イラストあり
初読み作家さんです。
作者さんは10年愛がお好きとの事ですが、私も大好きだったりします。
すれ違い、離れてしまった二人-。
そんな彼等が時を経て再会すると言うのが、とにかく好きなんですよね。ついつい飛びついちゃうくらい。
が、想定外にヒリヒリ痛い系でした。
何と言うか、不憫で薄倖な受けと言うのも大好きなんですけど、これは痛すぎるんですよ。
なんかもう、痛々し過ぎて読み進めるのが辛い・・・。
また、これは完全に好みの問題ですが、とにかく攻めが腹立たしい。
彼のやらかす事、一つ一つが気に障って仕方なかったりするんですよね。
評価に迷ったのですが、終盤はとても素敵だった事と、ストーリーとしても面白かったので「萌」です。
内容ですが、中心的な存在で人気者のクラスメイト・優吾×引っ込み思案の外部入学生・蒼による再会ものです。ヒリヒリ痛い系になります。
名門高校に入学したものの、なかなか馴染めずクラスから浮いていた蒼。
面倒見が良く、皆から一目置かれる優吾が構ってくれる事により、クラスに馴染んで彼とも親しくなって行きます。
そんな中、ちょっとしたキッカケから雰囲気に流されて、キスをして身体に触れ合ってしまった二人-。
その事で優吾への恋愛感情に気付いてしまった蒼は、優吾を避けるようになります。
しかし、そんな蒼の態度や、彼の部活の先輩との仲に苛立ちを募らせた優吾は、衝動的に蒼を抱いてしまうと言う行動に。
更に、家庭の事情からソッと学校を去る蒼。
そして8年後-。
未だに過去を悔やむ優吾の前に、派遣社員として蒼が現れ-・・・と言ったものです。
で、こちらとにかく痛いです。
蒼が不憫過ぎるんですよね・・・。
高校時代は優吾とすれ違い、更にゲイだと噂が立って孤立。
また同時期に、親の会社が危なくなり、バイトに明け暮れるんですよね。
で、優吾に無理矢理抱かれた上に、腹立ちまぎれの彼から淫乱呼ばわり。
また、優吾と再会時の彼ですが、これより更に酷い状況。
親は亡くなり、借金の返済の為に仕事を掛け持ち。
しかも、お金の為にウリまでやっていて・・・みたいな。
私は不憫な受けが好きですが、こういう転落系と言うのは、もう読む事自体が辛い・・・(´;ω;`)
なんだろうな~。
感情を麻痺させる事でなんとか毎日を過ごしてるような蒼に、胸が締め付けられるみたいな。
で、腹立たしいのが優吾。
彼は悪気みたいのは無いのです。
が、とにかく器が小さい。
自分の感情が優先なんですよね。
悪気の無い言動で蒼を傷つけ、更に腹立ちまぎれで蒼を犯した後ですら、「俺を避ける蒼が悪い」みたいな。
そしてそして、再会後に蒼のウリの現場に出くわしてしまう優吾。
キレて蒼を責めるんですよ。
こちら、両視点で進むんですよね。
過去を後悔して、今度こそ蒼とやり直したいと望んでいる優吾。
そして、優吾と離れたいと願いながら、それでも彼への想いを断ち切れずにいる蒼。
蒼にとってウリと言うのは、生活のために心を麻痺させて行ってる事です。
優吾には絶対に知られたくなかったであろうに、知られた上に責められる・・・。
なんかもう、床に小っちゃくなって嗚咽を漏らす蒼が、切なくて切なくて。
おおおーーーい!!
過去を後悔して、これまでの浅はかな仕打ちを反省したんじゃないんかい!
お前に責める権利は無いだろーー!!
と、優吾に腹が立って腹が立って仕方ない。
とまぁ、ここまでは怒りしかない展開。
が、ここからですね、優吾が頑張るんですよ。
自殺を図り、心身ともに限界の蒼に寄り添い、彼の心の傷を癒そうと献身的にサポートする。
彼はやっと大人になったよみたいな。
このパートで、彼の株は鰻登りみたいな。
なんだかんだ言いつつ、この部分がすごく萌えるんですよね。
だって、不憫受けが報われる瞬間と言うのが、死ぬほど好きなんですよ。
そんな感じで、なかなか割り切れない部分があるものの、ガッツリ萌える部分もある作品なのです。
優吾のキャラ自体も、未熟なだけで蒼への思いは本物ですし。
ただ、個人的な好みからは外れちゃうだけで。
そんなワケで「萌」評価にしました。
傲慢すぎる攻めが苦しむとか、不憫すぎる受けが攻めの前から消えるだとか、そういうのどストライクなので、このお話すごく好きでした。
8年の時間を経てる上、両者視点で書かれてるので、分冊してもっと細かいところ読みたかったくらいです。
蒼くんは本当に不憫だし、可哀想だけど、それが優吾が引き出してるものでもあって、そのために優吾がちゃんと苦しんで、そんな過程を経て結ばれてるの安心したな〜!!
