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天才陰陽師×いわくつきの妖狐の式神の、胸きゅん和風ファンタジー!
一見、甘くて可愛く思えるのに、ひと皮めくってみればびっくりするほど痛い部分があったりするのが雨月作品です。
そんなワケで、今回もめちゃくちゃ痛いです。
泣けます。
ただ、その痛さに悶えるからこそ、たどり着く境地があるんですよ。
夜明けの腐女子の皆さん!! 心が震える感動を味わえますよ!
内容です。
ある日突然人間に捕まえられ、親兄弟を殺されていたぶられと、人間に虐げられてきた妖狐のハル。
逃げ出すも深手を負っていたところを、陰陽師の少年・時輔に助けられます。
それ以降、天才と言われる時輔に相応しい式神であるため、懸命な努力を重ねてきたハル。
時輔達とあたたかい日々を過ごしてきたものの、自身が抱えるある「秘密」から、彼の元を去る決心をしていてー・・・と言うものです。
まずこちら、懐の深い天才陰陽師・時輔×裏表の無い素直で頑張り屋な妖狐・ハルと言うカップリングです。
で、ストーリーがかなりしっかり練られておりまして。
ハルを幼い頃に過酷な目に遭わせた謎の人間。
時輔の父親の代からの因縁を持つ、敵対関係にある陰陽師の家系・宇治家。
突然現れ、過去に都の半分を壊滅状態にした化け物「黒九尾」の謎。
そして、ハルがひた隠しにする、自身の身体に起こる変異-。
これらが、主役二人の恋愛を軸に、次々と展開してゆきます。
先にも書いた通り、最初は一見、ほのぼの可愛い印象なのです。
傷を負い、人間不信になってたハル。
そんな自分を恐れず近付いてきた、変わり者の少年・時輔。
ハルが時輔の式神となってからは、自身の事に無頓着な彼の面倒を口うるさく世話してと言った具合に。
そこに、徐々に滲み出てくる不穏な気配。
何故、ハルは時輔から離れる決意をしているのか。
また、時輔が心に抱える闇-。
二人が二人とも、ひたすらキレイな気持ちで互いを思い続けているかと言うと、そうでは無いんですよね。
よく、愛の反対は無関心と言ったりしますが、その定義に当てはめるなら、二人が抱える憎しみも確かに愛の一部であると思うのです。
どれ程、自身の気持ちを美しい言葉で誤魔化そうとしても、奥底には醜い感情が蠢いている。
毎回、雨月先生の作品を読んで思うのは、そんな人間の心の奥底まで暴き出すような、容赦ない心理描写が強烈。
自身の「秘密」を知られ、時輔に嫌われるくらいなら、今のハルが居ないと駄目なままの彼の内で殺してしまいたい-。
そんなエゴ丸出しのハルの言動に嫌悪感を覚えるかと言うと、逆に強い共感を覚えます。愛って、自分勝手で痛いものなんですよ( ノω-、)
ところで、痛いばかりかと言うと、ちゃんと萌える部分も並行して書かれているのが巧みな所。
こちら両視点で書かれているため、二人の内心が丸分かりです。
時輔は超美形で、ハルは妖狐のせいか、ちょっと類を見ないほど美しいと言う設定。
時輔がハルと触れ合いつつ、スマした顔の裏で「ぶち込みたい・・・。」とあからさまに欲望を滾らせていたり、ハルの美貌の事を言われ、自分の欲目であれ程愛らしいのかと思っていたと、シレッと惚気たり。
ハルがですね~、ちょい天然な部分があり、とにかく無防備なんですよ。無邪気に時輔にスキンシップをはかり、それに煽られながらも欲望を必死に抑え込んでいる時輔と言う図に萌えまくります。
なんだかんだ言いつつ、この二人互いに大好き。
あと、時輔には兄が二人居ます。
この二人がとってもいいキャラ。
この三人での、のらりくらりとしたちょいとぼけた会話に笑えます。
軽口の応酬が親密感を出していて萌える~。
山場がなかなか切ないし手に汗握らせてくれますが、ここでの開き直った時輔はもう最強です。
いやもう、彼に究極の愛を見ましたよ・・・!!
