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表題作こいものがたり 2

あらすじ

同じクラスの吉永大和がゲイだという秘密を
偶然聞いてしまった長谷川唯司。
大和の報われない恋に気づいた唯司は、親しくなるにつれ、
複雑で不器用で一生懸命な大和の幸せを願うように。
いろいろな想いや悩みを抱きながら、夏を過ごす大和と唯司。
そして新学期――――「吉永ってホモなの?」
クラスメイト土井の発言から、
大和の周りは騒然となり······。

作品情報

作品名
こいものがたり 2
著者
田倉トヲル 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス ルチルコレクション
シリーズ
こいものがたり
発売日
ISBN
9784344842830
4.5

(98)

(74)

萌々

(13)

(6)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
10
得点
443
評価数
98
平均
4.5 / 5
神率
75.5%

レビュー投稿数10

待ちに待った二巻。

待ちに待った二巻です。
電子書籍で295Pというかなりのボリューム。
そして青春群像劇とでも言うべきキャラの多さで、かつそれぞれの心情が丁寧に綴られているので、非常に読み応えがありました。

同性愛者がこの世にいるというのは漠然とは知ってはいるけど、まさかの身近にいる事を知りそのスタンスがそれぞれ明確に浮き彫りになる様子が、当事者の大和の葛藤を絡めつつ綴られています。

一巻では、大和がゲイだと知って、偏見はないと思ってたけど、実際に知ると正直関わりたくないと思ってしまった唯司の姿が最初に描かれていました。
やがて大和と唯司は少しずつ仲良くなっていって、親友にすら打ち明ける事ができずに悩んだり、成就なんかしないと判りつつも恋を終わらせることもできない大和の苦しさを知った唯司。
恋の協力はしないけれどその悩みに寄り添い、大和の幸せを祈るようになる姿が描かれていました。

さて、待ちに待った二巻の後半では、ついに大和が恐れていたような事態が起きてしまいます。

大和にとって初めてできたゲイ友である佐倉が軽い気持ちで彼の頰にキスをした様子を、クラスメイトの土井に目撃され写真を撮られてしまった事から、大和が苦しい局面に立たされるんです。
特別ホモファビアでも明確な悪意を持ってるわけではないけれど、イケメンで女子にも人気が高い大和の事を何となく面白くないから、ホモ疑惑を流して孤立させてやろうというクズな土井。

ずっとゲイである事をひたすらに隠してきた大和が、突然、不用意な形で学校中の生徒の好奇心に晒され、噂のネタとなってしまう…。
下世話な好奇心や戸惑い、本人にとっては励ましているつもりでも実際は大和の心を抉るような言動、そして目的を持たない悪意に晒され続ける大和。
そこが本当に腹が立つし、読んでて苦しくなります。

追い詰められた大和が、「ふいにすれ違った女の子に一目ぼれできたなら、それだけで ぜんぶぜんぶ解放されるのになぁ‥‥‥」と思うシーン。
本当にかわいそうだった。
それが出来ないのを充分わかっていて、それでもつい思ってしまう大和………。

それにしても、佐倉の無神経なクズ従兄弟(去勢を願う!)といい、土井といい……
このクズ二人がこのうえなく不幸せになりますように!!
一生誰からも愛されずにめっちゃくちゃ寂しい人生を送りますようにっ!!!と願ってしまったけど、こういう輩は現実にもたくさんたくさん潜んでいるんだろうなぁ…って悲しくなる。
同性愛者が身近にいないと思ってるから、露わになっていないだけで……。

もがいて苦しんで、逃げたいと思ったけれど、結局逃げずに向き合わなくてはいけないのは、土井などではなく、自分自身だという事に大和は気付きます。

自分のことを嫌いだと言う大和に対して「ゲイのお前しか知らないけど、それでもふつうに好きになったし、いつかお前も自分を好きになれるといいね。」という唯司の言葉が大和の心に響くシーン。
ここがとっても好き。
それによって、自分は決してぼっちではなく、確かな良心を持った人たちが自分の周りにはいて、支えてくれているんだという新たな気づきを得て、少しずつ少しずつ自分を取り戻すと同時に少し吹っ切れて成長した感のある大和。

