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BL小説を読む上で、皆さんは何を基準に作品を選びますか? 作家、タイトル、出版社、表紙(挿絵)、己の勘…。はたまた宇宙から送られてくる腐信号をキャッチなんて言うのもアリだと思います。(ねえよ 笑) 皆さんそれぞれ選ぶ基準があると思います。アタシは殆どが作家、絵師買いというのが本を買うパターンなのですが、全く初めてで読んだ事がない作家さんの本を買う時は、裏表紙のあらすじが何よりの判断基準。 まず本を手に取りひっくり返し、自分の好みに合いそうなキャラ設定や背景、その小説のざっくりとした「~~モノ」みたいなものをたった何行かの文で瞬時に嗅ぎ取り、「これは面白そうだな」「これはちょっと…」という判断をし、手に取った本を山に戻すか否かを無意識に選別しているのです。 もちろんあらすじを読んだだけでは本の結末はわかりません。 作家としてまず読んでもらうためには裏表紙にキャッチーなフレーズを並べ、腐女子のハートを鷲掴みする位の勢いがないと読んでもらえないのです。 良い意味での反則と言うか、裏表紙だけでアタシのハートをガッチリ鷲掴みした作家、小林典雅です。 アタシが最初に出会った小林典雅の本「嘘と誤解は恋のせい」は、まさにかゆい所に手が届いた的確なあらすじ。 一度本を手にしてもらうと分かるのですが、まず第一印象「何だこれは」です。 よくありがちな小説のあらすじとは一風変わった、たった6問のアンケート質問形式で本の大まかな内容を紹介しているのです。さらにストーリーを読んだ後裏表紙のあらすじをもう一度読み返して、「あぁ~なるほどね」と妙に納得してしまう、良い意味での反則。 (一粒で二度美味しい?) 「萌が無ければBL小説ではない!」BL小説を読む者にとって、極々当たり前の事なのですが萌は最重要ポイント。ですが萌と一口に言っても、人それぞれ萌ポイントは微妙にちがうもの。好みや系統があるのです。 人それぞれ微妙に好みが違う万人(と言っても腐女子の間だけですが)に読んでもらうためにはどうしたらいいのか。 まず引き網漁をする漁船の如く、腐海に大きく大きく網を張るのです。 たった6問の質問の中のどれかに腐女子が必ず当てはまるよう罠を仕掛け、まんまと誘導するのです。かくいうアタシも罠に嵌ったクチです。あ、わかってて嵌ったんですけどね。 BLと言う極々狭いジャンルの中でも読者を選ばず間口を大きく広げ、作家自身がBLを読む腐女子の習性と萌の追及、生態を理解しているからこその質問なのです。 質問があまりにズバリ核心を衝きすぎていて気持ち悪い位、「ああ、自分はこんなのを待っていたのか。そうそう、これよ!これ!」と妙に共感してしまい、一度手に取ってしまったら最後、深夜の通販番組の如く買わなくてはいられないような気さえなってくる。 まさに、典雅マジック(笑) このままでは何のことやらさっぱりわからないと怒られそうなので、少し本の内容にも触れておきましょう。 キャッチーなフレーズばかり並べ立てられたあらすじだけで、「読者置き去り」なんてことは全くありません。 内容もテンポが良くギャグ満載で、一口に言ってしまえばラブコメになってしまいますが、そうかと言ってドタバタで忙しいわけでもない。しっかり萌ポイント(エロとも言う)も押さえていて、そこがBL作家の腕の見せ所。 まず脇キャラが良い味を出している。「ラブコメ」のコメディ部分を一手に引き受け、独自の理論と鋭い観察眼でまんまと二人を誘導し、カプを成立させてしまう。策士と言っても良いかもしれません。 ストーリーの中のキャラもアタシも小林典雅の「策」と「誘導尋問」にすっかり嵌り、BLに「ラブ」があるのは当たり前ですが、ラブだけではなく、+(プラス)「お笑い要素」を取り入れると言う、今までにない独自の路線を行く小林典雅。これはもう一度読んだら癖になる。 ひと月に何十冊も出版されるとされるBL本の中で、どうか今後もこのスタイルを貫いて、BLの中の「お笑い部門担当」と言う独自の路線と地位を極めて行ってもらいたい、そんな注目・イチオシ!作家です。 これから小林典雅の本を読もうとしていらっしゃる皆様へ、注意点を一つ。 「決して一人では見ないでください」なんて言ういつぞやのホラー映画がありましたが、むしろその逆で、「必ず一人で読んで下さい」 電車内やカフェ、人が大勢いるような所で決して読まないことをお奨めします。 あまりに面白すぎて「プッ!」と笑いを吹きだしてしまい、周りに変な目で見られてしまう恐れがありますのでくれぐれもご注意を(笑)
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