電子限定かきおろし漫画付
――なんて美しい生き物なんだ
表題作は森の竜と番になるファンタジー。
このお話、とにかく、森の奥で一人で暮らしている竜のタリムが何ともかわいらしい。
タリムはまだ若くて、うまく人間体を保てないために、一人で森に隠れ住んでいるけど、外の世界に興味が一杯。
タリムが初めて出会った人間が、達朗のような青年だったからよかったものの、、、。
後半は現代物。
タイトルは2編だけど、兄弟の、弟カップルと兄カップル、それぞれのお話で続いている。
寿命が違う生き物が愛し合う話は、すごく、性癖レベルで好きだし、弱いので、全編竜のお話だったらもっと嬉しかったな。
人間と美しい竜とのお話です。
竜がね、綺麗なのにちょっぴりドジなのがかわいいんだ♪
ほろ苦い設定も出てくるけれど、そこは核心にふれずに、ホワーンと癒す感じのファンタジーに仕上がっています。
表題作のほか、ちょっと風変わりな兄弟それぞれの恋の話が収録されています。
●「タリム~誰も知らない竜のはなし~」
祖父から竜の話を聞かされていた達朗は、いつか竜に会いたいと思っていた。
そして森でケガしたのを助けてくれた美しい青年・タリムと話していると、タリムの尻尾が現れて…
竜は人型になれるから、正体を隠して、人間社会で暮らしていることが多いけれど、タリムは羽根や尻尾をうまく隠せないから森から出られない。
そこで達朗は森を訪れて、人間の世界に興味があるタリムにいろいろ教えてあげます。
タリムは達朗がやってくるのを楽しみにしているくせに、「待ってない」と言っちゃう意地っ張りなところがあります。
でも嬉しい時に出てくる竜の尻尾がちゃーんとあって、フリフリしてるから浮かれてるのがミエミエでかわいいんです♪
そして達朗はタリムと過ごす時間が楽しくて、タリムに惹かれていることに気付く。
するとタリムも「恋をすると発情期がくるんだ」と…
タリムは嬉しい時は尻尾が出ちゃって、悲しい時は羽根があらわれ、発情すると角が生えてくるらしい。
あとね、○○な時はウロコも現れてきて、MAXな時は髪も赤くなります♥
完全獣型は苦手だけど、美しい人型に動物の一部がプラスされた姿が好きです♪
そんな時、タリムの兄・ランが訪ねてきます。
竜はオスでも子供を産めるから、ランは子供達に囲まれた写真を達朗に見せると、その子達はみんな全然似ていない。
それはランの相手はみんな人間で、竜と人間は寿命が違うから、ランを残して先に逝ってしまうと…
達朗とタリムにも、その未来はいつかやってきてしまう。
それは物語のベースに哀愁を漂わせているけれど、別れの核心部分は描かれていないし、それでも二人は一緒にいるって決めてるから、ホワーンとしたやさしさを感じるお話です。
表紙の絵に惹かれて購入しましたが、中の絵も綺麗で、ファンタジーな世界観に合っていました。
竜の一部が現れちゃうタリムが綺麗でかわいいです^^
描き下ろし「増えました!!!」で二人の愛の結晶が出てきます。
タリムを小っちゃくしたお子様はめっちゃかわいい!
ドジなところが似ちゃってるのも愛くるしい♪
●「離れてください、ヒナ先輩」
大学生の鷹見は、美術部の先輩・ヒナの面倒を見ている。
ヒナは生活力がないっつうか、ご飯も口まで運んでもらう雛鳥みたいな男です。
ヒナは「一緒にいるのは鷹見がいい」って言ってたくせに、別の男と親しげにしているのを、鷹見は目撃してしまって…
雛鳥verのヒナはかわいいから、ヒナが受けかと思ったら、人間verのヒナは鷹見より体格がいい男前で、ヒナが攻めでした!