そして二巻の最後の最後には、ようやくホモ騒動が収束した大和の前に、ゲイだという後輩が現われて告白されて、三巻に続く〜〜となってます。

BがLしてウフフの話ではないけど、大和は友達に恋をしている子なのでBL要素もあるっちゃある。
大和が、好きな相手に冗談の形を借りて「好きだよ」と言うシーン。
「本郷に言える最初で最後の好きはここまでなんだと思う」ってところが、めっっちゃ切なかった……。

そしてあとがきによると、三巻は唯司のターンでタイトル通りの「こいものがたり」が綴られるようなので、完結を心待ちにしています!
だからといって性急にくっつかず、丁寧に丁寧に編み込まれてきたこのお話が、美しく一つの形を成すような三巻でありますように。

18

センシティブで心揺さぶられる物語。

2018年発行のコミックで私的トップ5に入る物語。
一人でも多くの人に手にとってもらいたい素晴らしい一冊です。


なんと1巻発売から3年の時を経ての待望の2巻!
3巻で完結予定とのことですが、いちファンとしては時間がかかっても構わないのでどうか無事最終巻を読めますように!と願うのみ。
そんな2巻はかなりの大ボリューム。
とても丁寧にストーリーが進んでいくので読み手の私もじっくりと作品に向き合って読み進め、通常より読了に時間が掛かりました。
非常に濃い読書時間を過ごすことができて幸せです。


2巻もBLというよりはアイデンティティーを確立する紆余曲折の物語が展開されています。
一応恋心も描かれていますが、それはとてもささやかで欲の伴っていない淡い気持ち。
そもそもその恋心も主人公二人(大和と唯司)の間の出来事ですらなく。
今後おそらく「こいものがたり」が始まるであろう二人のうち大和になんとなく恋の予兆・気づきが生まれたかな?くらいの進展ぶりで3巻へ続きます。
2巻時点でなんの欲も恋心への気づきもないので当然、性的接触など皆無。
あるのはいっそ尊いほどの友情のみ。友情のハグと友情の頬にキス。
個人的には、カップル不成立でこのまま友情物として完結でもよいかも、と思わされるくらい素敵な作品です。

高校2年生。
吉永大和(ゲイであることを自覚)と長谷川唯司(彼女もち)をメインに、クラスメイトの関、本郷(大和がほのかな恋心を抱く相手)、奈津実(大和の理解者)、他校生の佐倉(ゲイ)や秋山といった登場人物たちがバカ話をしたり、遊んだり、時に互いを思いやったり助けたりという高校生の持つキラキラさ、または時に閉塞感のある“ふつう”な日常を過ごしています。

マイノリティであることの恐れや生き難さ。
それはきっと10代という年齢と、ある意味残酷で同調圧力が強い学校においてはより顕著に感じられるのだろうな、と想像しては読んでいて息苦しい思いに駆られます。
学校という巨大な箱のなかにある教室という小さな箱に同年代がひしめいたら軋轢があり、いつ何が起こっても不思議ではない。それは、マジョリティであっても同じだけれど・・・。
そして今回、土井というクラスメイトが大和がゲイであることをクラスで大々的に悪意をもってバラすという出来事があり、この辺りは読んでいて本当に辛くなります。
何より嫌な気持ちになるのは、土井レベルの人間は現実世界にも存在しているということで・・・。
無責任な悪意ほど質の悪いものはない。
けれど、大きな救いは大和の周りには友人(理解者)がいて、土井と対峙する力を与えてくれること。
この物語を読んでいると「ファンタジーとしてのBL」を楽しむ側面とは別に、現実世界でも起こっているであろうことに思いを巡らせずにはいられません。

まっすぐで一生懸命で、不器用。
少しずつ成長していく姿は逞しく、この先どうか優しい「こいものがたり」が紡がれることを切に祈るのみです。

3巻が発売される日を楽しみに待ち続けます!

