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作家買い。
文華さん×笠井さんのコンビって最高だと個人的に思っているのですが、今作品も最高だった…。
文華さんの新刊はW不倫もの。不倫ものって個人的に地雷なので、楽しみにしつつ、でも読み切れるかなと危惧しながら手に取りました。
主人公は広告代理店に勤めるリーマン・友哉。
既婚者で、妻は現在妊娠中。
草食系の、どちらかというと地味な男性。
裕福な家に生まれ育ち、綺麗な妻と、そしてもうすぐ生まれてくる子ども。
何不自由なく生活しているように見えて、実は、彼は自身の「男が好き」という性癖を隠し、そしてそんな自分に葛藤を抱えている。
そんな彼は、新たな上司としてやってきた絢斗という青年に恋してしまう―。
友哉も絢斗も、どちらも既婚者。
絢斗は、麗しいビジュアルに仕事の面でも有能というハイスペック男性。
そして同僚。
自分の恋心はどうにもならないと思っていた友哉だけれど、そんな彼に粉をかけてきたのは絢斗のほうで…。
絢斗の圧倒的な美貌と魅力。
そんな彼に、よくない事と思いつつどんどん惹かれていってしまう友哉。
まさに、恋は堕ちるもの。
友哉が、深みにはまっていってしまう描写が、とにかくすごい。個人的地雷のW不倫のお話ですが、文華さんの文章力に完敗しました。
既婚者でありながら友哉をはじめとして複数の女性とも関係を持っている絢斗で、一言で言うならばクズ男なのですが、それでも彼を憎めない。彼のオスとしての魅力が、妻以外の人との遊びを許容させてしまう。
一方の友哉も。
絢斗が自分と関係を持つのは、ひと時の遊びだ。
と理解している。
友哉は、本気で絢斗を愛してはいますが、愛しているからこそ、絢斗に別れを告げられたら身を引くことをはじめから受け入れている。いずれは捨てられることを、初めから覚悟している。
いわゆる「都合の良い女」、状態なわけですが、彼にも嫌悪感はない。
妻がいるのに、子どもが生まれてくるのに、男に抱かれている自分、を彼自身が許せていないからかな、と思いました。
妻にも疑われ、自分から別れることもできない。
そんな男たちの行く末がどうなってしまうのか、ページをめくる手が止められませんでした。
最後、彼らが選んだ選択は―。
こうくるかー!
という結末でしたね。
予想を裏切られました。
ぜひとも、読んでみてほしいです。
文華さんはコミカルな作品も書かれますが、この作品はがっつりシリアス寄り。
しかも、W不倫という人によっては地雷な設定。
という事で、読み手を選ぶ作品かと思います。
が、個人的にはめっちゃツボでした。
飄々と行動する絢斗。
絢斗に恋してしまったがゆえに、不倫の恋に悩みもがく友哉。
けれど、手のひらで踊らされ、そして「恋」の沼に堕ちたのは、友哉だったのか、それとも絢斗だったのか。
そして笠井さんの挿絵はこれまた素晴らしかった。
W不倫がテーマゆえに濡れ場も多いのですが、滴るほどの色香を放つ絢斗や、友哉の葛藤も、実に見事に描き切っています。
tnkの修正も甘く、非常に眼福なイラストでした。
丸木先生の新刊。どんなお話かと楽しみに読んだのですが、「うーわ、終わったよ・・・」と読み終わった時、呆然。さすが丸木先生。先生にしかできないんじゃないかと思うお話、「本編260P超+先生のあとがき」です。浮気話で心から血が噴き出すような思いをしたことが最近ある方にはおススメしたくないです、一応ご注意ください。
梅雨明けの暑い日、同僚に一杯と誘われたのですが、友哉はごめんと言って帰宅します。10月にはめでたく子供が産まれる予定だからなのですが、漠然とした不安を抱いていたある日、合併により新しく上司となった男に会った瞬間、雷に打たれたように一目ぼれしてしまい・・・・と続きます。
登場人物は
攻め受け双方の嫁(偶然、高校の同級生同士、攻め嫁はバリバリ働き中)。めっちゃ絡んでくるので、女子絡む話NGな人も難しいかも。
**神にした理由
テンプレなんぼのもんじゃい!と喧嘩でも売ってるのかと思うぐらい、いわゆるBLではありえない設定ではないかと思うのですが・・皆さんはどう感じられたのか。(先生もあとがきで「設定のひどさレベルは上位」とおっしゃってる)
一般的には攻め受けとも「くず」と言われてもしょうがないと思うのですが、なんだかあまりに潔すぎて(?)全く怒りが湧いてこなかったです。そしてなんら決着付けずに、ヘドロ沼のような状況に突き落としたまま終わるという(笑)。なんらかの決着付けられるより、確かにこの方が絶対いいわ!と私は思ったのですが、「ありえねーーーーー」と絶叫する方もきっと多いと思います。
そして最後の方の数ページ。攻め視点のモノローグ的書きっぷりの数ページがありまして。ああ丸木先生だわ・・と感じる箇所で、最高でした。やっぱこうでなきゃね、と思われるんじゃないかな。
先生との駆け引きという点においては完敗です、楽しい完敗でした。それが神にした理由です。本読み、楽しいー。
丸木先生のエロ描写は、本当に、ジンジンしますね、下半身が…!
