この作品を読む直前にBL作品ではありませんが、美形の鬼が人間以上に良いヤツ設定の話を読んでいたこともあり、鬼イメージが爆上がりしています(単純)
ストーリーは鬼×人間ですが、登場する鬼たちの容姿も振る舞いもほぼ人間と変わらないので違和感なく読み進められました。
コミカルで可愛らしく、甘々な展開の中にいきなり激重性被害が差し込まれてきて、ここだけは真顔で引いてしまいました。
京の性的不能の理由はああいう形の性被害でなくてはならかったのかなと思っています。
回想シーンでは、まだ少年の頃の出来事のようなので、それからどれだけの年月を精神的、肉体的ダメージとともに過ごしてきたのかと思うと、色々と設定がカジュアルすぎやしないかと重く受け止めてしまいました。
京の性被害のトラウマからくる性的行為への抵抗感は最初は蓮の妖術によって快楽へと導かれ、やがて心を伴う真の救済へと変化していくのですが、行為そのものの描写よりも目線や行為前後の仕草の方が色気を感じられて印象的でした。
絡み描写自体は巻末の蓮の生みの親の短編の方がエロい気がしました。
両想いになり、京も心身ともに救われてめでたしめでたしならありきたりの話ですが、この作品が良いなと思ったのは、京が自分が亡くなった後のことを気にかけている描写があったことです。
鬼と結ばれたら人間の京が先に寿命を迎えるのは運命で、残される蓮の寂しさへの憂い、蓮が自分以外の誰かと愛し合う日がくるかもしれない未来、ハッピーエンドですが京の心情に想いを巡らせると切なくなります。
性被害のエピソードは個人的に受け入れがたいところがありましたが、それ以外はコミカルでありながら、ずっしりと心に爪痕を残す印象深い作品でした。
あと、画力の高い方のロン毛のハーフアップ絵は魂の潤いに貢献するなとしみじみ感じています。(己のヘキ)
「ケーキバース」の予備知識がなくても聴き進めていくとすぐに理解できて、充分に楽しめる作品でした。
ここでは「ケーキ」が松岡禎丞さん演じる久遠稔世くん、「フォーク」が中島ヨシキさん演じる桐谷達成くんですが、このケーキバース設定のおかげで、エロさに信頼のおけるお2人がトントン拍子に絡み合って下さるので、特殊な世界観を理解する前に引き込まれると思います。
松岡禎丞さんの真骨頂であるモラトリアム期の儚い声で、冒頭から求められるままに身体を提供する展開は良すぎました。
劇中で、「フォーク」は味が感じられないとサラリと語られるのですが、生きていく上で味覚がないというのは想像を越える辛さだと思われます。
それがいきなり味の中でもとりわけ魅惑的な「甘さ」を感じてしまったのですから、そりゃあもうガツガツいくのは避けられません。
関係はフォークの「お食事」のバリエーションを楽しむ方向に進展してゆきますが、途中からいきなり2年後に話が飛び、大学で再会してからは桐谷先輩の独りよがりな思い込みによる拗らせ両肩想いの停滞期に突入します。
ここはコミックスであれば目で状況を追えるので気にならなかったのかもしれませんが、音声ではそれまでの展開がスピーディだっただけに非常にもどかしく感じてしまいました。(個人の感想)
しばしの停滞を経て、再び関係が動き始めるのですが、そのきっかけを作った稔世くんが、それまでの能動的な意思表示が希薄だった様子とは打って変わって大胆で、想定外にエロいヤツだったところはなかなかに刺激的でした。
このお2人のお声と表現力でなければ成立しないような匂い立つ色気満載の作品でした。
受注生産のBlu-rayについての感想です。
コミックス1巻+オリジナルシーンで約24分、オリジナルシーン以外の内容はわかっていましたが購入してみました。
音声だけで聴いていたものに「動く絵」がついたという点は新鮮でしたが、背景の単調さ、ぎこちない動き、使い回しシーンの多さから、「もしかして、コマ画数少なめ?」とは感じてしまいました。