これもほのぼのしたお話です。
●「俺の上司はダメかわいい」
ヒナと親しげにしていたのは兄のヒサシでした。今度は兄・ヒサシの話。
新人デザイナー・弓削は、事務所の人気デザイナー・ヒサシに憧れている。
でもヒサシの部屋は汚いし、裸族だし、いきなり襲い受けしてくるし…
コワオモテの弓削が自由人のヒサシに翻弄されちゃってるのが楽しいお話です。
ちょっとシリアスな部分も出てきますが、それも二人が恋人らしくなるスパイスです。
3編とも二人の関係はわりと簡単に始まります。
そこがちょっぴり物足りなく感じる部分もあるけど、シリアスさがないから、ホワーンとした癒しを楽しめます。
人間×竜。竜は人間の姿になることができますが、タリムは変化が不得意でしっぽが出てしまいがちなため、家族に都会に住むことを反対され、森で暮らしています。
このタリム、見た目はすごく仕事ができそうなクールなイケメンという感じなのですが、実際は人間との触れ合いがなかったため純情で、しかもドジっ子。このギャップは好きでした。
達朗はタリムに出会ってから森に通い始め、わりとあっさり両思いに。Hもすぐ済ませます。ちょっとここまでの描写があっさりしすぎていて、どうして好きになったのか、もっとわかりやすいきっかけが描かれていたら、もっと感情移入できたんじゃないかなと思ってしまいました。そりゃタリムはかわいいし、自分に会いに来ていろいろ教えてくれる達朗をタリムが特別に思うのも、理屈ではわかるのですが…。なお、くっつくまでが1話、くっついてからが2話あるので、出来上がったカップルのお話がお好きな方には、良いかもしれません。
2000年ほど生きられるという竜の長すぎる寿命を思うと、いつか一方的な別れが来ることは自明なので切なくもありますが、少なくとも達朗の最期まで、二人はずっと寄り添って生きていきそうです。
ちなみにタリムは、恥ずかしいと体の表面に鱗が出てくるので、鱗が苦手な方は要注意です。また、竜は雄でも子を産めるということで、描き下ろしでは卵を産むので(産卵シーンはありません)、そういうのが苦手な方はご注意ください。
同時収録作は、1つ目がデザイン系の大学の先輩×後輩、2つ目がデザイン事務所のデザイナー同士のお話。1つ目の攻と2つ目の受が兄弟で、描き下ろしではダブルデートしてます。2つ目の攻が、コワモテで面倒見が良くて、個人的に好きなタイプでした。
人間×竜の可愛らしくて微笑ましいお話でした。
小さい時祖父から竜の話を聞いて会ってみたいと思っていた達朗が森で竜のタリムと出会うところからふたりの話は始まります。
タリムは羽やしっぽを上手く隠せないため森から出られないので達朗がタリムの家に通い、人間の世界のことをいろいろと教えていくうち
ふたりは自然と恋に落ちて、想いを確かめ合って…
するりとカップルになってしまいますが物足りなさはなく、ただただ微笑ましかったです。
森を出られない理由がこれまた可愛くて最高でした。
タリムのツンデレっぽさとドジなところかツボで恥ずかしがるところは可愛すぎました。
達朗のタリムに対する愛もすごく伝わってきて、ほのぼのした気持ちになれる作品でした。
いやー、表紙にだまされましたよ。
イケメン竜に愛される黒神短髪受けかと思ったのですが、全然ちがった~
山奥にひとりで住む竜。狩人の達朗が巨大な足跡の調査をしていると、山奥に不思議な小屋が。。という昔話ではなく、けがの手当をしてくれた純朴な青年が、実は竜なのでした。
まだうまく人に化けきれない竜は、バレてはいけないからと人が来ないような山奥で独り暮らしをしているのでした。
でも、人間に興味があるとても純粋な(乙女な)竜、タリムなのでした。
2人が仲良くなるのに時間はかからず。
でも、タリムをとりまく竜の家族や、寿命の問題など楽しく読めました。
他に短編が2つ。
何にも出来ないひな鳥のような先輩と、世話焼きの鷹見のカップルと、その兄の話。オムニバスですね。
兄のほうがよかったかな。出来るデザイナーと、強面だけどそんな彼にめちゃめちゃ憧れている後輩。意外とちゃらんぽらんなデザイナーと、実は乙女っぽい後輩のカップルがなかなかよかったです。