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海外にいるため電子版を購入しました。
前作を読んでいる方は知っての通り、カナエはオウギと番になることにより、フェロモンが分泌されなくなりました。
街中でカナエのフェロモンが漂い、あるはずはないと思いつつも抗えず、ヒートになってしまいます。
家に戻り、事の顛末を話すと、カナエからは「すごく悔しい」と…。自分じゃない誰かから、自分のフェロモンの香りがし、でも自分はもうその香りを出すことはできず…。その次のオウギの言葉には、あぁ本当にカナエが好きなんだなと感じさせられます。
そこからカナエのフェロモンが漂った人物は実は”β”であり、誰かからもらった香水で、Ωの匂いを漂わせていた事がわかります。
そして、実はカナエの主治医がユキと共謀してカナエのフェロモンを手に入れ悪用し、さらにカナエが堕胎したと思っていた子供が実は生まれていたなど…なかなかにディープな話になって行きます。
オウギは自分の力(脅し含め)でそれらの情報を手に入れ、さらにユキとカナエの子であるルカとも対面します。
カナエ
前作からなかなかに不遇な子で、オウギと再び出会って、幸せになって…と思いながら終わったのに、まだあるとは…。今作はオウギ目線なため、表立って出てくることは少ないですが、それでもカナエがどれだけ過去に後ろめたさを感じているのが、ひしひしと感じ取れます。ルカの存在を知ったら、カナエはどんな反応するんだろう…。「過去が消えない消せない」この言葉にたくさんの思いが詰め込まれていると思います。
オウギ
αであるもののやはり年相当なのか、今回も突っ走り(?)ます。手に入れた真実は全部が全部いい方向には向かわず、カナエに黙って色々詮索しているのもαゆえか…。オウギもオウギでカナエがいなくなった後は大変で、たくさんの心理カウンセラーに診てもらっていました。最終的には催眠療法でカナエと過ごした記憶に”布”をかけます。だからカナエとの記憶も曖昧だったんですね…。極論になってしまうかと思いますが、オウギも被害者なんだなと思いました。
ユキ
ユキに関してはもうなんというか…。前作で、Ωの真似事をしている、とあったので、この人もこの人なりに償おうとしているんだなと思ったのですが、今作で結構見方が変わりました。堕胎させずに子供を取り出した事、償いのつもりなのかわかりませんが、体を売っている事、堕胎を「させるわけない、俺の子だ」と言って、ルカを育てている事…どれも自分勝手だなと私は思ってしまいました。(性格曲がっているのですみません…^^;)フェロモンに抗えなかった云々はこの際置いておくとして、中絶がいい事だとは言いませんが、幼いカナエの体にはどれだけ負担だったのか…。作中、オウギが「僕があの子(ルカ)から片親を奪った」とありますが、私はそれはオウギではなくユキなのではないかと思います。これからユキ編が連載されるという事ですので、それを見てからまた意見が変わるかも知れませんが…。
ルカ
最初見たときカナエが何かの魔法で小さくなったのかと思うくらいカナエに似ています。しかし後からじっくり見ると、髪型だったりがユキに似ていたり…二人の子供だっていうのがよくわかります。この子はユキ思いのとってもいい子で、「ユキが笑ってくれれば幸せです」と言っているくらい、ユキが好きで、それと同時にユキからすごく愛されているんだなと思いました。カナエには会わない、とオウギと約束し、全てを知った上でユキを助けたい、と思っている…なんていい子なんだ…。
オメガバース系の中でも本作は特にオメガバースという特性をふんだんに使い、そして物語がディープなところがあって、私は特に気に入っている作品です。話を読み進めていくと、いい意味で色々と期待を裏切るような展開が面白くもあり、そしてモヤモヤと心が落ち着かなくなったりします。
前作から大好きな作品で、今作が出ると知った時ものすごく喜びました。ユキ編でまたどんな話が展開されていくか、楽しみでもあり怖くもあります。正直、みんな幸せになってくれ…と心の中の私は思っています(笑
電子版で購入しました。
カナエ(Ω 受)の匂いがするβを襲ってしまったオウギ(α 攻)。原因はカナエのフェロモンがβに付いていたからでした。盗まれた"カナエのフェロモン"について解明しようとカナエに内緒で行動を起こすオウギ。結果、カナエが過去にカナエの兄であるユキの子を妊娠し堕胎していた事、カナエのフェロモンはカナエの産婦人科の主治医とユキにより悪用されていた事が分かりました。そしてカナエも知らなかった真実…堕胎は偽装で、本当は子供は産まれていたのです。ユキとカナエの子である"ルカ"と会うオウギ。ルカに対し、一生カナエと会わない事を約束させ、ユキとルカの元を去ります。カナエの元へ帰るオウギは全てを知った上で、カナエを幸せにしたいと強く思い、"君は僕の運命だ 君の子供が欲しい"と伝えるのでした。終
