パピレス限定特別版
生涯お前だけを愛すると約束しよう
こちら「溺愛花嫁」となってる通り、とにかく甘いです。
ひたすら溺愛です。
が、甘いだけじゃ無いんですよね~。
めちゃくちゃ深いのです。
とにかく感動なのです。
主人公である朱璃ですが、彼の人生と言うのは、常に国とか政治とか、自分の意思とは関係ない思惑によって動かされます。
しかしですね、そんな中でも懸命に生きる。
そして幸せを手に入れるー。
置かれた場所で、迷いながらも懸命に生き、大輪の花を咲かせる主人公の姿に、もう言葉じゃ言い表せない程の感動を覚えて。
思わず泣けちゃうんですよ。
もう、めちゃくちゃ素敵な作品でした。
内容ですが、盗賊から成り上がり野蛮と噂される烏月国の王・アータシュ×格式高い皇国で神聖な存在とされるオメガの皇子・朱璃による、オメガバースで大陸ものになります。
いずれ皇太子妃となるべく、美貌と教養を磨きながら育てられた朱璃。
そんな中で突然、皇太子妃が別人に決まり、更に蛮国と噂される烏月国への輿入れを命じられます。
悲壮な覚悟で烏月国へと赴いた朱璃を待っていたのは、自身を「運命の番」だと溺愛する王・アータシュでー・・・と言うものです。
で、まずこちら、中央アジアっぽいイメージの烏月国が舞台となります。
受けである朱璃ですが、最初からかなり悲惨な目に遭うんですよね。
輿入れの道中ですが、砂漠を何日も渡りと言った感じで過酷なのです。
いやもう、美貌を謳われた彼が、肌も荒れ、お腹も壊して下の汚れに恥ずかしい思いをしと、かなりみすぼらしい姿になるのです。
そんな中でも辛いと決して口に出さず、また世話係に感謝を忘れない朱璃ー。
もうこの時点でかなり切ない・・・( ω-、)
が、ここからは溺愛パート。
朱璃はですね、皇太子妃となるべく育てられただけあり、かなり気位が高いんですよね。気が強くて。
そんな彼が出会う、夫となる男・アータシュ。
彼は、とにかく豪放磊落と言った所。
砂漠まで朱璃を迎えに来るのですが、もう最初から溺愛なのです。
朱璃を「運命の番」だと強い確信を持っていて。
で、この二人のやりとりなんかが超萌えるのです。
箱入りで育てられた為、お堅い朱璃。
男くさく、下品一歩手前くらいのアータシュの口説き文句なんかに、真っ赤になってツンケンした態度をとっちゃってって感じで。
アータシュですが、とにかく包容力があるのです。
朱璃のツンケンした態度ですが、彼にとっては子猫が引っ掻いたぐらいのもんなんじゃないでしょうかね。
だから、しつこくかまっては、余計に朱璃を怒らせたりしてるんですけど。
そんな日々を過ごし、アータシュにどんどん惹かれてゆく朱璃ー。
しかしアータシュは、何故か朱璃と番になろうとせず、また子供を作ろうともしない事から、不安になる朱璃。
更に、不正を働く宰相の政権争いに巻き込まれ、命の危機に陥りーと言う流れ。
朱璃ですが、まず最初に悲惨な目に遭ってますが、ここではそれ以上の酷い目に遭います。
また、溺愛パート時でさえ、オメガであると言う事や、烏月族で無い事で周囲から冷たい目線で見られたりするー。
もうさあ、ここまで酷い目に遭う受けて、小中作品では朱璃がダントツじゃないでしょうかね、と本当に読んでて痛々しい。
ただですね、ここでめちゃくちゃ感動もするのです。
過酷な状況の中、自身の本当の気持ちを正面から見つめる朱璃。
これまで、彼には迷いがあったのです。
自分は本当にアータシュの「運命の番」なのかー。
もし違った場合、アータシュは別の人を愛するようになるのではないか・・・。
しかし、もうアータシュに二度とは生きて会えないのではないかと感じた時、朱璃の出す結論ー。
朱璃がアータシュに告げるセリフに泣けて泣けて・・・(TдT)
そう、ただただ真っ直ぐ愛する。
それだけでいいのです。
ここまで運命に流されて来た彼ですが、やっと自分の居場所を手に入れ、幸せを掴む姿に、なんだかホロホロきちゃうんですよ。
で、この後、アータシュ視点の短編があります。
個人的に、「運命の番」と言うだけでなく、そこから育って行く愛情というものが、オメガバのキモになると思うんですけど。
ここでそれが語られていて、思わずニヤニヤしました。
運命だろうと、運命じゃなかろうと、結局は朱璃だから愛してるんですよね。
もう完璧にノロケじゃないか!!