2人の若さから来てるようなすれ違いがあった分、成長とか覚悟が少しずつ感じられたのが良かったです。
個人的には脇役キャラの額見先輩や、相沢河惣あたりにフューチャーしても面白そうだと思ってます。
優吾がいいとこのお坊ちゃんってこともあるし、蒼くんも前向きに動き始められたことだし、今後の話も読みたいです!
切ない話が好きとか、攻めが苦しむ様を見たいとか、なんかもうとにかくオススメしときます。(レビューとは)
高校生の頃に、すぐそこに在ったはずの愛に気付けなくて、子供の軽率さから踏みにじってしまうお話。
踏みにじられた方の蒼は、その後転落の一途をたどり、踏みにじった方の優吾は後悔しつつも自分のことを優先して、蒼の事はただの切ない思い出にして順調に御曹司人生を歩んでいます。
そんな二人が偶然再会して…。
若気の至りの切ないすれちがいや、不憫な受け、再会、攻めがが心を入れ替えて受けを引っ張り上げる。
そんなこんなのお話が好きなら、ここに全部揃ってます。
但し、ついでに、不憫な受けの常備アイテムの売りやモブ姦やリストカットも揃っているので、不憫ゆうたらそんくらい揃ってなんぼのもんじゃいって方におすすめ。
これを書く直前に「私、ひのもとさんの本、何を読んだんだっけ?」と確かめたくなり検索したら『(作家の)傾向』の欄に「痛い」と書いてありまして……このお話も正にそう。蒼くんの転落ぶりは不憫を通り越して痛いのなんの。
それもね、多分この『転落』って、様々な制度を利用すればもう少しましな所で止められるはずだったんじゃないかって思うものなんですよ。
「親!とりあえず法テラスに行け!何をやっていたんだ、君たちは」とか「担任!生徒に急激な成績悪化があった場合は、指導と称して手を差し伸べろよ!」などと、これが『BLというエンタメ』であることを忘れてむかっ腹を立てちゃいました。……大人げない。
気を落ち着けて考えてみれば、2人とも高校生ですものねぇ。
子どもなんだもん。
スクールカーストの天辺にいるようなキラキラした同級生に、自分の世界(蒼の場合は絵なんですけれど)を誉められて、おまけにそれを共有出来ることで一気に近づけたら、それは恋心にも似た好感情を持つのも解ります。
また、自分に懐いてくる『才能があるのに、控えめで可愛らしい友人』に手を出した後、その行為が一体何だったのかを突き詰めて考えずに、それ以前と同じ様な友達関係を続けて行こうとする優吾についても「こいつ、高校生男子だもんな」と思えば、解るっちゃ解る(差別発言でしょうか?)。
ここまでの、高校生で人生経験が少ない故に上手くやれない2人の様子には、私、かなり萌えたんです。
問題はその後、蒼に起きる家庭の悲劇なのでありまして。
親の仕事が倒産、両親が離婚、高校中退、母の再婚で父の元に戻るけれどその父の死亡、借金等々、不幸のオンパレードです。
本当に申し訳ないのですけれども、ここがね、ちょっと『やり過ぎ感』を感じてしまって……
いや、確かにあるんですよ、こういうこと。
ただ、ちょっとだけ「幸せなラストとの落差を作るために?」という言葉が頭をよぎっちゃって(すみません、こんな風に思っちゃうのは私の心が汚い所為だと思います)。
こんな風にボロボロになっていない蒼だったとしたら、優吾はこれほど盛り上がってくれたでしょうか?
全くもって個人的な好みの問題なんですけれども、むしろそっちのシチュエーションの方を読みたかった様な気がします。
一目見てyoco先生のカバーイラストにやられた!!と思いました。
この子は何を見ているんだろう
何で泣いているんだろう
いったい何があったの?とぜひ読まねばという思いに駆られました。
いつもながらいいイラストです。
健気でいい子なのに、次々襲い来る障害にますます不幸になる受けが最後には誤解が解けてハッピーエンドという展開は大好きです。
でもこの苦労知らずな優吾があまりにも楽観的でもうちょっと大人になれと言いたくなりました。
美術部の先輩がすごくいい人で、いろいろ訳ありな様子。
蒼が辛いときに優しくしてくれる唯一の人でした。
蒼の辛さを知っていて優吾にチクチクといじわるしたり
きついことを言っている場面ではもっと言ってやってと言いたくなりました。
先輩の物語も読んでみたいです。
スピンオフ熱望します。