というか何より初めに、本は背後を気にしてから開いてくださいね。
表紙をめくった直後に笠井爆弾が炸裂しますので。
私なんかはちょっと、くぐもった声を漏らしてしまいました(笑)
既婚者で浮気モノのお話は漫画とかでも読んだ事がなくって、比較はできないのですが、私はどちらかというとエロ補充するために丸木先生の本を愛読しているので、その点で言ったら神5くらいです。
丸木先生の文章はドエロいし擬音もあるのに、そこに下品さとか汚さはなくて、ただただねっとりといやらしいんですよね~!大好きです!!
攻め君は既婚者でいわゆるタラシなのですが、うまい事やるのでトラブルとは無縁で食い散らかし放題。受け君の事も味見くらいに思っていたわけです。
ところが受け君は自分さえ知らない程の隠れ魔性で、攻め君と共にもつれ絡み合って奈落に落っこちていくような内容でした。
そうして丸木先生は
我々にラストを託して下さいました(ものすごくネタバレ?)
どう考えたってみんなどこかで傷付いちゃうし、絶対に結末が欲しいかと言われると知らなくて良い気がするんです。
私はこういうフェードアウトの仕方は嫌いじゃないと感じました。野暮ってもんですよね(笑)
浮気の楽しいところだけ切り取ったような、私としては最高にドキドキできる内容でした。
ケジメつけないと無理!という方にはあまりおすすめできませんが、道を外れたエロティックな恋愛ものが欲しい方にはうってつけかもしれません!
あらすじを読んだ上でこの本を手にとる方はある程度の覚悟を持っているかと思いますが、
私は結末というか、話の進行はこれで良かったと思います。
まず、そもそものテーマについて。
W不倫ものなんですが、先生があとがきでも言ってた通り、リアルでの不倫は悪だけど、創作においてはこの上ないスパイスですよね。
そもそも創作だから楽しんでいるのであり、主人公2人に感情移入して読んでいるので、不倫→悪だから制裁受けるべき、とはなりません。
昨今の不倫嫌悪の風潮で創作物にまで批判や道徳的展開を求めるとしたら、それは過敏で不合理だな、と。
(だって仮に近親ものやショタものが好きだとしてそれをリアルに投影するか?って話ですよ)
なので、不倫の良し悪しや配偶者に対しての道徳的対応は作品評価に含めてません。
そして、単純に攻×受の関係性だけで見た時、攻めは最初軽い出来心からでしたが、どんどん受けにハマっていき、最終的には強い独占欲を抱くようになります。受けは最初から一目惚れしているので言うまでもありません。2人が周りを顧みることができなくなるほど互いに熱烈に溺れるという意味では、ある意味「純愛」だな、と思うし、これぞ禁断愛の醍醐味ではないでしょうか。
ラストもあそこで終わらせたのが秀逸だな、と。この後の泥沼は読者の想像にお任せします、というやつですね。書ききらないからこその余韻、美しさがあると思います。
そして、「道徳的展開」に収まらなくてよかったな、とも思います。今後の2人がとても気になるところですが、後日談を期待するのは野暮というものですね…。文句なしの神作でした。
大人向け文学作品という感じがしました。
読み応えあり!!
フワフワの甘々も好きですが、禁忌であるが故の切なさや執着が書かれた作品。
神。
他の方も書かれていますが、自分もあのラストの余韻、粋だなぁ〜と思いました。