ところでこちら、エロがページ数の都合か、わりとアッサリです。
でも個人的には、その初夜に臨む朱璃の奮起の方にニヤニヤしちゃって。
「どのような破廉恥な儀式にも耐えてみせよう」とあさっての方向に決意し、三日三晩続くとされる激しいまぐわいに耐える身体を作ろうと、身体を鍛え始めるー。
何故ここで、そんな謎のやる気を見せる・・・。
彼は、かなり気位が高くてツンケンした態度なんですけど、こうゆう所が愛嬌になってて、めちゃくちゃ可愛く感じるんですよ~。
小中先生、上手いな!!
作家買い。小中さんの新刊はオメガバースもの。痛い話…、かと思いつつ読み始めましたが、
めっちゃ甘~い!
お話でした☆
以下、ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公は朱璃。
白星国という大国の、現国王の弟の末息子。つまり先王の孫にあたる高貴な身分のΩです。白星国ではΩは神聖な存在と言われ、でも若干見下された存在でもある。
王族で、しかもΩという特殊な立ち位置にいる彼にとって、嫁ぎ先はそう多くはない。次期国王になる現皇太子・清梁に嫁ぐのが身分的に釣り合うこともあって、朱璃も、そして周囲の人たちも朱璃は清梁に嫁ぐものとして今まで生きてきた。
が、清梁は別のΩと結婚することが決まり、さらに朱璃は隣国の烏月国国王・アータシュに嫁ぐことになる。清梁にひそかに恋していた朱璃は、絶望の中アータシュのもとに嫁ぐことになるが―。
というお話。
朱璃自身が望んでいない相手との婚姻。
烏月国は盗賊上がりの野蛮な国であるという噂があること。
清梁、アータシュともに、彼らが妻にと望んだ相手は、彼らが自身の「運命の番」と信じていること。
そして、アータシュにはもともと結婚する予定だったシーリーンというΩがいたこと。
と、シリアス要素満載です。
なのですが、
これ、めっちゃ甘いよ…!
とにかくアータシュが朱璃にべた惚れなんです。
もともと朱璃は綺麗な容貌をしている、という事もありますが、皇太子である清梁に嫁ぐ、と彼自身思っていたこともあってより一層美貌に磨きをかけていたという過去がある。が、アータシュが朱璃に惚れこんでいるのは彼の持つ美貌のためではない。もちろん、白星国の王族である、という理由でもない。
朱璃が、アータシュの運命の番だから。
アータシュが朱璃を大切に想っていることもあって、アータシュが朱璃のために用意した臣下たちはみんな朱璃に対して優しい。王族として生まれ、そして隣国の国王に嫁いできた朱璃、という事でやや浮世離れしたところがある朱璃ではあるのですが、甘々なだけで終わらせないのが小中さんならではか。
「王族」だけに、反乱がおきたり朱璃が狙われたりするシーンもあったりするのですが、その都度アータシュが必ず助けに来てくれる。お約束と思いつつ、アータシュのスパダリ感に萌えが滾りました。
初めは自分の夫になるアータシュを受け入れられなかった朱璃ですが、アータシュの想いに少しずつ彼を愛するようになっていきます。そこで浮き上がってくるのが、アータシュの元恋人だったというシーリーンの存在。
美しく、聡明で、国思いのΩ。
アータシュがかつて愛したというシーリーンの存在が、朱璃とどう絡んでくるのか…。
とにかく伏線は盛りだくさん。設定も盛りだくさん。
なのに、それらを上手に回収しつつ、オメガバースという特殊性も生かしつつ結末まで持ってくる小中さんの手腕に圧倒されました。
シリアス寄りなバックボーンですが、小中さんらしい、と言って良いでしょう、優しく甘い展開になっていて非常に面白かった。
アータシュ×朱璃、というメインCPはもちろん素敵でしたが、アータシュの元恋人のシーリーン。
彼もめっちゃ素敵な男性でした。スピンオフ書いてほしいな。
そしてこの作品に花を添えるのが石田さんの挿絵。
圧倒的な画力でもって描かれたアータシュ、そして朱璃が、めっちゃ麗しいです。
この二人(&シーリーン)はものずごく綺麗な人、という設定ですが、そのイメージを覆すことのない迫力ある美貌を描き切っていて、萌え度は確実に上がりました。
シリアスと甘々、そのバランスが絶妙で、かつオメガバースというバックボーンを存分に生かした展開で非常に面白かった。
文句なく、神評価です。
オメガバースもの、受けが女にしか見えない(特にカラー口絵)、男なのに「いずれ皇太子妃となるため育てられた」というあらすじで、これは合わないだろうから読まないと決めてたんだけど、先日のJ庭で入手した番外編での二人がなんとも面白おかしくて、平素はどんな二人なの?と興味をそそられて読むことにしました。
これは小中先生独自のオメガバースなんでしょうか?
