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その構成の複雑さが事件の不穏さをより増幅してくれます

日高ショーコ先生の最新作『アノマリーライフ』拝読しました。

まず、やはり絵がとても好きです。隅々まで美しい線に見惚れてしまいます。
その柔らかなラインの描写から、蛍くんが晶くんに触れる手の優しさが伝わってきます。

晶くん、見えた未来の中でも自分自身に関することは、既に経験したこと同様に感触が残るんですね。未来の出来事を反芻してドキドキしちゃうなんて、とても頭がこんがらがるし難儀だけど、その内容次第ではとても美味しい体質でもあるなあと。

現在と過去と未来、それも未来に関しては起こる可能性のある分岐した未来が幾つか並行で描かれているため、皆様おっしゃる通り、どのシーンがどのような並びで起きているのかは初読で理解するのは難しいかもしれません。
しかしながら、その迷宮に入った感覚が、余計に今作に漂う不穏さを増幅させてくれています。
読んでいる私達も “何か不可解な事件に巻き込まれてしまった” 感覚を味わうことができます。

タイムリープとも異なり、転生物ともまた異なる、幾つもの時間軸を行き来する今作。
上下巻通して拝読できることをとても嬉しく感じています。

一つ目の山場の訪れと共に増していく心身の痛み

1巻を読んで、ジェットコースターに乗って永遠に坂を上がりつつ落ちそうで落ちなくて今か今かとソワソワ気分が続く、という状況についてレビューを書かせていただきましたが。

遂に一つ目の山が来ました。待ちに待ったジェットコースターの急降下です。
待っていた甲斐があって、めちゃくちゃ大変なことになりました。賀予くんが一人悶々と毎晩フィーバーしているシーンは読んでいてとても楽しかったです。可哀想可愛い。

最初に1巻と2巻を購入して並べた際の第一印象として、(表紙イラストの)二人とも似ているな、があったんです。
印象も服装も似ていて、どちらが賀予でどちらが謝清呈なのかな?と思ったのですが、いやはや。
この2巻に至って、それさえも伏線だったことが分かりもう脱帽です。
どれだけの伏線と謎が隠されているのでしょうか。
これから先を知るのがとても楽しみであり、怖くもあり、という気分です。

賀予の歪みについては既に1巻でも大いに語られてきたところですが、この2巻では謝清呈の歪な側面にも焦点が当てられていきます。
二人とも何かが欠落していて、どうしようもなく歪んでいて、きっと上手く生きることができなくて。
そんな二人が今後どんな方法でどんな形の愛を見出すのか。

こんなにもその続きが気になる物語はそうそうありません。
ラストまで追い続けるのがひたすらに楽しみです。

展開が読めない物語にソワソワが止まりません

肉包不吃肉先生の『二哈和他的白猫師尊』の日本語訳版を既刊3巻まで読み、いてもたってもいられぬままにこちら『病案本』を読んだわけですが。

その結果、いてもたってもいられなさが二乗になりもう何も手につきません。
どうしてくれるんでしょうか。
まったく展開が読めず、謎に満ちていて、そのうえ人間というものの歯痒さをこれでもかと感じさせてくれる物語です。
新感覚の面白さです。

色々なところで触れられているかと思うのですが、この1巻では本当に「この二人が?どうやって??BLになるの???」に満ち満ちています。BL作品を読んでいてこんなにもソワソワしたのは初めてかもしれないくらいです。
ジェットコースターに乗り込んで着々と坂を上がっていく、しかしなかなか落ちず、“その瞬間” を待ってドキドキしながらいつ落ちるか、今落ちるか、いやこれジェットコースターだよね!?……っていう気分です。
これをソワソワと言わずしてなんと言おうか。

しかし、賀予にとっての謝清呈が唯一無二の存在であったこと、そして謝清呈の存在そのものが社会との架け橋であったことがこの1巻では徐々に徐々に見えてきます。
賀予と謝清呈の関係性の在り方を追いつつ、エーリッヒ・フロムの『正気の社会』を思い出してしまいました。
人は他者と結びつくことによって正気を保つことができる。そして愛と呼ばれる情熱の背景にはこの欲求が隠れている。
とんでもなく賀予じゃないですか……。情が重たすぎて……良さしかないです。

