巻末フリトでは、声優の皆さんは関西弁の出来不出来を気にしておられましたが
当地人の私の意見としては・・・上出来
関西弁も多種多様、ミナミだから「大阪弁」ですね
大阪弁もピンキリです。
一番上品な大阪弁は北船場の旦那衆の言葉、米朝落語のような。
辰巳(cv 大川透さん)の大阪弁の発音はヤクザにしては上品、そしてセクシー。言葉の選び方や凄むシーンで品を落としてヤクザらしい下品さをチラ見せしてます。ちょっと可愛く甘い響きもあって年下感も感じます。魅力的な辰巳でした。
対して悪役の馬場刑事(cv 古澤徹さん)はかなり下品で聴いててしんどいくらい。
神崎(cv 浜田賢二さん)はスマートな山の手言葉で、ちょっとアンニュイな美人感と育ちの良さが出てます。
辰巳の腹心、平(cv 成田剣さん)は東京弁というより標準語で、切れ者感が出ていて、辰巳の火に対し水のようにコントラストがついてました。二人で会話するとことは多いし、同レベルの美声でやりとりされたら混乱したでしょうからこれが正解です。
他の方たち、河野裕(高井賢治)は若々しく可愛気があり, 宝亀克寿(向坂)は渋く慈愛を感じさせ、多少は演じている感があるくらいで、大阪弁はごく自然に聞こえました。
花輪英司(カオリ)はオカマで水商売で大阪弁、とハードルが高かったでようですが、多少は不自然とはいえ、そもそもが不自然なキャラですからOKです。
ドラマCDで出てくるのはトンデモ関西弁や、関西弁キャラ違いの残念なものがほとんどのなか、この作品はかなりの上出来で、引っ掛かりなく心地よく聞けました。
これで一人も関西出身の声優さんがいなかったとは驚きです。
よく研究されたんですね。
プロデューサー・音響監督の阿部信行さんで検索して見つけたCDです。
BGMも声優さんともに豪華で丁寧な作りです。
この森川さん、低音で寡黙でエロ怖い。ドSかと思えば妙に優しい。冷たいと思いきや熱い。声を張るところが少ない分、森川さん持ち前の気品と威厳と美声がもの凄いことに。対する寺島さんも森川さんにひけを取らないほどに上品で若々しい美声です。そこへ三木さんの声が絡んでくるわけで、三人とも発音がきれいなこと、耳福でゾクゾクしました。
羽多野さんと鈴木さんは、この作品では可愛く軽やかに決めておられて好感が持てます。千葉一伸さんも少し窶れ感のある渋くもエロい脇役で印象に残りました。
また、この作品は脚本の言葉遣いがきれいなので聴きやすかったです。
BGMも秀逸でした。オリジナルなんでしょうがなんかずっと聴いていたくなりました。
ていねいに作られた、聞きごごちのよいCD。
嫌な奴が一人もいないし、女性キャラも魅力的、
エロが少ない分、ピュアで上品は仕上がりです。
メインの一人はフォトグラファーの天瀬で、声は水中雅章さん。聞いたことがない声優さんだと思ったら、これがBLメインのデビューだそうで、この作品を起点として将来どう化けていくのか楽しみです。素敵な作品でBLのスタートが切れてラッキーでしたね。ちるちるの声優データベースにはまだお名前がなく情報修正ができなかったのですが、私の自作の声優データベースでは、あいうえお順で三木 眞一郎さん、水島 大宙さんの次、緑川 光さんの前となりなかなかのポジションです。
キャラの天瀬はフォトグラファーですから写真で心象や愛情を表現するところがあり、もう一人のメインキャラ、デザイナーのすばる(きれいな名前です)が大きな目をくるくるさせる愛らしさや車いすでの動き、彼を抱きあげる天瀬の力強さなど、絵があったほうがわかりやすいです。コミックの絵のカット割りも映画的でとても良いので、原作を追いながらのCD鑑賞がおすすめです。
メインの声優さん、安元さんも佐藤さんもいいお仕事されていていました。成熟した社会人の話しぶりは落ち着いていて、二人の会話は聴きごごちが良かったです。双方とも同じくらいスペックが高く男らしいキャラクターのカップリングは好みなので、それも良かった。
けれど二人の仕事上の立場やステキ度を説明するためか、あるいは引き立てるためなのか、周囲の女子社員モブがあまりに浅はかで、偏差値低い女子高校生かというくらい知性が欠けているのはウザすぎました。これは原作段階からなので、作者は会社勤めしたことないのだろうかと思いましたが、それにしても働く女性を馬鹿にしすぎて不快です。世間にこんな女たちしかいないなら、男に走ろうかというもので、作者はそういうことを言いたかったのでしょうか。
