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狼族の聖騎士 × 蛇族の悪魔祓師(エクソシスト)
作家買い。雑誌『Opera』で何話か読んでいましたが、コミックス化されるのを楽しみに待っていました。
冥花さんはシリアスな作品を描かれる作家さま、のイメージが強いですが、新刊もそのイメージを損なうことのないダークでシリアスなお話でした。
ネタバレ含んでいます、ご注意を。
獣人たちが住む世界が舞台。
悪魔に憑かれてしまった住人は処刑されてしまう。その処刑を行うのが、聖騎士であるシグレ。戒律を守ることを自身に課し、神に仕える清廉な人物です。
この世界には階級制度があり、この制度は絶対的なもの。
シグレは下層に位置している狼族で、しかも戦争孤児。それゆえに彼の昇格を妬む声もある中、シグレは鍛錬を欠かさず、規律を守り、日々過ごしている。
そんなシグレが教会であったのがキリエ。
美しいビジュアルと、獣のしるしがないキリエを見たシグレはキリエを神の使いだと信じ込むが、実はキリエはこの世界の最下層である呪蛇。人にとり憑いた悪魔を自身の身体に取り込むことが出来る、という体質を利用して、悪魔祓いを行うエクソシストを生業としている。
キリエがエクソシストをしているのは人助けでもなんでもなく、単にお金を得るため。詐欺まがいの行為を行う、快楽に弱い怠惰な人物として描かれています。
今まで人の「欲」とは無縁に過ごしてきたシグレですが、キリエに出会ったことで少しずつ歯車がずれていき…。
というお話。
「アダムとイブ」をリスペクトしたようなストーリーでした。
神に禁じられた果実を、蛇に唆されて食べてしまったアダムとイブ。
それとシンクロするように、キリエを神の使いではないと知ったうえで、そして呪蛇と知ったうえで、それでも彼を欲してしまうシグレ。
快楽に弱く、そして怠惰な生活を送るキリエに誑かされたシグレ、というストーリーを思い描きながら読み始めましたが、このストーリーはそれだけに非ず。
過酷な子ども時代を過ごしたシグレが、本当に望んだものは何だったのか。
キリエも怠惰な人物に見えて、実は過去に何かあった様子。
孤独な二人が出会い、そして進む未来は―。
冥花さんらしい、というのか、独特で、ドシリアスなバックボーンが存分に描かれていて、冥花さんの描かれるブラックな世界観がお好きな方にはたまらない作品になっているかと思います。
世界観も非常にツボでしたが、シグレとキリエの二人のキャラも非常に魅力的でした。
キリエは蛇なので、tnkも2本あります。
キリエ自身、そういった身体をあきらめている節がある。けれど、シグレは、そんなキリエの全てを「綺麗」だといい、大切に扱います。
戒律に厳しく生きてきたシグレが、キリエと出会ったことで手にしたものは、堕落か、それとも恋か。
人外。
ブラックな世界観。
と、もしかしたら読み手を選ぶ作品かもしれませんが、この作品はその中に切ない恋心も描かれていてめっちゃ萌えました。
続きが早く読みたいです。
冥花先生の新作は、宗教的獣人ファンタジー!
聖騎士、悪魔祓い、獣人、+エロと贅沢コンテンツが盛りだくさん!
蛇に騙され、禁断の実を食べて地上に落とされた女が、獣と交わり子孫を残す。
いつか子供達が赦されて、楽園に帰る日を夢見て…
登場人物はカラダの一部に獣の印(シルシ)がある獣人たち。
”獣” が ”神” を拠りどころにしているって世界観からまずは惹かれます!