この二重にも三重にも内面に何かを抱えていそうな二人のこの先、そして物語を貫く大きな謎が少しずつ明らかになっていくのが非常に楽しみです。

目次を見た瞬間もう既に胸が熱くなります

肉包不吃肉先生の『二哈和他的白猫師尊』日本語訳版小説第3巻です。

めくるめくカタルシスに溢れたこの第3巻、読み終えたばかりで抜け殻のようになりつつ(一日も早く第4巻が欲しい)少々ネタバレありのレビューとなります。



いやーーー遂にです。
遂に、あの墨燃がver. 2.0にアップデートします。

この3巻に至って、ここまで積み上げてきた墨燃と楚晩寧二人の心情のすれ違い&相手への深い執着が山場となり、その物語中のクライマックスのひとつを大いに楽しめます。
胸に来るシーンが多すぎて度々涙目になってしまいました。

墨燃の変化はこの第3巻の目次から既にうかがうことができます。転生後、ここまでずっと自分本位の世界に生きていた墨燃が、初めて師尊という一人の人間に気づき思い至った瞬間を。

そして個人的に素晴らしいと思ったのが122章です。
今は会えぬひとのことを一心に思い続けるうちに、あのひとならばどうするか?あのひとならばどう考えるか?と、気づけばおのれの行動のすべてが師尊を指標としたものとなっていく墨燃。
それは、彼が楚晩寧は紛れもない自分の師なのだと気づき、ここに至って初めて本当の意味で師として追い求めていく存在となった、ということなのではと。

そして第3巻の終盤。
楚晩寧を心から敬慕し自分の唯一の師尊だと仰ぐに至った墨燃、に対しての、墨燃に渇きと欲望を覚え自分の唯一の男だと認識するに至った楚晩寧……のこの対比です。素晴らしすぎます。
お互いが “気づき” を得るとそういうことになるんですね!という(結局またすれ違っているような気もしないでもない)。

このお二人、まだまだ一筋縄では行かなそうで次巻が楽しみで楽しみで仕方ありません。
来月の発売を期待して待ちたいと思います。

その文章中に散りばめられた伏線が物語の面白さを倍増していきます

肉包不吃肉先生の『二哈和他的白猫師尊』日本語訳版小説の第2巻です。

生き返った墨燃が歩む二度目の人生、物語は進み、かつて経験したことがあるはずの出来事も違った方向へと進んでいきます。
過去に深い関係にあった人物が再登場したり、過去には登場しなかった人物が出てきたり。
その中で罠に嵌められてしまう墨燃。
どうやら墨燃の転生には深い謎が隠されているようです。

物語上で少しずつ「ん?これはもしや??」「この人物のこの行動、この描写はもしかすると?」というポイントが出てくるのがたまりません。
数々の伏線を織り込みながら我々を楽しませてくれます。
これは後から再読すると面白さ倍増、二度三度と楽しめること間違いありません。

そして、この物語は基本的に墨燃視点でお話が進んで行くのですが、これがまたストーリーの面白さを加速させてくれます。
墨燃視点ということは、墨燃が知らないことは私達読者も知りようがないということで。
墨燃の知っている師尊しか私達も知らない。だから、2巻の終了時点でも私達は意外と師尊のことを分かっていないんですよね。
楚晩寧、彼にまつわる謎はそもそもの素性から始まり過去の業績、その霊核に関すること、彼の神器について、などなど非常に多く、それが今後明らかになっていくのが待ち遠しくてなりません。

その壮大なストーリーは勿論、説得力ある深い心理描写に惹き込まれます

第3巻の発売を機に、肉包不吃肉先生の超名作『二哈和他的白猫師尊』を拝読しました。

本当に本当に面白すぎました……。
前世で修真界の頂点に登り詰め、悪事と残虐の限りを尽くした挙句自ら命を絶った主人公、墨燃。
その墨燃が前世と今世にまたがる深い愛憎と執念を昇華しつつ、修真界を巻き込む大きな事件の謎に迫っていく物語です。

