3年前に出た同タイトルの続編です。
1巻を読んだ時には、独特のちょっと昔っぽい(良い意味で)絵柄や、暴力とSMのギリギリのストーリーが少しとっつきにくいところがありました。
ラブも最後にほんのりと…という感じで、変わった性癖の受という印象だけ強かったのですが、今回はお互いの感情が丁寧に描かれ、ラブ度も上がっていて、十分に萌えを感じられました。
本作は表紙が暗示しているように攻の釧路にスポットライトが当たっています。
三崎は無事正社員として就職しましたが、今度は釧路の就職活動からその終わりまでを時間軸として、2人の関係が描かれています。
釧路の暴力は以前からですが、就職活動のストレスで自己コントロールが効かなくなる場面が出てきます。ですが、一方で釧路はそういう自分を嫌悪してもいます。
釧路が自分で自分を責めている時には弟が亡霊のようにイメージとして現れ、釧路の弱い部分を言葉で抉ってくるのですが、これは過去に弟と確執があったためのようです。
おそらく過去にも弟から似たような言葉が直接発せられたこともあったと思いますが、ほとんどは釧路の心の声なのかなと思いました。
そう考えると、意外と釧路って客観的というか、三崎のことを思いやっているんだなというのが分かってきます。この辺りが前巻と比べて新鮮だったところです。
前半は痛い描写もありますが、後半は2人なりのラブも増えていきます。
釧路が暴力以外の愛情の示し方や、対価がなくても自分を気にかけてくれる存在がいることに気づいていく過程はとても良かったです。
三崎が買ってきてくれたゼリーを食べるところや、頭をぐりぐり押し付けて甘えたりなど、今までは見られなかったかわいいシーンもあり、読んでよかったなと思いました。
ラストの暴力以外の解決策(?)、目隠し緊縛も必見です。やはり三崎はとことんMなんですね…(笑)。
他のレビューにもありますが、ゲス弁のインパクトに全部持っていかれます。
レシピまで載っているのがさらにすごい(笑)
とにかく口の悪い受なんですが、個人的にはああいうストレートな物言いが出来るキャラは好きです。
ビッチな受ですが、暗い過去話などもなく基本的に明るい性格なので気楽に読めました。
攻と受だけで話が進んでいくので、軸がぶれないのも良かった。
表題作以外に『小ちゃくたって一人前』という読み切りが収録されています。
高校生同士で、受がなかなか告白出来なくてという一見ありがちストーリーなのですが、実は攻が裏で手を回していたというのが良いですね。
攻めも普段はカッコつけてますが、受の前ではぶさいくな顔して「俺ん事好きっても一回言って」と言っちゃうようなギャップもあります。
すごく好みな話だったので、ぜひ続きが読みたいです。
媚シリーズを一切知らずに購入したのですが、各話冒頭に簡単な背景説明がされており、十分楽しめました。
本編の重要な転換部分を取り上げつつ、現在の画力で描かれているだけあって、それぞれ濃いシーンに仕上がっています。
描き下ろしは全編カラーページで、すごくインパクトがあります。
読んでいくうちに、逆に本編にも興味が出て読んでみようかなという気になりました。こういった相乗効果のある作りはとても良いと思います。
媚シリーズ以外の短編もいくつか収録されていますが、『≠』(ノットイコール)だけは、本編を知らないと楽しめないかもしれません。
ページ分量としてはそう多くないので、『≠』を知らなくても他の短編で十分楽しめますが、本作で興味を持って読んでくれる人が増えるといいなと思います。ただ、ガチ親子ものなのでその点ご注意ください。
同人誌にて発表された作品の電子書籍版です。
一番古い作品で2013年のものだそうです。
電子特典ペーパーは、作品の書き下ろしというよりあとがきです。
収録されている『お兄ちゃんの学ラン』は、onBlueのためこう先生のインタビュー記事に原稿がちらっと載っていて、一度読んでみたかった作品でした。