結婚を控えた若い女性が婚約者のためのプレゼントの買い物を他の男(南海)に付き合わせるというところも、あまりに軽率な行動で意味がわかりません。彼氏以外の男と楽し気に街歩きしているところを人に見られてどんな噂を立てられるか。実際それを北條が見て南海の新しい彼女と誤解するわけだし。北條の元カノは頭は悪くなさそうでいくらか大人のイイ女のようでしたが、おためごかしと悪趣味な興味をむき出しにして無遠慮に元カレの新たな恋愛に首を突っ込んでくるし、でもそれがないと二人の関係が進展しないわけで、つまりウザい女たちが、慎重になりがちな年ごろの男たちの物語を動かす構造でした。そういうのはサラリーマン系BLではありがちで、原作だとそれほど気になりませんでしたが音声にすると女声がキャーキャー、キーキーでひたすら耳障りでした。男声部分はまた聴きたいけれど女声部分は二度と聴きたくないからスキップして聞き直そうと思いますが、面倒だからリピしないかもしれません。女性声優さんにはお気の毒ですが。
この作品に限らず、男性メインを説明し引き立てるために女性を嫌な奴や愚かしく騒がしいモブに演出する安っぽい作りはもうやめて欲しいと思います。メインの四十路カップルの設定はとても良かったから、ほかにも魅力的な男性サブキャラを配して話を動かせたでしょうに、もったいない。現実の女はそんなにバカでも無神経でもありません。女性に対する侮辱的表現です。これを聴いた女性視聴者が嫌な思いをするとか、制作側は考えないのでしょうか。
密かに好きだった男Aに失恋したことを機に、新しい男Bと出会うという話はありがちです。Bとお付き合い的なものが成立したところで元彼Cが出現してBに嫉妬させ、Aも実はまんざらでもなかったようで、A,B,Cの全員がイケてて全員が自分に惚れるけれど、惚れられたほうは曖昧な態度で三人の男を振り回す、というお話です。受けに感情移入しがちな女性読者にとっては大変おいしい立場に酔えるヨロメキ(オルタナティブ)ストーリーですが、受けの水原という人物、考えることや行動に男らしさが全くなくて、これなら水原を女性にしても同じ話が成立します。しかしもし水原を女性に設定していたら、女性が最も嫌う女となっていたでしょうね。ヨロメき迷うのは人生にあることだし、曖昧な態度で男たちの関心を引いておいて天秤にかけようとするのは恋愛適齢期の女の本能的な打算で、女性が有利な条件で子孫を残すために備わったサガですから仕方ないところもあります。しかしそれを男の設定でやるとひどく女々しく小狡いので、私はこのような人物は嫌いです。とはいえお話の運びがうまいからそれなりに面白く読めました。
大正浪漫の雰囲気をよく表現されており、主役お二人の安定感はむろんのこと、この作品を特別なものにしているのは、円城寺伯爵を演じられた一条和矢さん。この方のお声は相変わらず凄かったです。色気も技術も備わった今を時めくトップクラスの声優の野村さんと興津さんのさらに斜め上を行く、神秘的で破壊的な超絶美声で退廃貴族を演じておられ、神託を告げるようなその声にこそ幻惑されて催眠術にかかるのではないかと思いました。
聴きところが多い分、少々苦言もあります。本作は時代もので、主たる登場人物はいずれも上流階級や知的エリートなのだから、言葉遣いはクラシックで上品であってほしい。「十二月いっぴ」はないでしょう。「いっぴ」って何?「ついたち」と言っていただきたい。「見れない」などの「ら」抜き言葉もキャラの知性と時代感が吹っ飛んで一瞬で興ざめ。これは原作どおりなのですが、音声化するとこういうのが悪目立ちするから脚本段階で直していただきたいものです。
とはいえBGMが独特で心地よいし、ストーリー性とエロのバランスもよく、一条さんのお声を久々に聞けたので元はとれたと思います。
設定はあるけどストーリはなし。最初から最後までひたすらヤってるだけ。その喘ぎ方もテンプレで辛そうなだけで聞いてて気持ちよくない。台詞の言葉遣いが汚く語彙も貧しいからどちらのキャラもヤンのはいったアホにしか聞こえない。聞いてるうちに二人の力関係が変わってきてそのうちいいサウンドになるのかと期待してなんとか全部聞いたけど、最後まで一本調子でしんどかった。環境音やBGMなしで場面転換すらなくて退屈。こんな脚本AIでも書ける。一所懸命仕事をしている声優さんたちが可哀そう。二人の声質がカブって、どっちかわからなくなることもあるし、何これ? 何がしたいの?