非常に入り組んでいるものの、特に第1巻はコメディとシリアスのバランスが巧みでページを捲る手が止まりません。
あまりの面白さに、一冊400ページ超だというのに一冊1日ペースで読んでしまいました。

二度目の人生を送る墨燃が、ひとつひとつの出来事を通して少しずつ変化していくさまの描写、彼の性質の掘り下げが素晴らしいです。
彼も自分で自分の感情が上手く言語化できていなかったり、自分でもなんなのかよく分からない所有欲や執着心に困惑したりと、とても人間味があります。

そして不器用でツンデレどころかツンツンツンツンツン(デレ)の師尊、楚晩寧。
優しさも喜びも寂しさも心の痛みも、すべての感情を上手く表に出すことができないその頑なな心情、この描写がまた素晴らしい。
本人の立場やプライドもあり、難しい顔をして周りから一歩引いて “自分には愛だの情だのは必要ない” というスタンスを取ること、これが彼にとっての最大の防衛方法なんだろうなと。
それらの愛や情を渇望してしまったら、自分がとても惨めに感じられてしまうから。自分から欲しいと言えたならどんなにか良いのに。
でも、言えないんですよ……。そんな他人に尻尾を振るような真似はプライドが許さない。
だから、自分には必要ないし興味もないという顔をすることで自分自身を守っているという。
めちゃくちゃ人間味あります……。

今後、この二人がそれぞれにどう変化していくのか。
続きが心から楽しみでなりません。

繋がり続ける二人の縁は少しずつその形を変えていきます

梦溪石先生の大作『千秋』、待望の第三巻の発売です。
日本語訳版小説は全四巻になるとのこと。この第三巻で、物語は起承転結の “転” へと入ります。

王権を巡って陰謀と策略が渦巻き、世の中は不穏な状況へと突入していきます。
今巻も鮮やかな描写の武闘シーンが満載、また各宗派と王朝内での腹の探り合いは血みどろの展開となって非常に読み応えがあります。

そして、これは沈嶠の物語であると共に、晏無師の物語でもあったのだ、というそんな印象を強く受けたのがこの三巻でした。
第二巻までは、予想もしなかった晏無師との出会い(出会いというよりむしろ遭遇というか災難だったかもしれない)によって変化しつつも、それ以上に変わらぬ強くしなやかな信念を持ち続ける沈嶠に焦点が当てられていたように感じます。

しかし、この第三巻に至って、この晏無師というおのれしか信じず、心というものをまるで持ち合わせていない人間が、沈嶠との出会いによって何を得たかという部分が浮き彫りになってきます。

それは、単に心を入れ替えたとか思い直したとか反省したとか、もはやそういう話ではなく。
なんと言えば良いのでしょう。
騙し騙され、利用し利用され、命を助け助けられ、そんなあまりにも複雑な思いを共有し経験してきた、二人のそんな時間が揺るぎない何かとなっている、そんな印象です。
簡単に言葉にできるような、そんな関係ではないのが物語中からも良く伝わります。

晏無師はこう言います、「若者のようにそれを後悔することなど、本座にはできん」。
いつものようにサラッと冗談混じりで口にされた台詞のようにも思えますが、これには結構な割合で彼の本音が含まれているのではとも感じています。

覆水盆に返らず。口から出た言葉を取り消すことはできないし、晏無師はそんなことはしない。
でも、だからといって後悔したりもしない。
後悔したり悩んだりするその代わりに、謝るのです。
これまでに謝る晏無師を見たことがあったでしょうか?

この時点で既に胸が熱いのに、その上この晏無師の姿勢には第二巻番外編での沈嶠の以下の話を思い出してしまいます。
“間違っていたのなら正せばいい” 。
あの頃のあの行動は、そうすべきでは無かったのかもしれない。
ならばまずは謝って、そしてこれからどうするか考えればいい。
そんな風に考えたのでしょうか。あの晏無師が。
これにはちょっと感無量です。

石ころの話があまりにも良かったです。
「その男は初めから、ほかの金銀財宝よりその石が好きだったのではないですか」
無自覚に真理を突いてしまう、なんだかんだ言ってやっぱり純粋で素直な沈嶠です。