BLというよりブラコンショートストーリーといった感じでかわいいお話でした。
『血を食らわば毒まで』
基本はコメディ調ですが、ラストがちょっと切ない。
『九龍城』
受は上流階級出身ですが無実の罪で追われており、九龍城に隠れて日々を過ごしています。
攻は受の召使で、定期的に受けの世話をしにやってきます。
受の身の潔白が証明出来るまで匿うと言っていますが、受を嵌めたのは攻です。
受はそのことに気づいてないので、攻はかなり腹黒い性格ですね。
上記2つは続きが読みたいと思わせる作品でした。
3年前の作品でも絵柄は現在と遜色がないため、ためこう先生の絵柄が好きな方は買いだと思います。
『僕のセックススター』2編&書き下ろし
ポルノ男優×風俗ライター
『クリプティック・ホワイト』読み切り
マスク男子の秘密について。
『となりあわせ』読み切り
幼馴染もの。
『ルーズソックス男子』読み切り
タイトルそのまんまです。
あったかいからルーズソックスをはいている、という同級生の真相を確かめようとする話。
『口紅男子』読み切り
タイトルそのまんまです。
唇の赤さが目立つ同級生についての話。
『セクシーコールボーイ』
『ロックアップボーイ』
『セクシーバニーボーイ』
この3作はごく短いショートストーリーです。
下2作は続きが読みたいと思いました。
『泥中の蓮』もそうでしたが、絵柄は相変わらずすごく好みです。
顔のパーツや輪郭がみんな同じ系統なのがちょっと残念かも。ベースがかわいい雰囲気なのでみんな受っぽく見えます。
本作は読み切り収録の短編集の構成ですが、どれもテーマが一風変わっています。
出てくる学生が学ランばかりなのも、作者のこだわりを感じます(笑)。
ただ、ものすごく心情に訴えかけてくるものがあるというと、そうではなく…。もう一押し欲しいなというところ。
一番萌えたのは特典ペーパーでした。今後もっとこういうエピソードが増えてくれることに期待です。
子育て漫画としてはわりとまっとうというか、子育てにおいての良い面のみ抽出した作りになっていると思います。
世間で言うところの魔の2歳児にあたるひーくんですが、素直で聞き分けがよく、男の子だけど下ネタも言わず(笑)、落ち着きのあるものすごく育てやすそうな良い子です。
確かにひーくんの舌足らずな発言だったり、小さいながら思いやりにあふれた行動は見ていてかわいいのですが、子育て漫画もそれなりに読んできた身としては、「こんな子供はいないな…」とやや冷ややかな視点で読みました。
もちろんフィクションなので、子育ての現実的な大変さや辛さは読みたくないという人もいると思います。
ですが、他の子育て漫画にはない何かを求めていたところもあるので、「BLでオメガバース」というポイントを除けば、普通の子育て漫画だったなという感想です。
ちょっとしたヤマはありますが、周囲の人々も基本的にすごくいい人たちで、結婚に反対していた攻の両親も、孫フィーバーですんなり受け入れてくれます。
出てくる問題は既に解決済みなんですよね。なので、読んでいてよその幸せな家庭におじゃまして話を聞いているような感覚です。
オメガバースは「この2人に子供がいたらさぞかわいいに違いない」という夢を具現化出来るおいしい設定だと思っていましたが、いざ形になってみると思ったより萌えがないなと感じました。
続編が予定されているようですが、このままほのぼの路線でいくのか、ひーくんの成長に伴ってもっとストーリーに起伏が出るのか様子を見たいと思います。
『I Hate』の方はあまり合わなかったのか一読しておしまいだったのですが、こちらは最後まで集中して読めました。
表題作の連載作品のみで、他作品の収録はありません。
本作は、親から愛情を受けずに育ったシロ(受)が信虎(攻)と出会い、ウリをやめてまともに生活するまでがメインのストーリーとなっています。