アニメーション製作が大仕事ということは理解していますし、この作品にそういう精度を求めていた訳ではないので批判ではなく、あくまでも感想です。
デフォルメされて急に二頭身になったりするシーンは可愛らしく感じましたが、本来の魅力である「動き」にあまり期待ができず、エロいシーンも残念ながら萌え転がりには繋がりませんでした。
しかし、小林裕介さんと江口拓也さんの演技は安心&安定の良さなので引き込まれます。
コミックスやCDを知らずに、この映像が初めての視聴だと「変態性癖の高校生男子同士が急接近!」のような印象になりそうですが、既に発売されているマスク男子シリーズを視聴済のファンであれば、ありかなと思いました。
有料ストリーミングサービスで視聴もできるようなので、円盤は買いそびれたが動く佐山くんと才川くんを見たい!という方はそちらからアプローチしてみてもよいかもです。
江口拓也さんの「村瀬歩さんの声にムラムラする」発言が記憶にあったので、多少は素の部分も出てしまいそうな「地元言葉」での演技という設定に邪な期待をして視聴しました。
世間に「おもしろ言葉」的な固定観念が植えつけられている茨城訛りを「かっこよく」というディレクションに、江口さんがどう応えているのかと思ったのですが、声が良くて演出が良ければ少なくとも笑ってしまうようなことはないものだと納得しました。
茨城弁は劇中の要所要所に盛り込まれている程度で会話のほとんどは標準語でしたが、江口さんの茨城訛りと標準語の切り替えっぷりを聴くと、方言がある環境で育った方は常に標準語に「矯正」して話しているのだなと改めて意識させられます。
ストーリーは陳腐な純愛ハッピーエンドですが、方言がフィーチャーされた設定は新鮮でしたし、2人が心を通わせていく過程の微笑ましさとエロさが絶妙で楽しめました。
米国からの帰国子女役の村瀬歩さんが可愛い小悪魔少年系だったので、こういう声が江口さんの好みなのだとしたら......とBL脳が活性化されましたが、アフタートークで江口さんが期待どおりのまんまな発言をしておられていたので笑ってしまいました。
教師という立場に縛られて及び腰の発言をした加倉井柊先生( CV江口さん)への逢沢冬樹くん(CV村瀬さん)の大胆さが清々しく、
押しきられてことに及んだ際のエッロい吐息とか、こんなん江口さん......じゃなくて柊先生は拒否れないだろうと思います。
この作品はキャストお二人の楽しい関係性を知った上で、豊かなBL脳をもってアフタートークまで聴くと、よりリアリティが増して楽しめる(笑える)と思いました。
「男子高校生、はじめての」シリーズのコンセプトは好きなのですが、脚本家さんによって1ミリも萌えられないまま真顔終了のケースがあるので、視聴は毎回「賭け」のようなところがあります。
11弾は榎木淳弥さんのお声を聴きたかったのですが、サンプル音声と脚本家さんを見て、購入をずっと迷っていました。
聴くものがなくなってきたので思いきって購入してみましたが、榎木淳弥さんも熊谷健太郎さんも演技自体はよいのに、SEと台詞に残念ながら馴染めませんでした。
男性向けのAVのような説明的な性行為の下品な言い回し実況が本当にダメで......。
こういうのに萌える方には、個人の好みの問題で作品批判ではないので気を悪くされないで下さい。
熊谷さんの台詞に手慣れた大人感がありすぎたのと榎木さんの純朴な演技がハマっていたせいで、大人が少年を手ごめにしている脳内変換が発生してしまい、「高校生同士」だと思うと「どうなんだ、これ」と、ちょっと笑ってしまうくらいに没頭できないままの客観視聴となってしまいました。