そんな沈嶠、今巻に至って晏無師の屁理屈にたびたび言い返すようになります。
それだけでも拍手喝采なのに、1000回に一回くらいは手玉に取ることさえできるようになるなんて、誰が想像したでしょうか。そんな日が来るなんて。
1000回に一回くらいですが。

番外編は、本編終了後、少し未来のお話です。
物語のその先を垣間見たことで、より一層第四巻の発売が楽しみになってしまいました。

一巻を受けての起伏に富んだ展開が息もつかせません

梦溪石先生の大作『千秋』の日本語訳版小説第二巻です。
一巻から物語は進んで登場人物達も複雑に絡み合い、手に汗握る展開となっていきます。

二巻に関してはまさに起承転結の “承” 、一巻を受けての目まぐるしい変化と物語上でのアップダウンをこれでもかと味わうことができます。

沈嶠は、自分が裏切られたり蔑ろにされたりすることは一向に構わないけれど、人が虐げられたり物が粗末にされたりするさまには容赦しない、という性質を持っています。
そう言ったシーンで恐ろしいほどの冷酷さを見せる沈嶠からは、ひとつの道門のトップをつとめていた年月が伺え、非常に威厳に満ちています。

そんな沈嶠ですが、優しすぎるのか、はたまた彼の持つ自己犠牲的な面からか、自分自身に関することがらにはあまり大きな感情表現を見せることはありませんでした。

そんな沈嶠が、第二巻において経験する絶体絶命の窮地。
心身がばらばらになるほどの痛みと激しい怒りを経て、沈嶠の心情にも少しずつ変化が表れていきます。
他者との関係性について思いを馳せたり、感情が揺れ動いたりするような一面を見せるようになる沈嶠。

しかし、どのような状況になろうとも、沈嶠は決して屈しないし倒れない。
たとえすべてを失い、信じていた者には裏切られ、周りには謗られ嘲られ、誰もにお前は間違っている、と言われたとしても。どんなに追い詰められ絶体絶命の窮地に陥ったとしても。

「間違っていたのなら、正せばいい」と沈嶠は言います。これを行うのがどれだけ難しいことか。

そんな沈嶠の気高くしなやかで鋼のように強い姿勢は晏無師にも影響を及ぼす……のでしょうか??
それは読んでのお楽しみです。

あと二巻で重要なのはやはり「皮杯児」シーンですね。
一巻のあれは伏線だったわけでしょうか。イラストで描かれる立場の逆転にも胸が熱くなりました。

初読では、二人の心の距離が近づいた…かと思いきや、上げておいてどん底まで落としてくれる二巻の展開に絶望しかありませんでした。
これだから中華耽美はやめられません。

いつも最高の読書体験を与えてくれる中華耽美の作家の先生方、それをこうして日本語の物語へと還元してくださる訳者の皆さま、素晴らしい挿絵や表紙を描いてくださる先生方、そして出版に関わるすべての皆さまにこの場を借りて感謝を捧げます。
本当にありがとうございます。

寝る間を惜しんで読んでしまう最強に面白い小説です

この度の日本語訳版小説第三巻の発売を機に、一巻から読み返しています。
こんなに寝食を忘れ夢中になれる小説があるでしょうか。
改めて読み、その面白さを3ページに一回くらいの頻度で噛み締めています。

物語は主人公である沈嶠の崖落ちスタートです。
中華コンテンツあるあるの冒頭崖落ち、これはもう
絶対の面白さを私達に約束してくれます。主人公は崖から落ちてナンボです。

そうして全身の骨がほとんど砕けるほどの悲惨な怪我を負い、生死の境をさまよう羽目になった沈嶠。
武功のすべてを失い、長い時間をかけて修練してきた内力も無くなり、そのうえ記憶も視力さえも失ってしまいます。

しかし、そのような何も持たざる境遇となってなお、品格と矜持を失わない沈嶠の生き様がひたすらに格好良いのです。
人の善性を本質とする姿勢、そもそもが穏やかで清らかな人格者であるというだけでなく、世を生き抜いていくしたたかさや冷酷さ無慈悲さ、ある種の打算が垣間見えるのが、主人公として非常に推せます。