オウギと番になって以降カナエはフェロモンが出なくなりました。そのことで、久々に嗅いだカナエの匂いに、オウギは我を忘れそうになるくらい発情してしまい、その様子が少し怖く、そして切なく感じました。信じてはいるもののフェロモンが出ないことでオウギに愛想尽かされるかもと不安になっていた矢先に、自分のいないところで発情するオウギを前にし、正直に"悔しい"とカナエは泣きます。その姿も切ない。しかしその後のオウギの言葉…"君が僕を誘惑するのに フェロモンなんているもんか!"この言葉にグッときました。心とは裏腹に、反応してしまうカラダ…自身への怒りや虚しさもあり、カナエに対しても罪悪感があったと思います。だから余計に読んでいて胸に刺さる言葉でした。
カナエに内緒でカナエやカナエのフェロモンを調べていたオウギは、途中"知りたい"気持ちと現実の自分の行動とのバランスが悪くなり、疲れて弱気になります。"僕のどこが好きなわけ?"とカナエに聞いてみると、"分からない"と答えるカナエ。そのオウギへの思いが、すっごく素敵なんです(^^)優しいから好きとか、意地悪だから嫌いとかじゃなくて、"オウギだから好き"と伝えます。オウギが、自分を見せたくない部分があるなら、見ないとカナエは言います。オウギを信じる方が好きだから、ずっとオウギを好きでいると。
フェロモンの誘惑に負けたユキは、その罪を背負って生きると誓います。でも、本当にフェロモンだけだったのかなと。それは兄弟としてか、1人の人間としてかははっきり区別するのは難しいかもしれませんが、ルカの存在が、ユキのカナエへの"愛"があった証拠だと思います。オウギにとってフェロモンに勝るカナエへの愛を感じると共に、罪を背負うかのようにルカと共に生きていくユキにとっても、カナエに対してフェロモンに勝る愛があると感じました。
オメガバース系を殆ど読まないのですが、前作を読んでいたので迷わず購入し、大満足でした(^^)複雑なお話なので、何度も読み返しています!
このお話は"ユキ編"へと続くようです!!また続編が出たら購入したいと思います(^^)
yohaさんの非凡な着眼点と作家性にただただ舌を巻きながら興奮気味に読んだ前作から早2年半。
またしても「凄いのが来た…!」という感じです。
心がザワザワしっぱなしでした。
面白かった!!!
最初にサラッと言ってしまうと、このシリーズはまだ続きます。
本作は、前作と次作を繋ぐ役目の物語でもあるようです。
カナエの作中の表現を使って書くなら、「開けなくていいパンドラの箱」が本人の知らぬところでこじ開けられていく続編といったところでしょうか。
意味深なサブタイトル【ロスト・チャイルド】の意味は、その次作へと繋がっていきます。
カナエとオウギの物語をハッピーエンドのままそっとしておきたい方にとっては、もしかしたら「読まなきゃよかった…」となる内容かもしれません。
私が味わった衝撃を実際に読んで味わって欲しいので多くのネタバレはしないようにしますが、この先少しだけ内容に触れます。ご注意ください。
前作で晴れて番となった〔カナエ/Ω〕と〔オウギ/α〕。
だけどカナエの過去の出来事をオウギはまだ知りません。
カナエがこのまま一生「パンドラの箱」に閉じ込めたままでいたい過去。
そこにスポットが当たります。
しかしながら本作は、ただその過去が綴られるだけのいわゆる「過去編」ではありません。
“その先”があるのです。
とても衝撃な。
カナエ本人も知らないその先が。
物語はオウギと番になったことでカナエからはもう匂わなくなってしまったカナエのフェロモンの匂いを見知らぬ別の人間が漂わせていたことから始まります。
そのおかしな事象を辿っていった先にいたのは、カナエとの過去の一件のあと姿を消していたカナエの兄〔ユキ/α〕。
帯にある「メス(オメガ)を演じる兄(アルファ)」が指すのは、この兄ユキのことです。
本作でのユキは相変わらず謎めいていてまだよく分かりません。
続く次作がユキ編となるようです。
万人受けとは無縁の作風で突っ走ってらっしゃる作家様なだけあって遠慮していては描けない類いの展開もなんのそので盛り込まれているので、先の見えない面白さにただただ引き込まれます。
読んで幸せな気持ちになれる作品とは明らかに異なりますが、やっぱり今作も一点の曇りなく「神」しか付けられません。
今作→前作→今作とノンストップで繰り返し読んでしまう面白さでした!
