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アタシが初めて夜光花さんの作品を読んだのは「堕ちる花」でした。 実は腐女子に返り咲いてから間もない頃でして、自分がどの作家のどんな作風が好きなのかがまだ定まっておらず、手当たり次第に読み漁り模索している最中でした。 その中で出会ってしまった、夜光花さんの「堕ちる花」 ただのBL作品ではなく、火サス(火曜サスペンス)BL! ミステリータッチですべて読まないと全貌がわからない。バラバラになったパズルのピースを一つ一つ組み立てていき、最後にぴったり、カッチリ嵌ったかのような達成感! もちろんBL要素も忘れてはいません。 人気俳優であり異母兄・尚吾(攻め)と、大学生の弟・誠(受け)が、兄弟でありながらも禁じられた一線を越えてしまうんですね。(かなりざっくりだな) 一線を越える前からかなりのブラコンで弟の事を溺愛しすぎる節があった兄・尚吾。 兄の事を何よりも大切だと思う兄思いの誠。 「危ないから入ってはいけません!!」と言う立て看板に一瞬躊躇するも、有刺鉄線が張り巡らされているフェンスを乗り越えるかの様に、二人は禁断の領域へ踏み込んでいきます。 そのフェンスを乗り越えるときに、張り巡らされている有刺鉄線で手や足を傷つけてしまうかもしれないリスクを冒してまでも、フェンスの向こう側には何があるのか? そのフェンス向こう側は二度と嵌ったら抜け出せない、底なし沼。 溺れるかのように、めくるめく官能と淫靡な世界へと堕ちていく――― ダメだ、ダメだ。と言われれば言われるほど行って(やって)みたくなるのが人の心理というもの。 まんまと嵌ってます。(笑) 禁断の――とか、秘密の――って付くものってどうしてこんなに楽しいんでしょう? 人には言えない禁忌を犯しているというだけでもスリルなのに、禁断の関係っていうだけで悶えます。 悪いことをしてしまったという自覚はある。(なかったら逆に怖いよ) 今まで押さえつけられていた箍(たが)が一旦外れてしまうと、その壊れっぷりがまた凄いんですね。 異常とも言えるような豹変ぶり。 一生手に入らないと思っていたものを手に入れられたんですから、少々浮かれポンチです。(大分か?) 今までの葛藤がウソのようです。 「可愛くて、可愛がりすぎて苛めたい、困らせたい」 「純真で無垢な弟を汚(けが)したい、壊したい」という感情が一気に押し寄せる。 ああ、でもそんな心理、わかるような気がします。 嫌がる飼い猫をしつこい位に撫でまわし、骨が折れない(死なない)程度にギューっと抱きしめて「キャッ!(苦しい)」とわざと言わせてみたいような。 実は何度かしたことがある(ここだけの話) 可愛いくて大事にしたいけど、苛めたい…みたいな?(笑) ああ、アタシってドSですか。そうですか。やられているほうとしては迷惑な話ですね。 尚吾は誠を愛して愛しすぎるがゆえの、究極の愛情表現なんだと思う。 時々悲観的になったり壊れ気味になる兄を怖いと思いながらも、大好きな兄の為ならばなんでも答えたい。 そんな尚吾の全てを受け入れることが誠なりの愛情表現なんですね。 この「堕ちる花」以外にも夜光花さんの本を何冊か読みましたが、夜光花さんの書くキャラは攻めが一見強いように見えて、内面的には弱くグダグダだったりするんですけど、 逆に受けは見た目弱そうで、実は芯が強い肝の据わったキャラが多いような気がします。 ま、両方ともグダグダだったらダメですよね。凸と凹。あ、BLだから凸と凸?(笑) いつか誰かに見られるかもしれない、兄弟でしかもただならぬ行為に耽っていることを絶対に両親にも誰にも知られてはならない二人だけの秘密。 もし知られてしまったらどんな修羅場が待ち受けているのか想像するだけでも恐ろしい。 でも一度超えてしまった以上、いくら後悔しても後戻りできない所まで来てしまった。 この兄弟の行く末はどうなるんでしょうか?考えるだけで夜も眠れません(うそつけ) もう突っ走るしかないでしょう! よくありがちなドラマだと、どちらかが将来を悲観して死を選んだり、 あるいは逃げ回った末に二人で心中、なんて悲しい結末になってしまいそうですが、 「そんなのは絶対嫌じゃー!!」と声を大にして言いたい。←アホだ… 世間では許されない関係だからこそ、二人仲良くいつまでも幸せに暮らして行って欲しいと願うばかり。だから神様、許して。 ファンタジーの域をどこまでも出ませんが、読み手としては人に知られてはいけない秘密をコッソリと覗き見るようで、まさに家政婦はみた!の家政婦にでもなったかのような気分にさえなります。アタシだけか?(笑) 立ち入り禁止のフェンスを越えて禁断の領域に踏み込んだらどうなるのか? そんなフェンスの向こう側を見せてくれたようなBLでございました。 実はこの本の続編が出ています。(2009年2月末現在)タイトル:「姦淫の花」 この兄弟がその後どうなったかが知りたい方はそちらもぜひどうぞ。
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