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剛しいら先生の吸血鬼シリーズ第1作目。
もう随分と前の作品になるのですね。懐かしいです。
月の秘密→夜の秘密→星の秘密と続きます。それぞれ登場人物が異なる独立したお話ですので、どこから読んでも大丈夫かとは思いますが、やはり1冊目から読んでいた方がにやりと出来るかもしれません。
軽い読み口でさらりと読める、夜に生きる者のお話といったところでしょうか。
1作目となる月の秘密は、外見年齢28歳のまま時を刻むのをやめた美貌の紳士・尭弘の物語。
英国と日本の血が綺麗に混ざり合った華やかなルックスに品のある所作。誰も彼もが放って置かない美しさを持ち得ながら、どこか孤独や物足りなさを感じる人生を送っています。
早い話が、彼は120年の長い時を生きる吸血鬼なんですね。
そして不運なことに、中途半端な吸血鬼が故にキバがないため吸血行為が出来ず、その上女性の血しか受け付けられない。けれど性的対象となるのは男性のみという厄介なもの。
尭弘の吸血鬼らしからぬ人間臭さが面白いのです。
最近の「ら」抜き言葉が気になったり、世の中の変化を遠い目で見たり…何せ明治の男ですから。
そんな彼の退屈で孤独な日常にふと入り込んで来たのは、野生的で逞しい身体を持つ山神大地という好みが服を着て歩いているような男。下心丸出しであの手この手で屋敷に連れ込む様子になんだか笑ってしまいます。
月夜に興奮し、傷の治りは異様に早い。
人を頼って山から出て来たけれど、自分が本当の意味で何者なのかが分からないと言う大地のバックボーンを同居生活を送りながら探していくわけなのですが…
こちらの作品の見どころはやはり、大地の2面性でしょう。
昼間は温厚な年相応の青年。しかしながら、月夜になると粗野で荒っぽい口調に変化し、それはもう尭弘をぐずぐずに抱いてしまう絶倫俺様っぷりを見せつけてくるではないですか。
ここがハマるかハマらないかで評価が分かれるかなあと思います。個人的にはギャップ大でありでした。
尭弘がリードを握っているように見えて、実はしっかりとは握れていないような関係性が小気味良かったです。
もっと深みのあるものを期待すると少し物足りないかもしれませんが、少しずつ対等な関係に変化していく2人の落としどころは平和で良いものに思えました。
執事のアンソニーとマダムのお話も読んでみたいなあ。
剛しいらさんは、作品によってかなり評価の分かれる作家さんのようなのでこれを買うのもちょっと勇気がいったのですが、他所様で評判がよかったので思い切って買ってみて正解でした。
このお話は吸血鬼ものです、表紙のイラストからして吸血鬼っぽいですものね。
ただ、巴は吸血鬼ではあるのですが、自ら人間の生き血を吸う牙を持たない出来損ないの吸血鬼、しかしそれ以外の吸血鬼の特性は持ち合わせているゆえ見た目の年齢は20代後半だが実際は100年以上生きている。
初めての恋を自らの過ちで無くしてしまい、それからずっと孤独を抱えて生きているのですが、人として生きられない孤独と本当の恋が見つけられない孤独と吸血鬼としても異端児である孤独と言うように沢山の孤独というか、複雑な感情が絡み合っていると言う風に見受けられました。
そんな巴の前に現れたのが山神太地という青年、どことなく不思議な雰囲気を持つ彼は昼間でも平気で外を歩けるところを見ると、吸血鬼である自分とも違うようだが、かといって普通の人間でもなさそうだ、その証拠に月夜になると性格が一変してしまうのですよね。
昼間の太地と月の無い夜は月が無いからものすごく礼儀正しい優しげな青年、夜になり月が空に現れるととかなり自由奔放でワイルドな俺様になってしまうその豹変振りが面白いです。
どっちの太地が良いかっていうと…うーん昼間の太地の方が付き合い安そうですね、思慮深く女性向きって感じ?
でもワイルド太地もまた捨てがたいです、ただ…ベッドのお供はかなり無理かも、それは巴に任せよう(おい!)
最初の恋愛に失敗してからずっと、恋多き男として沢山恋愛をし、好きだと思う人は出来るが、吸血鬼であるゆえに本当の相手を見つけられないで居た巴、太地ともいつか来る別れに最初のうちは脅えているのです自分の方が長生きをするのは分かりきってますから、ですが、どうしても恋心を止める事は出来ない、異端者同士ゆえに惹かれあうのか、それともこれは運命なのか…そんな二人の邪魔をする大畑という男に巴が殺されかけたりもするのですが、普段は女性の血しかその躯に受け付けない巴が太地の血液だけは大丈夫だったところを見るとやはり「運命」と言う言葉がぴったりくるような気がします。
巴が復活した後、二人、部屋の窓から朝日を見るシーンが私にはとても印象的でした。
吸血鬼もの。
残念ながら、いまいち面白くなかったです。
主役の吸血鬼(受け)は長い人生を生きてきて孤独を抱えてるんだけど、それが伝わってこなかった。側には執事がいるし、世界中に仲間もいるらしいし。
相手役の狼男(攻め)も、輪郭がよく掴めず。てかこの手の野性的な攻めはあんまり趣味じゃなくて。
エッチは激しいけど、私の萌えからはズレてました。
嫉妬と独占欲から、わざと受けの仕事先のスタッフの前でカミングアウトの場面は萎えました。こういうカミングアウトって本来なら嫉妬萌えする場面だろうけど、私は好きじゃないんだよね。なんかいたたまれない気持ちになる。
てゆか、無差別に嫉妬しすぎじゃないかなと思いました。
執事のアンソニーは好きでした。