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サービスするから、しばらく置いて
強気美人受けは大好きだけど、ヒモ攻めっていうのが引っ掛かって、読むのを躊躇していたこの作品。
私は溺愛好きなので下手したら地雷にもなり得るなあと思っていたのだが、すんなり読めるどころか、だんだんと「あれ?コイツいいやつじゃね?」という気持ちになり、最後まで読むと、いいお話だったわ…という感想になってしまって自分にびっくり。
攻めの三隅のキャラはたしかにクズだと思う。借金のくだりは受けの気持ちを思うと、やはり許せないものを感じる。
ただなんか憎めないのは、どうやら騙すつもりではなかったらしいことと、贖罪の気持ちはあるらしい、ということがわかるからかな。
途中から三隅視点に切り替わるのだが、三隅は東宮のところにいる間、他の人と関係を持ったりもしないし、東宮がデートから帰った時なんかは、明らかに嫉妬してる。
そんな風に東宮への気持ちがしっかり描写されていたのが、読んでて不快な気持ちにならなかったポイントだったと思う。それどころか、イケメンでエッチと料理が上手くて家事もしてくれて浮気しないんなら、ヒモでもいいんじゃないか? とすら思ってしまった…。三隅のセリフにあったように、それこそサービス業だと思えば…。
三隅は頭脳も優秀で商才もあるらしいので、将来性がないわけでもないし…過去にあまりにもひどいことをされたせいで、相対的に現在での行いがいいやつに見えてしまうという仕組み。
東宮が口では拒絶しつつも、ついつい流されちゃう気持ち、なんだかわかるなあ…。
もう傷つきたくない東宮が、何度か流されながらも、自分から別れを切り出すくだりなんかも、切なくてよかった。
受けが上司の娘と付き合うという展開も、直接的に描写されてないので気にさわるようなことはなく、事件もちゃんと解決されるので、読後感もよかった。自分が苦手だったはずのキャラを、気持ちよく読めたという点で神評価をつけようと思う。
かなうはずがないと思っていた初恋が、成就するというお話は、やはりぐっとくる。
こちら、ヒモ男とエリート官僚による、ジレジレの初恋ものです。
攻めがかなりのろくでなしなのですが、そんな攻めの心情の変化に萌える萌える!!
ストーリーとしても読み応えがあって面白かったのですが、主役二人のしっかりとした心理描写にもホロリと来てニヤニヤしてと最高でした。
内容です。
エリート官僚として順風満帆な日々を過ごす・東宮。
そんな彼の前に、過去に借金を押し付けて逃げたかつての恋人・三隅が現れます。
二度と騙されまいとの固い決意も空しく、三隅の圧倒的なオスの魅力に逆らえずに寝てしまう東宮。
さらにあれこれと居心地良く尽くされ、ヒモ男だと分かっていても自宅から追い出せないように。
そこで、昇進と三隅をキッパリ振り切る為に、上司の娘とデートする事にしますがー・・・と言うものです。
まずこちら、ヒモ男×エリート官僚です。
受けの東宮ですが、ツンな優等生タイプ。
で、問題のヒモ男・攻めの三隅ですが、男の魅力に溢れたろくでなしです。
二人の出会いは高校時代。
既にこの時から東宮は三隅を意識してますが、優等生としてのプライドが邪魔して気にもかけていないフリ。
しかし、人の気持ちに聡い三隅の方は、そんな東宮の気持ちにしっかり気付いていてと言った所。
で、さらに5年前、高校卒業後に再会した二人は恋人となり、その後借金を押し付けて逃げ出す三隅。
ここから現在、またまた三隅が何食わぬ顔で現れ、ヒモとして居座るようにと言う流れです。
なんかこうして書くと、つくづく三隅がろくでなしですね。
と、クズっぷりがなかなか酷い三隅に若干苛立つものの、二人の同居生活が萌えるのです。
ヒモとしての能力に長けている三隅があれこれ世話を焼いて尽くし、その居心地の良さに流されがちな東宮。
彼は5年前の出来事に酷く傷付き、また官僚として経験も積んだ事で強くなっています。
東宮が「早く出て行け」とズバズバ言い、そんな彼をのらりくらりとかわしつつ甘やかしまくる三隅。
東宮の心情がなかなか切なくて、これが彼の手だと分かっていても、甘い言葉を信じたくなる・・・。
このへんの葛藤なんかがすごく丁寧に書かれておりまして、読みながらグイグイ東宮に感情移入してしまうのです。
また、ここから三隅視点も入ります。
最初は印象どおりのろくでなしぶりに、かなり苛立つのです。
東宮の気持ちを分かった上で、恋心につけ込んでいいように操っててと。
本当のクズじゃないか!!