鈴木さんのBL作品は古いものから結構たくさん持っていて、名作級のものもあり、コメディーもできて才能のある人だなあ、と思ってました。その鈴木さんの久々のBLとYoutubeで語っておられて、その話す声がこれまでになく影のようなものがあって魅力的だったので、どのように表現の深みや声質が成長されたか楽しみでつい買ってしまったのだけど、残念。まあご祝儀と思ってあきらめるしかありませんね。次はもっとクオリティーの高い作品に出演されるのを楽しみにしてます。たとえば故手塚治の「MW」がドラマCDになったとしたら結城役は鈴木さんのほかに考えられない。
レビューの評価があまりに高かったので、好奇心でCDともども買ったしまいましたが失敗。
キャラクター設定とストーリーがあまりにも酷い、酷すぎる。
受けのキラは少女趣味の属性の全部盛り。
攻めのルシアン王もまた少女趣味のハイスペック属性全部盛りだけど、性格悪すぎ、粘着質で暴力的。自分で物を考えず間違いに気づいても改めない。それを愚かという。好きな相手の気持ちを知ろうとせず、話を聞く気もなく、カケラも信用もしない。感情抑制できずひたすら暴力を振るう。つまり恋人としては最低最悪。
多少の怒りの爆発は、愛するあまりということにしても、距離と時間をおいてもさらに執着に拍車がかかるとは、あまりに偏執的で常軌を逸している。ストーカータイプの危険人物です。ほかの登場人物もキャラクターが平板、王の周囲の人間が全員一致で嘘ついて、それが明らかに失敗で、キラを犠牲をしたことに罪悪感じても何もしない。誰ひとりとして自ら状況を打開しようとせず、中途半端に流されるからすれ違いが起き、偶然に目撃されたとか、偶然に立ち聞きしたとか、偶然に手紙を盗み見したとかが話の転機となっており、陳腐なだけで面白くない。
とにかくキラは生まれつき不幸、苛められて育ち、偏執王に目をつけられたのがさらなる不幸の始まり、一方的に愛を押し付けられ、邪推され、暴力を振るわれ大怪我を負い、追放され、流浪の生活で病気になり、衰弱した体で死に場所を求めて国に帰ってきてからも王に侮辱され、殴られ、強姦されます。王は、さすがになんか変だと思うけど、それでも自分で確かめようとせず、偶然に間違いに気づいたあとも自分のことしか考えず、流れに乗って他の女性と結婚、主人公キラは報われることなく野垂れ死に、登場人物全員が不幸になりました、おしまい、という話でした。背景設定は作りこまれていて魅力的なのに、なんでこんな後味の悪い話にする必要があったのか、もったいない。乙女漫画的な悲劇としても昭和のセンスでした。
この頃の古い作品は、言葉使いや発音がとてもきれいです。
同じ職場のサラリーマンの上司部下もので、ストーリーはそんなに極端な展開があるわけでもないのですが、その分リアルな感じで、トンデモ設定よりはずっといい。
一条さんの神秘的なまでの美声に聞き惚れるには最適の一枚かもしれない。
高橋さんも若々しく爽やかに好演しておられて素敵。
環境音もBGMも丁寧にいれてあって聞き心地がよいので、けっこうリピしてます。
堀内さんと小杉さんが脇を固めて、緑川さんがチョコっとはいって、鈴木千尋さんがまさかの悪役。控えめで上品な濡れ場も耳福で、ごちそうさまです。
これの続編も買っちゃいました。