メインキャラは、オオカミ系獣人で聖騎士のシグレと、表面上は獣のシルシがなく天使のように美しい蛇のキリエ。
オオカミは獣人の中では卑しい種族にも関わらず、シグレは敬虔に主を信じ、ストイックに生きて、悪魔憑きの処刑執行人の地位を手に入れている。
蛇は始祖を騙した元凶で、最も忌み嫌われ、暗い世界で生きることしかできない。
でもキリエは教会のエクソシストが祓うことができない悪魔を祓える男で…
ある時、キリエが気まぐれで不似合なカテドラルに入ると、シグレに見つかってしまう。
シグレはキリエを見た瞬間、いままで見た誰よりも美しく、神の御使いだと信じて、導きの言葉を求める。
キリエはその場しのぎで神の御使いのフリをして…
後日、シグレは、捕えられたキリエと再会する。
発情までした美しき御使いが、この世でもっとも呪われるべき蛇だったとは…
シグレは、キリエのことを神が自分を試す ”試練” として、より厳しく主に仕えようとするけれど、教会組織に正義なんてものはなく、キリエの悪魔祓いの力を利用するために、キリエに求められるまま、シグレを発情の相手に送りこむ。
そこでシグレは発情に負けて…
甲冑を脱いだシグレのカラダは、肘上から指先まで、腰から下が黒い体毛で覆われ、尻尾があるまさに獣人。
それに性器だけがそそり立ってるのは、もう欲望の塊にしか見えない。
そして蛇のキリエの性器は二本あり、雄々しいオオカミと美しい蛇との、ただ肉欲をぶつけるだけのシーン。
甘さとかは皆無です。でも甘さが無いからこそ、抑えていた欲望の爆発する様が雄々しく見えてしまう。
さらに堕落したシグレが自分自身に与えた罰…
血みどろな絵面にも驚くけれど、堕ちたと自覚したシグレの壊れ方がすさまじくて怖い。もう目が普通じゃない。
これからシグレとキリエはどうなってしまうのか…
宗教的ファンタジーな世界観にも、先がまったく見えない物語の続きにもワクワクします!
1巻ではキリエ自身のことはあまり触れられていません。
悪魔祓いの能力で高額報酬を手に入れ、それなりに自由な暮らしを楽しんでいたような気もしますが、蛇であるがゆえの孤独もあっただろうに?
キリエがシグレに、「悪魔祓いに必要なのは地獄に堕ちる覚悟」と語っていたのが、それって真理だなって思いました。
敬虔であろうとすればするほどプレッシャーで膨らんで、ほんのひと突きで、とことん堕ちてしまう。
それよりも堕ちる覚悟を決めて、それでも自分を保とうとするほうが強い気がする。
キリエの生き様も気になります。
これから、この作り込んだ設定を活かして、物語はじっくり語って欲しいです。
以前冥花先生の「イトウさん」を拝読して以来あのダークな世界観にすっかり心奪われてしまったのですが、今回は獣人たちによる階級社会を舞台にした異世界ファンタジー。
正直あまりシリアスな異世界モノは得意ではないのですが思い切って挑戦してみました。
なるほど、このほの暗い世界観、間違いなく冥花先生の描かれる魅力溢れる物語でした。
まずは子供たちに見せる人形劇から始まります。
昔昔、神様が創られた楽園にイノシュという美しい雌が暮らしてしました。
しかし蛇に騙されたイノシュは神様に禁じられていた木の実を食べてしまいます。
罪をおかしたイノシュは罰として楽園から地上へ追放され、たくさんの獣たちと交わり、たくさんの子供を産み、やがて年老いて死んでしまいます。
子供たちがいつか神様に赦されて、楽園に帰る日を祈りながら…。
ここは「イノシュの子孫にあたる私たちは皆罪を背負って生まれてきた」と子供の頃から教育されている宗教世界。
さらに、この子供を「もっとすごいのが見られるぞ」と街へ連れていくお父さん。
向かった先は悪魔憑きの処刑場。
ここで処刑を行うのが下層の狼族でありながら聖騎士に上りつめたシグレ。
みんなの歓声を浴びながら、悪魔憑きになってしまった一般庶民を処刑します。