・女はベータのみ。
・アルファやオメガは男にしか存在しない。
・オメガは3分の2の確率でアルファを産む金の卵的存在。
(ゆえにオメガである朱璃は産まれた時から政略結婚の駒でしかない。)
そして「運命の番」と言えば絶対で、会った瞬間にお互いわかる、周囲も「運命の番」なら二人はくっつくのが必然みたいな水戸黄門の印籠並みの効力を持つと思ってたんだけど、この作品ではそうではないんですね。
ひそかに片思いしていた皇太子に「運命の番」が現れても納得できない朱璃。
そして蛮国と噂される王の元へ嫁ぐことになり、王であるアータシュから「おまえは運命の番だ」と言われてもピンと来ないし、王自らが周囲に「運命の番」宣言をしても、異国の花嫁である朱璃に対して家臣からの風当たりが強い。
だけどちょいちょい「運命の番」というワードが登場するので、大して効力も持ってないような「運命の番」って何なんだろう?と思ってしまいました。
そしたら、まさにそこが焦点となるので、なるほどー!と。
小中先生、うまいなー!と。
途中、アータシュの元恋人であるシーリーンが登場します。
アータシュが美しく優れたシーリーンと別れて自分を選んだ理由は、ひとえに「運命の番」だからだけど、その運命を実感できない朱璃は不安に苛まれるんですね。
運命はアータシュの勘違いだったら……
もっと優れたオメガが彼の前に現れたら……
「彼に生涯愛され続ける自信がない どうしたらいいんだろう……」と。
ここで、はっ!としました。
これって朱璃だけの問題ではないなと。
だって「生涯愛される続ける自信」がある人なんて、まずいないと思うんです
。
だからこそ「運命の番」なんて非現実なものに憧れる。
そして我らが王妃・朱璃は、家臣の陰謀で死の淵まで追い詰められた末に見つけるんです、その答えを。
その答えは至極当たり前なんだけど、やっぱりそれしかないんだなと。
愛に近道なんてないんだ!と。
ここがすごく良かった。
なんかいいもの読んだなーと思ったし、苦手な設定だと決めつけずに読んで良かった!と思いました。
徹頭徹尾、攻めが溺愛しててそこも良かったし。
読んでて何度ニヤニヤしたことか!
ただし受けが男じゃなくて、女でも成り立つ話という意味で引っかかる人もいると思います。
そして石田先生の美麗な絵は素敵なんですが、女性にしか見えないのでもうちょい女成分控えめが良かったな。(カラー口絵要確認)
でも、そこはわかって手にしたので評価には絡めていません。
それにしてもシーリーン、もっと女っぽい容貌かと思ったら、めっっちゃ美丈夫じゃん。
絵的にはアータシュ×シーリーンという絵柄のほうが断然BLっぽくて萌えます。
しかも特典SSによるとシーリーン組はリバップルとな!!激萌〜!!
そして、アータシュのピンチ(笑)
同人誌の番外SSも、朱璃が研究熱心なあまりSM女王様になってしまい、再びアータシュがピンチに……という笑える内容だったので、そちらも是非!
