせたかったから、最後はあの流れに至ったのだろうとしっくりきました。
昌の父親を探すために二人が旅に出るエピソードは見せ場のひとつだと思います。二人きりで知らない土地をさまよう頼りなさは、逃避行好きにはたまりません。マイペース同士なので、町の人たちとのふれあいシーンは何気に旅番組してました笑
小さな村の閉塞感、ぎこちない親子関係、近くて遠い幼馴染みの思い出、突然起きた強盗事件…。不穏な要素ばかりなのに、読後感はじんわりとあたたかいです。
大人になる前の、相身互いものがお好きならおすすめです。
サスペンス小説っぽい展開にずっとドキドキしながら読みした。カバー裏の感じなんてまさに小説っぽい。こういう恋愛が本筋でないBL作品大好きです。恋愛に起因する逃避行ではない学生の逃避行ものってあまりない気がする。その分ラブ面がやや物足りないのかもしれないけれど、昌の表情や態度が可愛いので抜け感もあって雰囲気は良いです。ひょっとしたらその抜け感が、対象の読者をどっちつかずにさせたのかもしれないけど。泰良が昌をわずかながらにでも疑ったことに、昌が女々しく反応しない展開も好きでした。
萌2〜神
初めて読んだ作者さんの作品でした。
表紙の雰囲気はシリアスな感じですよね。
仄暗く、かぞえ唄とかもちょっと怖い不気味な雰囲気があり恐る恐る読んでいたのですが、所々テンションが高くなる部分が挟み込まれており、どういう感情で読めばいいのか分からなくなったりしました。
絵の個性的な感じも相まって、すごく独特だな…っていう印象。
ミステリーの部分、相手の家族が犯人かと思いきや自分の家族が犯人だったみたいな部分は割とよくあるお話かと思うのですが、その後の泰良の足元がグラグラして視界が定まらないという描写が良かったです。
深掘りすると色々「ん?」って所が出てきますが、一冊にミステリーもラブもだと、とっ散らかる恐れがありますがよく纏められてるなと思いました。
いつもは素直じゃない昌の、たまに見せる素の表情がとても良いです。
初読み時と何回か読んでみた後の印象は大分違うので、合わないなぁと思ったとしてももう一回か二回、読んでみる事をオススメしたい作品でした。
絵や雰囲気は好きなんです。作者さんのデビューコミックスということ。
幼なじみもの。父の怪我で一時帰省した主人公、泰良。久しぶりに幼なじみの昌に会うも、なんだかつっけんどんで。
二人の中を取り持ってくれる女の子がいるのですが、肝心なところではあまり登場しない。
近付き難い猫を手名付けるようなストーリーなのですが、攻めの泰良が昌を好きになったのが突然すぎて、えっ⁉︎となりました。
え、どこで好きになったの?そういう好き?えっえっ?
みたいな。
泰良の父や叔父、昌の父が不正に関わっていたというところもなんだか引っかかる。
モダンボーイが雰囲気があって良かっただけに、こちらはどこか消化不良の物語材料を見せられた感じで今一つのれませんでした。