個人の好みによる感想なので、作品を気に入られた方はそんな風に感じる視聴者もいるのか程度に受け流して頂けたら幸いです。
阿座上洋平さんというBL巨頭を差し置いて、イオを演じた田丸篤志さんのお声と演技がヘキにぶっ刺さってしまいました。
高貴な雰囲気と相手に感情を読ませないトーンが田丸さんの声質がぴったりで、「日夏さま」の呼びかけた時の空気がキリッと締まる感じ、たまりませんでした。
他にも、アフタートークで阿座上さまも言及されていた琥士郎の幼少期を演じられた田中貴子さんという方の演技が素晴らしかったです。
特に威嚇時の動物っぽさはピカイチで、気になってプロフィールを拝見したら、「特技:動物の鳴き声」と書いてあり、納得しました。
原作を読んだ時は、展開がどこかしらで見たことがあるように感じられて、時間が経つと別の作品と記憶がミックスされてしまいそうだと思ったのですが、音声で印象が変わりました。
ストーリーが立体的に記憶に残ったというか、演技がとても良かったので、思い出す時は阿座上さんや松田健一郎さん、田丸篤志さんたちの声とともによみがえると思うので、他作品と混同することはないと思えました。
(こういう経験をすると、絵+音に色と動きが加わるアニメーションというのは本当に強いなと改めて思わされます)
音声だけでも十分に楽しめますが、この作品に関してはコミックスを読んでいると音声の威力がより強く感じられると思いました。
各方面の特典冊子やペーパーなどの音声化で、中には1分に満たない話がありますが、揃いも揃って可愛らしく、かなり得した気分になれます。
(少しだけセクシーな話もあります)
パッと目で見て完結するペーパーでも、小林裕介さんと鈴木崚汰さんの声と演技力をもってすると記憶に残る「ストーリー」になるのだなと感じ入りました。
短い話でも、その光景が目に浮かびます。
本編を知らなかったとしても、博多弁の男の子とクールな先輩の可愛らしい話として成立してしまうのではないでしょうか。
これが雑誌の付録だったとはどんだけ大盤振る舞いなのだと思います。
本編CDのファンであれば、出会えた際には価格にもよりますがMust Buy だと思います。
※この手のものに○万円などは異常
「男子高校生、はじめての」シリーズは作品ごとに脚本家さんが異なるので、好みとそうでないものがあり、このオムニバスCDは第8弾の八雲(山下誠一郎)×江純(小林裕介)を視聴するためだけに購入したので、推しカップルのレビューのみで失礼します。
【Mellow Solace】
江純の両親に友人として紹介されて面識のできた八雲先輩が、江純宅に招かれて食事をしており、そこで江純の父親からピアノを学ぶためのスポンサーになる用意があることを聞かされます。
八雲先輩にとってはまたとないことで、江純も喜ぶべきところなのに浮かない顔で食卓を立ち、八雲先輩を促して自室に入ってしまいます。
2人きりになれば、男はじシリーズでやることはひとつなのですが、キスから唇を離されて江純が放った「やめないで......」がなんかもう誰にも真似できないエロさというか、小林裕介さんに対して「オメー何者だよ」と感情の処理を間違えて怒りたくなるほどでした。
やくえすを演じる際の攻めの山下誠一郎さんと受けの小林裕介さんのリアリティが毎回、凄すぎて、両者の作品はシチュエーションボイスを含めてかなりの数を視聴したのですが、頭ひとつ抜けていると感じます。
「演技感のない自然な演技」がお上手なお2人が、やくえすに関しては掛け合いの相性なのでしょうか、なにか+αを感じてリアリティに拍車がかかっているように思えてなりません。
(感じ方なので、欲目と言われてしまえばそれまでなのが口惜しい)