何が一番心に残ったか、どこが好きか?と問われたら、アータシュ(攻め)と朱璃(受け)の会話の部分と答えます。
攻めがひと回り年上の年の差カップルということを頭の片隅に置いて二人のやり取りを読む。
気位は高いのに素直で真面目なツンな朱璃と、何を言われても受け止めよう、だって可愛いんだもんのデレなアータシュ(清潔感のあるエロオヤジ!)。二人のお喋り部分が待ち遠しくて地の文を読むスピードが上がる上がる。
私は電子で読んだのですが、五章からなる本編は朱璃視点・後日譚となる【幸福な庭先で】と【特別版】はアータシュ視点です。
「運命の番」がストーリーの軸にあるため、アータシュが何かにつけ「運命の番」とは…を引き合いに出してきます。そこは多少のクドさは否めない、でも離れがたいのさ~というわけで。
彼が運命の番にこだわるに至った背景、いい感じになった後もすぐに子を生さない理由など、すんなり心にはいってきて納得でき好感が持てるものでした。
あと、攻め受け以外の登場人物が多くなく、良い人・悪い人がわかりやすいのが好き。側仕えのライラ・アルマ姉弟は良き相談相手、側近のスィヤーフは(絶対ひげ生えてるはず!)無愛想でいかにもな武人だけど忠誠心の固まりみたいな人。オメガなのにアルファみたいなシーリーンは攻めの「元恋人」。彼がまあ魅力的で魅力的で。
異国ものは名前が覚えられない、年の差はちょっと…、リーマンものに勝るものなし、という方(全部自分のこと)も安心して読める作品だと思うなぁ。攻めの愛情に一切の迷いがないことは保証します。
小中先生のオメガバース。
題名通り、溺愛がたまらなくきゅんでございました。
受け様は、いずれは皇太子妃となるべく努力してきたオメガの朱璃。
神聖なるオメガとして育てられてたなのか、最初の数ページでは、気位の高い高慢ちきな受け様なのかしら、と思っちゃったのですが、更に数ページ読み進めたら、全然そんな事なくて、上にたつ存在としての心得を理解していて、周りの人への感謝や気遣いを忘れない人で、とってもステキでかわいらしい受け様なのでした。
攻め様は、朱璃を初めて見た時に「運命の番」だと見初めた烏月国の王、アータシュ。
深窓のオメガだからか、閨の事に対して恥らっちゃう朱璃に対して、セクハラまがいの事をやらかしてわざわざ怒らせてみたり、想いが通じあってからも、恥ずかしがってる朱璃に脂下がってみたり、とどこのエロオヤジだと思う事も度々ありましたが、大らかな愛情で朱璃を包む立派なスパダリ。
烏月国に来たばかりの頃の朱璃は、つんつん成分多目なのですが、アータシュから見たら、子猫ちゃんが毛を逆立ててるくらいなものなんだろうなぁ、と私までアータシュ目線でにやにやです。
言葉でも行動でも愛情を惜しまないアータシュに、だんだん惹かれていく朱璃。
それでも「運命」というものが信じられず、自分がアータシュを好きなのはそういう「運命」だから、なのか、アータシュが自分を妃にと選んだのは「運命」だから、だけなのか、と不安になってしまう。
そんな中、家臣の謀反の為に攫われて、砂漠に捨て置かれてしまう朱璃。
死が目前になって、運命であろうとなかろうとアータシュを愛している、と気付き、なんとしてもアータシュの元へ帰ろう、と頑張る朱璃は健気でしたー。
そして、朱璃が攫われたと知って、必死に探しているであろうアータシュの心中を思うと、にやにやなのでした。
朱璃を胸に抱いて「運命であろうとなかろうと、そんなことどうでもいい」と涙ながらに言い募るアータシュの姿がまたいい。
オメガバースのお話の中で運命の番でありながら、そんなもの関係ない、と相手への深い愛情を伝え合う2人に胸と目頭が熱くなりました。
アータシュ視点のお話も、溺愛ぶりがましましで、とっても嬉し楽しいお話でした。
読み返しては、切なかったりきゅんきゅんだったりハラハラしたり、と何度も萌えを味わっております。