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森に住む美しき異邦人×無垢で淫らな赤ずきん。官能童話第3弾!
官能童話シリーズ第4弾、「赤ずきん王子」になります。
現代版にアレンジされた優しい童話と違い、怖くて残酷な本当の童話の世界。
今回、「赤ずきん」でその残酷さと恐ろしさをまざまざと見せつけていただけました。
背筋に震えが走る程恐ろしいのに、ページをめくる手を止める事が出来ない!!
背徳的でありながら純粋、無垢なのに淫ら、そして誰より罪深いのに穢れを知らない-。
そんな「赤ずきん」をぜひお楽しみ下さい。
内容ですが、官能童話と銘打ってあるシリーズで、今回は「赤ずきん」がモチーフとなります。
シリーズと言いつつ完全に独立したお話なので、今作だけで問題無く読めます。
ヴァルセント王国の王太子・リルは、森に住む元料理長を訪ねる途中で暴漢に陵辱されそうになります。
そこを救ってくれたのは、銀髪の美しい青年で猟師のクラウス。
彼から与えられる官能を忘れられず、リルは森を訪ねては逢瀬を重ねるように・・・。
しかし、赤い月の夜、狼王に捧げる贄としてリルが選ばれてしまいー・・・と言ったものです。
作者さんもあとがきで書かれてますが、原作の赤ずきんちゃんは迂闊で自制の利かない少女です。
そんなワケで、主役である赤ずきん王子・リルですが、迂闊でフワフワした頼りない印象。最初は。
が、このリル。世間知らずなだけで、決して愚鈍では無いんですね。
自分の無知さを恥じ、知らされて無かった現実を知って反省し、また行動を起こす。とても好印象です。
そんな無垢で「いい子」だったリルに、初めて官能と言う罪の味を覚えさせたクラウス。
彼はとても不思議な男でして、傲慢かと思うと面倒見が良い。峻烈かと思うと優しい・・・。
迂闊で無知なリルに対して、言葉は厳しくとも王として成長するように助けを出します。う~ん・・・。とてもいい男です。
で、萌えるのが二人の逢瀬。
同性と交わる事は許されず、神に背く行為です。
期待される「いい子」でありたいのに、どうしようもなくクラウスに触れられたいと欲する身体。
そんなリルの葛藤が丁寧に綴られ、かなり萌えるんですね。
いやもう、クラウスを思うだけで身体を熱くし、同時に自分の罪深さにおののくと言ったリル。
読んでいるこちらも、この背徳感が堪らないんですよ!!
また、最初は罪深さに震えていたリルが、例え神に見捨てられても・・・と心情を変化させていくのに胸が熱くなる。
そう、愛とは罪深いものなのです!!
そんな中、狼王の贄に選ばれるリル。
ここがあっと驚く意外な展開。
こうゆう根底から全てが覆るような、思いもよらない仕掛けがお得意な作家さんだと思うのです。今回もしてやられました。
リルの母親代わりで、優しく聡明な女王の祖母。
彼女がかなり重要な役回りとなる事だけ。
で、この山場ですが、グロあり流血あり暴力ありと、かなり刺激的。
「悪い魔女は・・・」と背筋が凍るストーリー運びです。
苦手な方はお気を付け下さい。
ところでこちら、大人のルビー文庫フェアで官能童話シリーズ。
エロエロです。
背徳感ただよう仄暗いエロスて感じでしょうか。
バターを使った絡みシーンに悶絶し、雪の上で赤ずきん(マント)とブーツだけ身に纏ったリルとの野外エッチにこれまた悶絶。
これは白と赤のコントラストが素晴らしかろうと言う事で、カラーで見たかったよ!!(白黒イラストはあります)
あと、カラーと言えば、口絵カラーが凄い事になってます。
店頭でカバーはかけて貰わない方がよろしいかと!!
ラストの二人の、やけにほのぼの甘々さにあたたかい気持ちになりました。
こうゆうラストは、とても素敵ですね。
作中にちりばめられた「赤ずきん」ネタも良い味を出してました。
*追記です。
カラーで野外エッチを見たかったと書きましたが、口絵カラーがこの野外エッチでした。
失礼しました。
赤と白と褐色のコントラストと、すんごい所からのアングルが素晴らしいです。
凶兆の赤い瞳の王子様は、女王であるおばあ様に愛されて、季節ごと、誕生日ごとに、瞳の色と同じ赤い王族の色のマントをプレゼントされてきました。
そして、16歳の誕生日にもらったのは、今までにない長い裾に、たくさんのルビーや金糸の刺しゅうを施した、フード付きの豪華なマントでした。
赤ずきんちゃんは、ちゃんと王族の自覚と誇りを持った王子様なので、恋をしたら、それがたとえ神に背くような恋だとしても、実に前向きに努力します。
でも、快楽にはめちゃくちゃ弱い。
この「快楽に弱い」と「王族としての自覚と成長」がうまく両立している所が凄い。
これも、ちゃんと理由があってのことなのですが、、、。
それにしても、カバーイラストがエロい。
更に表紙をめくると、カラー口絵がもっとすごい!