と、とても素敵な作品でした。
痛いのが苦手な方は避けられた方が良いかもしれませんが、読み終えた後はきっと深い感動が得られると思います。
今回は亡き父と同じく希代と言われる陰陽師と
助けてくれた攻様の式神となった妖狐のお話です。
受様の秘密にしていた過去と
攻様の傷となった事件の真相が錯綜しつつ
2人が共にある未来を掴むまで。
子狐の受様はある日突然、
雅俗で暮らす山から攫われて自由を奪われ、
暗い穴の中に閉じ込められます。
受様をかばって亡くなった兄とした
絶対に生き延びるという約束のため
崩れかけの場所からどうにか逃げますが
凶暴な式神をけしかけられたり
火を放たれたりした受様はポロポロで
逃げ込んだ山でも子狐に
化け物呼ばわりされてしまいます。
そんな受様を助けたのは
式神を探す「初神の儀」で山に入った
陰陽師の少年でした。
この彼が今回の攻様ですね♪
攻様の家は陰陽道を生業としていて
攻様は自らの相棒となる妖を
探していたのです。
受様の父は偉大な陰陽師でしたが
都を襲った妖から
攻様を庇って亡くなっていました。
そんな攻様の過去が
兄を失った自分に重なった受様は
陰陽の力で正義の味方に
この国随一の陰陽師になるという
攻様に式神として仕える事になり
攻様に見合う式神となるべく
受様も研鑽を重ねます。
攻様は若手の有望株となり
受様は人型に変化できるまでに
成長します。
しかし、
妖狐の受様がそれだけの成長を
遂げられたは努力だけではない
ある理由があったのです。
そしてそれ故に受様は
密かに攻様の元から離れる計画を
立てていたのです。
そんな中、
攻様の父の死後に陰陽師として
勢力を伸ばしていた宇治家の当主に
攻様は邪魔な存在として
受様はその力を利用しようと
目を付けらるのです。
宇治家の当主の目的とは何か!?
そして受様は本当に
攻様から離れてしまうのか!?
希代の陰陽師だった父の死の傷を負いつつ
己の正義を貫き通す攻様と
否応なくその身を変えられながらも
兄との約束を糧に攻様の式神となる受様が
辛い過去の真実と今に続く陰謀を砕き
幸せな未来を掴み取るまで
ハラハラ&ドキドキなストーリー展開で
とても楽しく読ませて頂きました。
受様の登場シーンや隠そうとした過去、
宇治家親子と攻様親子との関り等
しっかりと練られたお話でしたし
受様が妖狐になった過去に絡む部分は
痛い場面もありますし
懲悪モノのお話で全てを
丸く収める事は難しいと思うのですが
攻様の性格を上手く活かすことで
諸悪の根源となっていた黒九尾にまで
幸せな終着点を付けた最後が
すごく良かったです。
また、
今回レビューのために再読しましたら
冒頭の受様の過去回想の時点から
しっかり後に繋がる鍵に気付いて
おぉ!!って思ったので
今回は「神」評価と致します♪
タイトルや表紙カバーのイメージは
もっとほのぼの系のお話かと思ったのですが
いい意味で期待を裏切られた
素敵なお話でした (^o^)/
今回は受様がモフモフ系な1作で
月東湊さん『純情ウサギが恋したら』を
押してみます。
もふもふなお話は攻様がもふ率高いな。
電子で読みました。挿絵、あとがきともあります。
ここの所ずっと妖ものが続いているような気がする雨月さん。
今回も、家族を黒九尾(蠱毒の術によって作られた九尾の狐)に殺された妖弧と陰陽師のお話で、互いに想い合い支えになりたいと願いながらも、相手のことを想うあまり側に近づけないという、お得意のお話でした。
ぴれーねさん(勝手にお名前出してすみません)が丁寧に内容をご紹介されていますので、私は感想のみを。
「雨月さんお得意のあのパターンね」と思いつつ、それでも読む度に面白いと思ってしまうのは、攻めさんと受けさんが感じている孤独の深さに共感出来るからなのでしょう。二人はそれ故に惹かれ合うのですけれど、互いの傷を舐めあうような関係には陥りません。そこから前に進むために、相手が必要だという結論に達する所が、真っ直ぐな感動を引き起こすのだと思います。
そして何より受けさんのハルが、いじらし可愛い。
弟分の式神達は無邪気可愛い。
いじらしい受けとその周りにいる可愛らしい子ども(主にモフモフ)を書かせたら、雨月さんはBL書きのトップグループに位置していると思うんです。『モフモフ萌え』や『子ども萌え』が全く無い私ですら「かっわいいなーぁ」と思っちゃうんだから、お好きな方なら涙を流して萌え滾るのではないかと思うの。
上記以外で、感心した所をひとつ。
時輔は父、ハルは兄が、幼い彼らを助けるために、彼らの目の前で命を落としています。
このことに二人は激しい罪悪感を抱いているんですね。これが、二人が心情的により近づく理由にもなっているんですけれど。
ただ、時輔には罪悪感と同時に、命を落とすことによって自分をずっと縛り付けようとする父に対する憎しみの気持ちも生まれてしまうんです。
このアンビバレントな感情の描写が「わかるーぅ!」と叫びたくなるほど上手いんですよ。で、この辛さがクッキリしているからこそ、ハルに対する彼の想いの強さが浮き立つようになっている。
そして、最終的に彼が、その呪縛から解き放たれた所のスッキリ感&良かったねぇ感は実に爽快でした。(すんません。私、攻めに感情移入しちゃうタイプなんです)
今作も面白かったんで不満というのではないのですが、雨月さんのデビュー単行本が大好きな私としては「そろそろ現代物も書いて欲しいなぁ」と思ったりもしています。蛇足ですが。
せ…切ない。切なすぎる。
タイトルと表紙だけ見るとめっちゃ甘々なのに
内容は結構なシリアスもの。
ある程度予想出来るわー…と途中思いながら読み進めていても
『ええっ!そっち!?』と、予想外の展開だったりで
本当に内容に翻弄されながらも一気読みしたほどの面白さ。
これは絶対にあらすじまでの前知識(可能ならあらすじなし)のみで
読むのをオススメします!!