一方、街をふらつくもう一人の主人公のキリエは悪魔憑きの気配を感じた男の家を訪れ娘の悪魔を祓ってしまいます。ただ、その男の全財産と引き換えという詐欺まがいの条件を出して。
娼館に向かう途中、気まぐれに寄ったカルラドル(大聖堂)で、キリエに出会ったシグレ。美しく、獣の印がないキリエを天使と勘違いしたシグレは懺悔を始めます。
主に忠実でありたいが、処刑人に対して剣を振るう資格が自分にあるのか。未熟者の自分に御言葉を…と。
ざっくりした答えを残し、去るキリエ。
キリエを天使と信じ、姦淫の夢まで見てしまうシグレ。
一方娼館で楽しんでいたキリエは通報され、捕まり、やがて鎖に繋がれたままの罪人としてシグレと再会しますが…。
実は戦争孤児で、家族も故郷も失くし、兵士として神に仕えることのみが生きる意味だったシグレ。厳しい戒律を守り抜き、いつか神に赦され、死んだ同胞たちがいる天国へ行きたいと願っているとても真面目な性格。
一方キリエについてはまだ詳しく描かれていませんが、最下級種族の蛇族。獣の印がないのは、恐らく蛇族だから。悪魔憑きの人間を見分けることが出来、エクソシストの力を持つ。だが、人助けのためではなく、高額な報酬を要求するために力を使うので、それが原因で後に捕まってしまうことも。
また、「怖い」「嫌だ」「楽しい」など、相手の簡単な感情を読むことも出来、飄々とした自由な性格。
この正反対な性格の2人が出会い、キリエに堕ちていくシグレの不器用さ、自分の気持ちを認めきれず悩む姿、葛藤する姿に切なさを感じます。
教団側も、実は「形式だけで実際は悪魔を払えないエクソシスト」を雇っていたのですが、本物のエクソシスト・キリエの登場により、教団にとって有利になるようキリエに上手く動いて貰おうと目論み始めます。
暫く教会にエクソシストとして留まることになったキリエ。
悪魔祓いの後は酒と女が欲しくなるというキリエですが、この教会は女人禁制。
ならシグレを寄こせとからかい半分に言うキリエ。
ですが真面目なシグレはキリエに出会って初めて発情してしまい、それを罪だと思い込み苦しみます。
何度かキリエに会ううちに、とうとう我慢出来なくなり、発情し、キリエを押し倒すシグレ。
「二つに割れている蛇の性器なんて萎えるんじゃないのか…」と声をかけても、必死なシグレは届かない。
キリエに聞こえてくるシグレの心の声は
「キリエ」「綺麗だ」「美しい」
「欲しい」「欲しい」「欲しい」
しかし本能丸出しの動物的な性交のあと待っていたのは、決して甘い展開ではなく…。
まだ1巻目とのことなので、これからの感想はまだわからないのですが、この1冊目だけで独特な世界観に魅きこまれ、今までとは違った冥花先生の魅力を余すことなく楽しむことが出来ました。
どのように話が進むのかはわかりませんが、あまりにも縛られ過ぎているシグレが、今後少しずつ出でかまわないから自由になってくれればと願わずにはいられません。
発売されたばかりなのですが、今から続きが楽しみです。
次は2、3巻同時発売してくれないかな~なんておもいつつ…。
2巻に期待を込めて神評価にさせて頂きます。
アダムとイブの楽園追放のアレンジ
狼族の聖騎士 × 蛇族の悪魔祓師(エクソシスト)
獣人の聖騎士が、聖堂で出会った呪蛇(カタラ)のキリエが美しいので天の御使いと勘違い。
キリエは、聖騎士のシグレををからかうつもりで「神はいる、君の中に」と告げて、酒場へ去る
勘違いって、面白い・・と讀み進んでいくと、
最後が、怖かった。
「イトウさん」で、衝撃を受けて、大ファンになった〜冥花すゐ先生。
今回もとても面白かった。
種族による階級社会が絶対の世界かぁ〜。
獣人ファンタジーとは言え、明るいはずもなく、闇をもがく様に生きている、主人公達の痛々しさを、たっぷり浴びました。
最下級種族「呪蛇」キリエ。
奴隷の狼族のシグレ。
背景が、ガッチガチの信仰心が支配する世界。1巻は出会いから、葛藤までが描かれているが、後半がどうなるのか楽しみだわ!
悪魔は出てくるのに、神様は出てこないんだね。