この『官能童話BLシリーズ』、
毎回犬飼さんの発想とアレンジに驚かされます。
大胆にアレンジされつつ、しかし元の童話からは決して外れない。
今回の「赤ずきん王子」も、元の童話とは全く違うお話なのに、
ちゃんと「赤ずきんちゃん」なんですよね。
更に官能もてんこ盛り!
敢えて『エロ』とは言わず、『官能』と言いたくなる絡みのシーンv
頼りなく色々と分別のつかないリル王子。
謎だらけでも逞しくカッコいいクラウス。
前半、読んでいてなかなか物語が先に進まず、
同じループが続いているように読めてもどかしくなるのですが、
後半はその謎も解け始め、一気に物語が進んで面白くなります!
『恐竜シリーズ』を彷彿とさせる大格闘シーンは迫力があります!
この辺も流石犬飼さんです!
ちょっと間違えば、嫌な子になってしまいそうなリル王子ですが、
私の中では不思議と最後まで健気で可愛く君臨していましたv
評価はちょっと迷ったのですが、
やはり犬飼さんの『創造力』に感服して『神』で!
森に住む美しき異邦人×無垢で淫らな赤ずきん。
官能童話第3弾
ヴァルセント王国の王太子・リルは、母親代わりの祖母の女王から贈られた赤いマントを大切にしていた。
そのお礼にお菓子を作るため、森に住む先代の料理長を訪ねる途中、山の樵3兄弟に拉致され凌辱を受ける。
顔を見られて殺される寸前を、クラウスに助けられた。クラウスは獣人。
物語は、赤ずきんを土台にした、王道もの。
筋書きが王道で単調な文、頑張ったのか挿絵が超淫靡。
笠井先生の描画は、赤く塗りつぶしてもうっすら見える、この技法は浮世絵の春画の技法を意識しているように思う。
遊び心が入っていて、もの凄くエロい。
このシリーズは相変わらず面白いですねぇ。
ストーリーだけではなく、童話が持っている残酷さや理不尽さを消さないまま、犬飼さんの新たな解釈を入れていくという点では『パスティーシュの名作』と言っても差し支えないのでは。
タッグを組むのが笠井画伯というのもバッチリ合っています。
今までの官能童話シリーズの中では今作が一番好きです。
私、そもそも『赤ずきん』という童話を「女の子は男に喰われないために細心の注意を払って生きていかなければなりません」という教訓話として読むのが嫌なんです。
「お花畑で寄り道しても良いじゃないの。綺麗なものを愛でることの何が悪い」と思いますし「そもそも、おばあさんの家でおばあさんのベッドに寝ている人(この場合、狼なんですけれど)をおばあさんだと思うのは当たり前じゃん」と思うのです。それをですね、まるで赤ずきんが馬鹿な子の様に伝えるのはおかしいと、それこそ子どものころからずーっと不満に思って来たのです。
このお話の赤ずきんことリルは、そんな不満を軽々と飛び越しちゃうんです。
彼は自分からクラウスに恋をして、精神的にもフィジカルな面でも彼に求められたいと願います。何もできないままただ喰われちゃうんじゃないんです。
このお話、10日間の出来事なんですけれど、たった10日間でリルの成長の著しいことと言ったら!
無垢で素直で『いい子』だった、でも裏返せば『それだけ』だったリルが、恋した相手に認められたいと願い、国のしきたりに進言し、大好きなおばあ様(女王陛下なんですけれど)に秘密を作り、神の言いつけを破ることに恐怖を感じながらも自分の気持ちを貫く勇気を持つなんて、これはとんでもない成長物語です。
それも、全ては恋のなせる業。
うわー、なんてロマンティックなの❣
現代の赤ずきんはこうでなくっちゃっ!(鼻息が荒くなってごめん)
またね、クラウスが見た目だけじゃなく、いい男なんですわ。
リルが一人でやらなければならない部分はちゃんと突き放すし、でも窮地に落ちた時には助けに来るし、何と言っても、一緒に堕ちてくれるんですよ(この辺は本編を読んでくださいね)。
その愛情の深さに、もう……もう……(再び、鼻息が荒くなってごめん)
「大人になるってこういうことだ」と思います。
今作が全般的にエロエロなのも、大人になるお話だから。
その整合性に頭が刺激されるのと同時に、ロマンスを求める乙女な心も満足させてくれる素敵なお話でした。
欲を言えば、変身後のリルのお姿を笠井画伯のイラストで見たかったなぁ(はい、ごめんなさい。欲張りすぎと解っています)。