崖落ちをきっかけに沈嶠が偶然出会ってしまったのは魔門の一派「浣月宗」の宗主、晏無師です。
晏無師は何の気の迷いか、沈嶠を助けるような真似をしてみたり、そうかと思えば次の瞬間には不意打ちで攻撃を仕掛けてきたりします。全然気も遣えないしおそらく気を遣うという言葉は彼の辞書にはありません。
横暴で気まぐれで自分勝手な俺様宗主です。でもめちゃくちゃ強い。とにかく強くてめちゃくちゃ格好良い。

沈嶠は清廉で気立ての良い人間ではありますが、ずっと道門の一派の宗主をつとめていた過去もあって、ただの人畜無害なお人好しではありません。
しかしながら、山に籠って世俗との関わりをほとんど持たなかったこともあり、いささか人を知らず世の中に通じていない部分がありました。

そんな沈嶠が、晏無師と行動を共にし彼に振り回され、世に揉まれ様々な経験を積む中で、人間的な深みが増していくのです。
また、天下の武術の極地を綴った伝説の書「朱陽策」の出現もあって、崖落ちと策略によってほぼゼロまでに減じた沈嶠のその武力にも様々な変化が訪れます。

武俠小説の一面も併せ持つ今作、武闘シーンの描写が巧みで活き活きとしています。
今にも吐血するのではというギリギリの状態で、なお手に汗握るような立ち回りを演じる沈嶠には、読んでいてとても引き込まれてしまいます。

第一巻は、晏無師と沈嶠の付かず離れずの距離感が多少近づいてきたかな?というところで一旦幕を閉じます。
心の距離感は付かず離れずですが、案外スキンシップは多いため、側から見ている人々にはいちゃついているようにしか見えないシーンも多いのが良いですね。
晏無師の一番弟子である辺沿梅とか一度完全に勘違いしていましたし。

最後に。
番外編は、沈嶠の師である祁鳳閣のお話です。
本編への理解を深めてくれるとともに二巻への期待もこれ以上なく促進してくれる素晴らしい短編です。

可哀想で可愛い菊池さんが最高です

『孤独な猫は夜明けに眠る』の第2巻となるのがこちら、FILES.002です。

前作で、一体どうなるの?というところで終わった菊池さんと吉野さんの関係性ですが、揺れながらも思いに忠実でひたすらまっすぐな菊池さん、そして心の中を占めてくる兄以外の大きな存在に動揺を隠せなくなってきた吉野さん、そこに吉野さんの兄も関連する事件も加わり、ドキドキの展開を迎えます。


こちらの第2巻で訪れる見どころは↓

・ダブルベッドで眠るのが当然な吉野兄弟
・駅のエスカレーターの手すりを軽々と飛び越えるパルクールできそうな身軽な菊池さん
・仮に寝ぼけていてそして仮にお兄ちゃんだと勘違いしていたとしてもその距離感は近すぎるだろ、な吉野さん
・の結果、ちょっと可哀想で可愛い状態になる菊池さん(通常運転)
・捕まってもういいか、と諦めかけたところで菊池さんを思い出してあらがう気持ちになる吉野さん
・なんと菊池さんに嫉妬までしてしまうようになる吉野さん 誰がこんなアツい展開を想像しただろうか、期待こそしていたけれど①
・が、行ける!と思いきやそこで出てくるラスボスお兄ちゃんの壁は高かった 頑張れ菊池さん
・いざという時に頼りになる強い男、顔色ひとつ変えず大の男をねじ伏せる元警官の吉野さん 受けが強いの最高です
・いつも冷静沈着で動じない(お兄ちゃん関連は除く)吉野さんが、よろめき倒れる菊池さんを目にして一瞬にして頭に血が上るさま 誰がこんなアツい展開を想像しただろうか、期待こそしていたけれど②
・終盤にある病室二連続の対比が最高です


002も山場が多く、胸が熱くなる展開も用意されており、菊池さん良かったね…としみじみしてしまいます。最高の作品です。

いつかまたこの二人の物語を拝読できる日を心から期待しています。