なのですが、本当に萌えるのがここから!!
三隅自身も自分の気持ちに戸惑うのですが、そんな風にどうでもよい存在だった東宮。
なのに、いつの間にか自分の心の中で大きな位置を占め、彼の笑顔が見たいし優しくしたい。そして彼のちょっとした表情や行動が愛しくて仕方ない・・・。
個人的に、酷い攻めがいつの間にか受けに本気でハマってしまうと言うパターンがめちゃくちゃツボなのです。
受けを軽く見てれば見てる程、本気になっちゃった時の気持ちの変化に萌える!!
いやもう、前半で酷い攻めに散々イラついた後、このご褒美ターンです。最高です。
あと、東宮が汚職事件の濡れ衣をきせられそうになりと、なかなかハラハラさせられる部分がございます。
ここでの三隅の、男前っぷりにも注目して下さい。
彼はマイナスからスタートしたせいか、世間一般の攻めと同じ事をしても株がうなぎ登り。
過去の手痛い経験から、キリキリと張り詰めている印象があった東宮。
そんな彼が紆余曲折を経て、柔らかく安定した印象になると言うラストもジンワリ来ました。
この二人、ありがちな言い回しになっちゃいますが、まさに割れ鍋に綴じ蓋。超甘々なラストにもニヤニヤしました。
ところで、私は乳首攻めが好きです。
この前のアンケート記事で好きなプレイ1位をとっていたので、堂々と言わせて貰いますが。
で、バーバラ先生のエロ描写は濃厚ですが、そんな中でも乳首攻め描写が特に濃いのです。
今回は乳首への亀頭攻めと、東宮が乳首への刺激でイっちゃう描写に萌えまくりました。
東宮がですね、普段はツンツンなのに、エロでトロトロになっちゃうと妙に素直と言うか無防備になっちゃうのが可愛すぎる・・・!!
これは三隅もハマるわ-。
と、もう大好きなパターンで萌えまくった作品でした。
攻めが苦手な方がおられるかもしれませんが、ろくでなし攻めでもどんと来い!と言う姐さんにおすすめです。
電子書籍で読了。挿絵、あとがき、著者&イラストレーター近況(ひとこと)あり。
子どもの頃に読んだグリム童話『かえるの王子』は私に、大変不可解な読後感をもたらしました。まず、王女が、相手が醜い蛙だからという理由で約束を守らないのが不快でしたし、蛙は蛙で王(王女の父)が自分の味方についたのを良いことに、要求をどんどんエスカレートさせていく恥知らずに見えましたし。
挙げ句の果てに、怒った王女は蛙を壁に叩きつけるという非道を行ったら、魔法が解けて王子に早変わり。
勧善懲悪に慣れていた幼い私の頭の中には「?」が渦巻いてしまった、という訳です。
実はバーバラさんの新作を読んで、この童話を思い出しちゃったんですよね。
「ああ、実は王女はツンデレで、蛙はダメ男を装うヒモ体質だったのね~」と、長年不思議に思っていた有名なグリム童話の解釈が出来てしまったという副産物をもらっちゃいました。
お話の内容はぴれーねさんが詳しく書いておられますので感想のみを。
三隅が『ヒモとは何か~オーダーメイドのサービス業だから、世間が思っているよりもずっと大変なんだぜ』という『ヒモ哲学』を語る部分がお話の途中にあるのですが、これがもう「全くその通りでございますね(お辞儀)」というほど理路整然としていて面白かったです。
つまり、三隅は恐怖で相手を支配する男ではないのですよ。情に訴えて,心を奪っちゃう。
でも「これって相手を気に入っていなければ出来ないよね?」と思った瞬間に私の心配は綺麗さっぱり消えて、ここ以降は落ち着いて読めたのですが、実は最後まで三隅視点がないままで「騙されるんじゃない?実は本当に悪いやつじゃない?」と思わせつつ読み進めるお話も、ちょっと読みたかったかもなーと思ったりもしました(それだとサスペンス色が強くなっちゃうんだけど)。
東宮に関しては共感しまくり。
ダメな男にまいっちゃう典型!