次のユキ編は良い意味で読むのが怖い気すらします。
巻末の描き下ろしがもう辛い………次は一体どんな物語が待っているのでしょう?
震えて待ちます。
前作でも感じたことですが、yohaさんの作品は「絶対的な善人」も「絶対的な悪人」もいないのが物語を面白くみせる鍵になっていると思うのですよね。
誰がどう見えるかは「誰から見るか」で変わる。そんな面白さがあります。
オウギはどう見える?
ユキはどう見える?
カナエはどう見える?
そんなことを気にしながら読んでみるのも面白いと思います。
【電子】シーモア版:修正白抜き、カバー下なし、裏表紙○
確かに明るく楽しい話じゃないので、覚悟して読まないと結構精神抉られると思います。
しかし前作からのキャラひとりひとりがよく掘り下げられていて、ひとりひとりの行動はめちゃくちゃだけど納得がいきます。
カナエの兄、ユキも弟をレイプしたくてしたわけじゃない。
みなが運命に翻弄されて、それでも抗おうとしている。
それがたとえ自分自身を幸せにはしなかったとしても。
それでもカナエもオウギも、ユキもそしてルカも、自分よりも誰かを大切に思い、守ろうとしている気持ちがすごくいとおしい。
ユキがカナエをレイプしたことを後悔していないと言い切った理由に泣きそうになりました。
望まれなかった子供を手元に置き、虐待もせずに愛し育てているのがわかるシーンがあって、さらに涙。
起こってしまった過去を消し去って忘れることは、カナエそっくりのルカを手元で育てているユキには決してない。
予想もできない展開に次巻のユキ編への期待も高まります。
どうかみなが、それぞれの幸せを感じることのできるラストであって欲しいです。
BLとしては厳しい評価が多いけど、人間ドラマとして個人的に高く評価したい作品です。
前作『さよなら恋人 またきて友だち』がめっちゃツボだったので、続編のこちらも購入。
前作の時も思ったのですが、表紙がすごい。
いい意味で。
なんていうのかな、独特の世界観がある、と言えばいいのだろうか。
見る人によっては恐怖すら感じそう。ほの暗い深淵の世界に引き込まれそうだなと、いつも思うのです。
そして、この作品は、その表紙のイメージを損なうことのない、「人の心の闇」に焦点を当てた衝撃作でもあると思う。
ということで感想を。ネタバレ含んでいます。苦手な方はご注意ください。
街中でβが襲われるという事件が多発。
発情期にフェロモンが出るΩならともかく、なぜβが…?と街中で噂になる中、ある日、そこにあるはずのないカナエのフェロモンをオウギは嗅ぎ取り、その匂いを纏っていたβを襲いかけて…。
βが襲われる、という謎を軸に、そこから描かれていくストーリーに圧倒されました。「オメガバース」というバックボーンが見事に生かされている作品だったと思います。
「フェロモン」という、自分ではどうしようもないものに振り回されてきたカナエ。
そのフェロモンを、お金のために悪用する大人たち。
けれど、「フェロモン」に振り回されてきたのは、カナエだけではなくて―。
カナエが子どもだった時に起こった兄弟間でのレイプ。
前作を読んだときはカナエをレイプした兄のユキに対してあまりいい感情が持てなかったのですが、ユキもまた、αという立場に翻弄されてきた。
カナエをレイプしてしまったことに対する懺悔の想い。
懺悔の想いからユキがしている行動。
そして、カナエを失った彼が得たものとは―。
とにかく切ない。
今作は、オウギ×カナエ、のストーリーから、ユキメインの作品を綴るためのスイッチになる作品だったように思います。
ユキが、カナエをレイプしたことを後悔していない、と言い切るその理由に、思わず落涙しました。暗闇の中でユキが手にしたものの大きさに、救われる思いでした。
オウギ×カナエの過去が描かれていたのもよかった。
前作と今作を読むことで、どちらの作品の萌え度も上がる。
確かにダークな作品なので、もしかしたら読み手を選ぶ作品かもしれませんが、個人的にはめっちゃツボでした。
前作で、オウギとカナエが恋人になってよかったね。
で終わっていた作品を、こう繋ぐか!という。yohaさんの描き出す世界観にどっぷりとやられてしまいました。
次作では、どうかどうか、ユキに幸せになってほしいと願ってやみません。
早く次巻が読みたいです。