実は信虎に出会う前、15歳の時に時雨という元ヤクザと暮らしていたことがあるのですが、とある事情でその生活は突然終わります。
時雨との生活が終わった理由や、全体のストーリー構成なども読んでいるうちに大体予想が付くのですが、最後まで読むと「そうくるか」となるような、ちょっとした仕掛けが用意されています。
シロは気持ちをはっきり言うタイプではないのですが、中盤とある身体的な変化が見られます。
その意味も本人ではなく他人の口から語られることになりますが、この辺りの演出も良いなと思いました。
絵柄はちょっと癖があるように見えますが、表情など丁寧に描かれていて気になりません。
全員目つきが同じような感じなのですが、見分けが付かないほどではないです。
個人的にはそれほど痛い内容ではなく、読みやすい作品でした。
ハッピーエンドで収まるところに収まっていますが、求めていた終わり方じゃないなあというのが正直な感想です。
SMプレイシーン盛りだくさんですが、半分くらいさらーっと読み飛ばしてしまいました。
唯一じっくり読んだのは、太郎さんがプレイじゃなく普通にセックスしたいと告げる辺り。
このシーンは可愛いなと思えましたが、他はあんまり…。
2巻で当て馬として登場した先輩も普通に太郎さんが好きなだけのいい人でしたし、最終的に何事も起こさず物語の舞台から退場してしまいました。
1巻〜2巻の途中までは、絵は荒削りだけれども漫画の構成力で読ませる感じが好きでした。3巻は漫画としての勢いにも欠けちゃった感じです。
2巻までずっと読み続けて来た人は一応区切りとして読んでもいいとは思いますが、あまり期待はしない方がいいです。
大槻さんの作品は『TRAP』に続いてこれで2作目なのですが、キャラクターがオシャレで読んでて楽しかったです。
攻めもツーブロックの長髪&口ヒゲで、BLではあまり見ないタイプでいいですね。
表紙の印象だと特に受けの目元がまつげバサバサで癖のある絵柄だと感じると思いますが、白黒だとそこまで派手な感じではないです。
ストーリー的には大きな山も谷もなく安心して読める部類ですが、逆にちょっと物足りなかったのは、1話目でゲイバーで意気投合してから体の関係になるまでがあっさりすぎたところ。拍子抜けしてしまいました。
あと、受けの家のクローゼットに隠されているものが簡単に予想出来てしまってオチに意外性がなかったのも残念。
面食いな攻めと(一般的に見れば)特殊な性癖を持つ受けとの組み合わせは好きですが、お互いの性格とか気持ちの描写をもっと読んでみたかったです。
でもそんなマイナスを上回る萌えも十分ありました。
攻めがスーツ姿を好んでないと受けが勘違いして、青姦に誘い込む流れ、ここだけ取り上げれば神評価。これが読めただけでも買って良かった。
年下わんこ×恋愛臆病アラフォーのストーリーです。
この作品を読んで、オーソドックスな素材も料理次第で十分楽しめるんだなと改めて感じました。
展開もネタも似たような作品はたくさんありますが、それでもこの作品が面白いのは、画力とキャラクターの掘り下げ方が上手いからだと思います。
出てくる登場人物は至極シンプルで、攻めの赤坂くんと受けの八木さん、そして八木さんの幼馴染の誠治を中心にストーリーが展開していきます。
当て馬や横恋慕する女性キャラクターなどもいませんし、ただ2人の心の動きにスポットが当たっています。
正直おじさん受けは苦手なのですが、八木さんは髪もツヤベタキラキラでくたびれた感じもないので大丈夫でした。
むしろ、赤坂くんの体力についていけずに「ゆっくりって言ったのに」とかぼやいている感じが可愛なと思えて、こういうのもアリだなと新たな世界が開けた気がします。
絵柄的には主線がしっかりした青年誌系の雰囲気ですが、それが苦手でなければオススメしたい作品です。
個人的に八木さんのメールアドレスは必見です(ベタベタです)!