山に棲む小狐達が遊ぶ様を、
受けさんのハルが覗き見てるとこから始まる今作。
そのハルは体も心もボロボロの状態。
家族もおらず、身体中怪我をして汚れており、周囲からはお化け扱い。
そこを助けたのが、規格外の天才陰陽師(になる予定)の攻めさんのちび時輔。
時輔の変わった性格が手負いの野生の獣と仲良くなるきっかけとなり、
2人は陰陽師と式神という相棒の関係となり、成長していくお話。
と、ほのぼのサクセスストーリーは最初だけ。
成長はしていくけども、コンビとして強くなった行くけども
実はここに”うそつき狐”が関係していたなんて…。
とにかく読み終えて分かった事は、色々なところに伏線があり
その伏線に気付かないまま結末に至ってしまうほど先が読めない面白さ。
それまでは、ハルの可愛いポイントでもあった
”ばりゅるるるるぅ”という腹の虫の音が関わっていたというまさかの展開。
2人の家族の死の関係。
もう本当にどこをとっても面白かったです。
ちゃんと癒されるシーンもあります。
ハルはもちろん、その後新たな式神仲間となる狗三兄弟が可愛くて。
時輔の兄もなかなかの面白おかしキャラで。
こういった1つ1つの要素が全部今作のストーリー的に大事なもので。
最後まで綺麗に1冊に収まっており、『○○を読みたいから続編を!』とかの希望も
不必要なくらい今作のみで満足できる、しっかりした内容です。
六芦かえで先生の挿絵目当てで購入。雨月先生のお話だなあという印象です。哀しく怖い部分があるのと攻め受けが好みから少しずれているように感じたので萌にしました。「本編のみ230Pほど+先生のあとがき」のせつないお話です。
お話は、人里離れた山奥で3匹の子ぎつねたちが狐火の練習をしているシーンから始まります。陰から見守る別の子ぎつねは、全身煤まみれで火傷もあったため、3匹は目にした瞬間、「お化けぇ」と逃げていきます。疲れ果てていた子ぎつねは腹ペコ。ばりゅるるるる(すごい擬音w)となる腹を抱え、握り飯が食べたいなあ・・・と思っていると、にゅっとその握り飯が出てきて・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
時定:次兄(歌が得意で陰陽道は苦手)
時好:長兄
時道:時好、時定、時輔の父(故人)と
喜一郎、青べえ、桃太(山狗三兄弟の妖)等。
悪党も出てきます。
*****以下は 怖かった部分
雨月先生、人間の闇の部分を盛り込むことや、妖の記述に長けておられる気がします。今回の闇は「妬み」でしょうか。とてもドロドロしい、コールタールのような闇に感じられて怖い。それに運命を振り回された時輔、妖たちを思うと、どうしてもツライ。皆で頑張ってなんとか未来の見える形となりましたし、二人の幸せそうな可愛い姿を最後に読ませていただいたのですが、そこに至るまでの少々忍耐の時間が長かったので、萌が少な目になってしまいました。雨月先生の作風なんだろうなあと思うので、読むにあたっては覚悟しなきゃな。
和風ハラハラせつないファンタジーが大丈夫な方には間違いない作品だろうと思いました。