そして、行為になだれ込み、この時に初めて八雲先輩が江純を下の名前で呼ぶのですが、これまた山下誠一郎さんが行為の真っ最中に発する息づかいと言葉の途切れ具合や抑揚が「なにこれほんとにやってるよね??」と思わずにはいられないほどリアルです。
その後に続けられる「おまえは......呼んでくんないの?」と江純にも促す台詞を聴かされたところで、こちら側が瀕死になります。
ミニドラマなので短いですが、内容と演技の濃厚さはやくえすファンなら必聴だと思います。
鈴木崚汰さんの正確な鼻濁音と破裂音に萌えまくりというヘキがあるため視聴しました。
(鈴木崚汰さんは天下のNコン朗読部門優勝者)
崚汰さんはBL出演に意欲的な発言をされていらっしゃいますが、厚みのある低音から軽やかな少年声まで出せて演技力にも恵まれた方がBLに好意的なのは本当にありがたいと思います。
斉藤壮馬さんはお名前しか存じ上げず、受けが多い声優さんとは知らなかったのでフラットに聴くことができました。
全体的に「今はコンプライアンス的に民放では放送できない昭和のアニメ」のような印象で、ヤンキー用語(?)が出てきたり、喧嘩のシーンのモブの煽りも「やっちまえ~!」と、レトロ風味でした。
こういう世界観に触れてこなったので喧嘩上等の価値観は架空の世界のように感じられましたが、それを除けば容姿が良くて喧嘩が強い教師にまとわりつく憎めない生徒とのラブストーリーとして「すきっと爽やか!」(レトロに寄せてみた)でした。
軽いキスまでなので、性的な絡みが苦手な方でも視聴できるカテゴリーのBL作品だと思われますが、濃厚な絡みこそBL!と期待される方にはBLとは呼べないくらいにライトに感じられると思います。
わたくしは鈴木崚汰さんのお声が目的で、崚汰さんのバリエーションの中でも特に好きな「落ち着きのある話し方の低音」だったので満足でした。
1に続き、タイトルやキャッチコピーだけで食わず嫌いは損をすると感じさせてくれる良作でした。
1はコロナ禍に便乗したようなタイトルが悪目立ちして、特殊性癖のスケベで盛り上がる話かと思ったのですが(ごめんなさいごめんなさい)、
小林裕介さんのエロい声が聞けりゃいっか!と視聴してみところ、思いのほか「心」に深く焦点が当てられた内容で感情を揺さぶられたので、続編のこちらも期待して購入しました。
ところが、2では新たに明らかな当て馬の敦賀くんが登場してきたので、カップル成立後はいよいよ陳腐な茶番劇方面に舵が切られたのかと思いきや、またもや良い意味で裏切られました。
展開は定番でしたが、裕介さん、江口拓也さん、中島ヨシキさんの演技の良さと、各人の背景と心情モノローグがわかりやすく挟まれるので、茶番劇を見るような退屈さに陥ることもなく集中できました。
佐山の根底にある「一貫して相手を想いやるブレない優しさ」が才川の救済になる様子は感動します。
前作では語られなかった才川の生い立ちを知って、自分自身も心に痛みを抱えているくせに佐山を救ったことがわかり、そのことに佐山も気づくところでは、「オメーら本当に出会えて良かったな!」と心のクソデカボイスが出ました。
高校生ものは、文化祭のなんらかの出来事で関係が深まり、後夜祭でやらしいことに進展するがド定番ですが、
こちらのトラックタイトル後半が、まんま「文化祭」と「後夜祭」だったので思わず笑ってしまいましたが、過剰すぎる演出なく各人の想いが回収されていくので、ストレスなく聞き終えることができました。
ついでに、才川の父親よりも息子の江口拓也さんの声の方がお父さんぽく感じられたことにも笑いました。
(これは父親役の声優さんの声が細めで、江口さんの声質が低くて厚みがあるせい)
当て馬の敦賀くんもその場限りのモブではなく、一登場人物として感情移入できるようなエピソードが語られており、
人当たり最悪の佐山に惹かれていく様子も雑なストーリーにありがちな共感できない感じがなくて良かったです。