4

良いとかの次元じゃない。




私の中で1番好きと言って良いレベルで好きな作品。
本当にもっと色んな方に読んでいただきたい。色々考えさせられる作品。

BLなんだけどBLじゃないんですよ。
ただ主人公の2人が周りの色んな人の影響を受けながら、友情や愛情を積み重ねていく作品です。
唯司の「なんかいいなが積み重なって人はいつのまにか恋に落ちてる」って言葉をそのまま描いているような作品。

ゲイな自分が嫌いで、自分の事を好きになろうとしてなかった大和が、唯司の色んな言葉に背中を押されて、救われて、自分を好きになろうとしていってるのを見ると、たまらなく愛おしくなってきます。
これまた唯司が大和を救い上げるのが上手くて。前世でも大和救った?ってレベルです。

本当に大和周りは良い子ばかりで、でも世の中良い子ばかりじゃないから、ただの気まぐれや暇つぶしで人を傷付ける人も出てきたり。土井とかね。
でも唯司が殴ってくれてスッキリしたんだけど。あのシーン本当に好き…「完全に俺の気が済まないだけだ」とか言ってたけど、友達の為にそこまでできる唯司が凄いなって。

大和が強くなったのは全部唯司のおかげだよ。関やなっちゃんとかの存在もあるだろうけど、1番大きいのは唯司の存在だよ。

1巻、2巻は大和が成長するのがメインのお話でしたが、これからは唯司の番みたいなので、唯司がどう成長していくのか…
「こいものがたり」になるらしいですし…

本誌追わせてもらってますが、どんな形であれ、大和と唯司がそれぞれ出す答えをちゃんと見届けたいなと思います。

4

丁寧な作品でした

あー、あのクソ眼鏡め!
私がもっとぶん殴りたかったよ!で、イジメて学校来られなくしてやる!
そんな、私のような悪人が主人公やその友達に居ないのが、この作品です。
物語はじっくりじっくりと進んで行きます。
じれったいくらいに。読み手が置いてかれるってことが無いくらいに丁寧です。だから、大和と唯司のお互いの中に恋心は今のところ全然無いし、これって誰かとカップルになるかとか全然分からないです。今のところね。でもまぁ、大和と唯司なんだろうけど。期待も込めて。終わりでサッカー部の後輩が大和に告白してたけど、あんな後出しジャンケンみたいなやり方で大和が後輩の方を向くとは思えない。真逆な性格が好みなのに。あれでいて良いところがあるのかな?

1

目が離せない!

いや~田倉トヲル先生の描く高校生から目が離せなくなってしまいました。

前の話から引き続き、吉永と長谷川が軸にお話が進みます。

かなり、展開がシビアになりました!
うう…佐倉との関係から吉永がゲイだと噂されてしまったり。ギスギスした描写に気持ちが、ぎゅっと縮こまる…

ここへ来て、吉永の気持ちの強さがすごく良かった!ゲイだけど、高校生の狭い世界では生きづらい。偽らなきゃならないけど、苦しい。
とにかく、とにかく吉永にとって苦しい展開が有りまして。

でも、ちゃんと頑張る子には味方がいるんです。長谷川繋がりの友達も、長谷川も吉永の不当な扱いには断固として立ち向かうんです。
吉永の親友の関くんも、良い子!
友情って良いよ。

こういう場面で、ほんと救われる。
みんな成長している。長谷川と吉永も凛としていて良い。
吉永が、自分を理解してくれる人以外には突き通そうとした「嘘」。間違っていない。
いいんだよ!
その代わり、彼は信じられる人には誠実でいますから。
読んでいて、気持ちが熱くなってしまいました。

しかし…まだまだ続くのね!
吉永を取り巻く人間関係に新たな人物が登場したラスト!
うう…気になる。早くいろいろ知りたい。

ともあれ、吉永も長谷川もちゃんと本人たちが納得する幸せにたどり着くと良いと思いました。

1

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