自分もその傾向があるってことを嫌というほど思い知らされました。
それと同時に「もう2度と騙されて傷つきたくないから、そもそも信じない(でも好き)」という、東宮の千々に乱れる感情が、三隅視点が入る前は雨の日の捨て猫の様に切なく、入った後は深夜の帰宅に走り寄ってくる飼い犬のように可愛らしい!
三隅が『誰もが認めるイケメン』ではなく『美男子とは言えないが人好きのする男』だったら『神』を付けていたと思います(あくまでも個人的好みの問題です。ほら、そもそもが『蛙の王子』だから)。
それ抜きでも、大変面白うございました。
表紙のたらし男に惹かれて購入。読み終わった直後は萌2だったのですが、今は萌。大変面白く読ませていただいたのですけど、「この攻めには会いたくないな」と思い直した為です。ポイントは「フリーダムな男」「受けに絡む女性」です。振り回されるけど、結局それでも幸せと思う受けがお好きな方にはオススメします。本編250P弱+先生のあとがき。
お話は、予算編成真っ只中の10月、課長の覚えもめでたい東宮(受けさん)が財務省内で陳情を受けているシーンから始まります。陳情を受けた後、最低限の仕事をして体力温存、帰宅しようとしたところ、5年間会っていなかった、因縁の相手が玄関前にいることに気付き・・とお話は続きます。
攻め受け以外の登場人物は、受けの直属上司である課長さん、その娘ぐらいかな。
******以下はより内容に触れる感想
たらし男がね。
いいんだけど、よくないんです、好きになりたいけど、絶対会いたくない、そういう方に感じました。
男性には(無理だと分かっていても)一途になっていただきたい願望がありまして。でも「一途になった」と言われても私、多分この方一生信じられないと思うのです。
なぜなら。
冒頭の心象が悪すぎる。「「お金貸して」なんて人さまに言うもんじゃありません」いう固定観念がありまして、しれっとそれをいうこちらのたらし男は、私の自己防衛本能が警告を最大音量で発します。スルーするしかない。惚れっぽいので惚れると骨までしゃぶられそうだし・・・。血を吐く思いをして、自分から捨てることになるんだろうな、地獄・・と勝手に妄想してしまいます。このたらし男強烈に魅力的だけど地獄。好きだけど嫌い。ということで真ん中の萌にしました。
あともう一つ、どうしても好きになれない箇所が。
地獄を見始めている受けが、なんとか脱出するべく、上司の娘といい関係になろうとあがく所が苦手。自分のことを見ているようで同族嫌悪です。なんとか振り切りたいとあがく気持ちもよーくわかるのですが・・・・後で吐く思いするよと同情。
よくこのタイトルつけたなあ。読みたかったような読みたくなかったような複雑な気分の本でした。ほんとどうしようもない感情って厄介。色々思い出して下降線になってしまう本でした。